20.別マップ
初めての演習から3ヶ月経過した。
訓練ではチームに別れたり、私1人対クラスメイト全員だったり、レイン先生も加わったりと色んな形で演習を繰り返している。
授業としての演習後も、放課後レイン先生が動ける日は毎日、演習している。
予定がないクラスメイトも結構参加していて、なかなかに集まりがいい。
そのおかげで最初もたついてた皆がかなり動けるようになっている。
そんなこんなでいっつも演習場:レステイゲンを利用していた。すっかり慣れたフィールドだったが、今日は次なる訓練のために、新しい演習場にきた。
「ここが演習場:バリアブルハウスだ」
おぉおおお!!
こ、こ、こ、これは!?違うゲームモードの!?
「ここでは人質救出や目標物の回収など、潜入任務などの演習を行う。
バリアブルハウスは壁の配置が自在に変更出来るようになっている。
その都度、部屋の間取りが変わり、目標の場所が変わるわけだ。そのおかげで実戦さながらの潜入任務が可能となる」
すっげぇー!
やっぱり知ってるのが出てくると、テンション上がる。
早く演習しましょー!
「これから6対6の2チームに分ける。そのチームで防衛側と攻撃側に分かれ、今日はどちらも1回ずつ行って貰う。
演習ポッドを使うが、今回の演習は復活出来ないから、気を抜くなよ!
全員、常に実戦だと思うように」
「「「「はい!」」」」
これはチームワークが大事なやつだ。ゲームでも敵の位置把握が凄く重要だ。
正面で撃ち合うより、味方が引き付けている間に背後をついたりするのが強力だ。
それにゲーム時代から馬鹿みたいにリアルに作られていたから、壁の貫通、破壊、机を移動させてバリケードにするなど、なんでも出来た。
現実になった今も、当時のテクニックは使えるだろう。
フヒヒっ
楽しくなってきたー!!
「それでは今日のチームを発表する。
まずはアルファチームだ。名前を呼ばれた者はこちらに1列に並ぶように!
リリーナ
マッド
ベルク
ミロ
ジュスト
ミシェル
以上がアルファチームだ。
ついでベータチーム、
イーノス
カンナ
シア
ロブ
ハーヴィン
アッシュ
以上だ!なお、アルファチームの隊長をリリーナ、ベータチームはイーノスとする。
2人とも部隊長として作戦指揮をするように」
「「はい!」」
私が隊長ね!
私は前世の頃からプロチーム〖月光〗のリーダーだった。
今回はどうしようか。あの頃は月光のエースがいたからなぁ。あいつ使いやすかったんだと、今になって思う。
めちゃくちゃ正確なエイムと反応速度だった。エイム練習出来るアプリでスコアを競ったことがあったけど、月光の中での1番はあいつだった。
あいつに勝てなくて悔しかったなぁ。いつもあいつにだけは勝てなくて、間違いなく月光のエースだった。
「まずはアルファチームが攻撃側、防衛側がベータチームだ!ベータチームはこのアタッシュケースを家の中のどこかの部屋に隠しておけ!15分後、攻撃側チームが出撃する。
攻撃側の勝利条件は、敵の全滅もしくはアタッシュケースを回収して、エスケープポイントまで戻ること。
防衛側の勝利条件は敵の全滅もしくは1時間防衛することだ。
敗北条件は説明するまでもないな!?」
「「「はい」」」
「あぁ、それとリリーナは今回レッドアイの使用を禁止とする」
「うっ!?」
ま、マジですか。
確かにこのモードのレッドアイは強力だが、他の血統スキルと同様に使えたはずだけど…
レイン先生を見るとニヤリと笑っていた。
………私がレステイゲンの方ではっちゃけ過ぎたか、私が苦労する姿がみたいのか。
…はいはい、何れにしろ今回は無しでやりますよ。
しかし、ゲームと違って時間設定が長いな。いや、まぁ、現実だとそりゃ時間はかかるか。
あくまでも演習が停滞しないための設定だろう。
そして私たちは先に攻撃か。
「それじゃあ、アルファチーム、行こうか」
「おっけー!」
「よろしく頼むよ」「よろしく!」「味方でよかったよ」「本当によかった、まだ怖いんだよね」
「リリーちゃん、頑張ろうね」
ん、なんかちょっとニュアンスが違う奴いた気がしたがんだけど?
「リリーちゃん?」
「あ、うん、頑張ろうね」
バリアブルハウスは今回、2階建てで地下がある。地下はガレージのようになっており、北に階段、南はシャッターから外に出られるようになっている。
斜めの土地に立っている形だ。
このマップ、地面の起伏までも変わるんだよな。
屋根は10パターンだけど、壁と地面は無数だ。
細かい突起が上下して平地、坂道などの地面を形成しているらしい。
AIによって、多種多様に変化するためパターンが多すぎて、マッチするたびに変化する。
基本、壁紙はないので無機質ではあるが。
そのマッチ中は同じなので、いかにマップ把握を素早く行うかが重要だ。
よって最初に間取りを把握できる防衛側が基本的に有利なんだが…
今回私達は攻撃側からだ。
ポッドでのダイブ後、防衛側の準備中15分間は専用の待機ルームからスタートすることになる。
やってることはほとんど同じだけど、現実になると時間配分とかは節々で違うんだね。
ピピー!!
「皆、それじゃ、ブリーフィングを行うから座って。」
全員揃ったのを確認して始める。先程の笛の音のようなものが準備フェーズのスタート合図だろう。
待機ルームには会議机と椅子があり、モニターには始まるまでの残り時間が表示され、カウントがスタートし始めた。
「正直、最初は外観しかわからない状態だ。内部の間取りがわからないから、まずは慎重に攻める形でいい。
そして、部隊は3つに分けて多面的にプレッシャーをかける」
「了解、どう分ける?」
ふむ、今回のチーム、運動能力は完全に向こうが上だ。しかも、私が使えない以上、スペシャルスキルはミシェル1人だ。
後のみんなは一般枠の入学だ。
でも皆、この学校は動けないものはいらないという方針だから、頭が良くて入学しても徹底的に動かされるので、頭が良くて動ける兵士として訓練されている。
軍学校の一般枠はスキルがないからと卑下されるような存在では決してない。
頭脳でスキルをカバーできるようになるのが、目標なんだ。みんな優秀な人材だ。
「マッドとミロとジュストは1階を攻撃してくれ。合図があるまで近付かなくていい。牽制して動きを封じるんだ」
「「了解」」「はい!」
「私が2階担当、屋上から撹乱しながら攻撃する。最後にベルクとミシェル。2人は北側地下階段にプレッシャー掛け続けて」
「「了解!」」
「1階担当の3人は2人の存在を援護する形で射撃する。階段の位置が分かり次第そこを集中的にね」
「分かった」
「ベルクとミシェルの具体的な攻めかたんだけどね。こうやって欲しいんだよね」
作戦を聞けば初めてでも理解してくれる。
レステイゲンの演習で動けるようにはなってきているのだ。勝手が違っても大丈夫、勝つぞ!
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