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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!~ストーリーモードなんて覚えてる訳ない~  作者: 栗飯


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149/158

148.武器相性◎



デイビッドさんの右手に、炎が生まれる。


最初は掌に収まるくらいの火球。

けれど、次の瞬間にはそれが大きくなり、圧縮され、さらに圧縮され、色が濃くなっていく。


赤。


橙。


そして……白くなる。


「……あっつ」


思わず呟いた。

少し後ろにいるのに、ここまで熱い。


空気が揺らいでいる。

地面の砂利がじわじわと焦げて、黒く変色していく。


すげぇ!デイビッドさん。

これが【炎帝】か。


(ほむら)


呟くように言い、放たれた火球。

白い閃光が一直線に走る。

次の瞬間、ガイアの岩壁が、大地を割ってせり上がる。

いつもの防御。分厚く、巨大で、堅牢な壁。


だけど……


ドンッ!!!


火球が激突した瞬間、岩が爆ぜる。

爆発と衝撃波。

そして、白熱。

岩壁の表面が赤く染まる。


「うわ……」


これまでで一番の威力。

岩壁が、耐えきれずに吹き飛ぶ。

砕け、溶け、破片となってそのまま対岸へと降り注ぐ。

メラリア軍司令本部の屋根を直撃し、爆煙が上がった。


やっばい威力をしている。


威力だけなら、もしかしてシーランより上じゃない?

純粋火力は、完全に怪物だ。

これはナーフ入るわ。


「……ふっ」


横を見ると、デイビッドさんが満足そうに笑っている。

ようやく打ち破った、って顔。なんかスッキリしている。

うん、うん、あれは気持ちいいよね。


……じゃあ。


「私も、やっていいよね?」


私は後ろに置いていたそれを持ち上げる。


レガシーウェポン【シーラン】。


城壁を出るとき、参謀本部のスティーブンさんが言っていた。

捕虜にしたシーラン担当のメラリア兵から情報を聞き出したらしい。

どうやったかは知らないけど、聞き出すのが早い。


『シーランは、魔力を弾丸に変換して撃ち出しているようです』


つまり、撃てば撃つほど自分の魔力が削られる。

しかも、無理やり吸い上げる仕様。

6発撃って、リロードとして魔力を吸い上げる。その時、魔力量が足りなければ、死ぬ。


魔力量の多いネームドが試射するのが適切。そのシーラン担当のメラリア兵よりは確実に魔力量が多い。

オルガさんは触れれば、だいたい魔力量が分かるらしいので間違いない。

でも今は全員、戦闘中で、万全じゃない。


だから私は言った。


『私、やってみてもいいですか?』


でも、止められた。

ショーンさんにも、スティーブンさんにも、アッシュにも。


唯一、魔力量が分かるのは、オルガさんだけだ。


『総量はリリーナちゃんなら大丈夫だと思う。

魔力が多くて、私も正確な所が読み切れないけど……

でも、さっき魔力流路を酷使したばかりだからね?』


絶対大丈夫といってくれれば話が早かったのに……

さっき魔力過剰だったから、心配されてしまう。


『一回だけですから』


そう言って、結局ここまで持ってきた。

魔力流路はさっきレッドアイすら使わないでいたら、もうすっかり痛くないので問題ないと思う。痛かったらやめればいいし。


なんだかんだあったが、とにかくだ。

……私はシーランを撃ちたいのだ。


今、私の後ろには止めていたショーンさん、スティーブンさん、アッシュだけじゃなく、オルガさんや第3師団団長トニーさん、シア達特務機関の面々。

指揮官と、配置がなく状況に応じて動く面々が勢揃いだ。


めちゃくちゃ警戒している。

そんなに心配しなくても。

私はシーランを構えて狙いを定める。


目標、敵司令本部。

民家にはまだ民間人が残っている所があるらしいので、撃つなと言われている。

司令本部はかなりでかい基地だから、誤射の心配はない。


引き金を引く。


……ポンッ。


先程も聞いた軽い音。


魔力が弾丸になって撃ち出されるけど、反動は小さい。


だが。


ゴゴゴゴッ!!


また岩壁。

まだいるね……ガイア。

岩壁に阻まれ、目標に届く前に爆発。

岩壁に穴が空くが、シーランの弾丸の性質上、その場で爆発範囲が決まる。

目標までは届かない。


「へぇ」


じゃあ、連続でいこ。


ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。五発。


ガイアも気付いたのか、岩壁の厚さは先程よりも薄くなり、とにかく当てることを重視した形にして対応してくる。


ポンッ……六発。


その瞬間、ぐっと体の奥から何かを引っ張られる感覚。


あー、これか。

魔力を吸われてる。


…………なんだ、こんなものか。


正直、全然余裕だ。

思ったよりも吸われないし、レッドアイと同レベルくらいかな?


「お、おい……リリーナ?」

ショーンさんが声を掛けてくるが、私はそれどころじゃなかった。


「これなら、撃ち放題!ふハハッ!」


ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。


ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。

ポンッ……

………連射、連射、連射である。


同様に岩壁が展開される。

だがあまりの連射に、その反応は明らかに遅れる。


ポンッ。


着弾。


ドォンッ!!


司令本部の一角が吹き飛ぶ。


「アハハッ!!あ、当たった!!ハハハッ!」


楽しい。


ポンッ。

ポンッ。

ポンッ。


連射。


ガイアの岩壁は追いつかない。

爆発が連続し、対岸が煙に包まれる。


楽しい。

これ、楽し過ぎる。

例えるなら、弾無限のグレネードランチャーを連射している様な状態。

そりゃ、バカスカ撃つだろう?


どこまでいけるかな。

私は夢中になって撃ち続ける。


後ろからの視線が、だんだん変わっていくのに気付かないまま。


最初は心配。


次は困惑。


「うわぁ………」


全員、引いていた。


気付けばガイアの岩壁が出てこなくなっていた。

司令本部で無事な場所がどこにもない、ただの崩壊状態。


満足した私が振り返ると、


ショーンさんは口半開き。

オルガさんは透明化を忘れて固まり、トニーさんも腕組みしたまま固まってる。

アッシュは苦笑い。

スティーブンさんは額に手。

デイビッドさんまでも、口が開いていた。


「え? なに?……やり過ぎた?」


私は首を傾げる。


「リリちゃん、さすがに撃ちすぎだよぉー。私達出る幕なしだよ」


シアだけが、いつもと変わらぬ感じで言ってくる。

みんなすぐ終わっちゃったから、びっくりしたのかな?


「……こっちに被害がないならいいんじゃない?」


「ん?そっか。ならいいか「アホたれ!やり過ぎだわ!」

再起動したショーンさんが怒ってきた。


「や、やっぱりです?」


「当たり前だ!見ろよ!司令本部が更地になってんじゃねぇか!?」


「そ、それは、仕方ありませんでした……

敵の抵抗はあまりに強く………」

「ほとんどなかったよ!!ガイアも早い段階で追い付いてなかったからな!」


ショーンさんが興奮して、ツッコミが強い。このままでは私が不利だ。


「ほ、ほら、まだ生きてる敵がいますから、司令本部を制圧しましょう!」


私はショーンさんをくるりと回して、背中を押す。正門の方へ向かわなければ。


「お、おい!リリーナ!」

「まぁまぁ、ショーンくん。リリーナくんのお陰でこちらは無傷で、敵は壊滅だ。責めることなどないだろう?」


さすがはデイビッドさん!

ナイス、助け舟です。


「そうですがね……最後の方は、もうただ楽しくて撃ってるようにしか見えませんでしたよ?」


「リリーナくんは敵が見えてるんだろう?敵がいたさ。今も奇跡的に逃れた敵がいるようだしね」


「そう……ですかね………」

ショーンさんはそう言って正門の方へと向かう。既に破壊され、門のない司令本部の出入口。


………


ショーンさんの予想通りです。

最後の方はただ楽しくて撃ってました………

とりあえず、ここはデイビッドさんの話に乗っておく。


少しでも面白いと思って頂けれれば、

ブックマークやいいね評価等して頂けると、モチベーションも上がって非常に嬉しいです!

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