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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!~ストーリーモードなんて覚えてる訳ない~  作者: 栗飯


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140/161

139.3人

みんな無事で良かった。

危なかったわー。何とか間に合ったようだ。

……なんか、めっちゃ撃たれたけど。


地下施設の埃っぽい空気の中で、私はシールドを解いた。

皆の張り詰めていた緊張が一気にほどける。

飛び付いてきたシアが私を抱き上げる。


……あれ?

私がよしよしするターンなはずなのに、体格差で私の足は地面から離れている。


「ほんとに、無事で良かったよ」


シアに抱き上げられたまま、私は少し笑う。とりあえず、私はシアの頭をよしよしする。

シアの体温が、今日は妙に温かく感じた。


「リリちゃんだ!リリちゃんだぁ!!」

「はいはい、よしよし。もう大丈夫だよ」


若干幼児退行して、涙ぐむシアの頭を撫でながら、私は周囲を見渡す。


「イーノスも、ハーヴィンも無事で良かったよ」

「おう、なんとかな」

「ハハッ、リリーを見たら、なんか肩の力が抜けちゃったよ……」


ハーヴィンは腕を組みながらも、どこか安堵したように笑っている。

イーノスはほっと息を吐いていた。

皆が無事で本当に良かった。


「みんな、ちゃんと揃ってる」


それだけで、胸がいっぱいになる。


ゴリッ

「ン……イタイ……」


シアがおでこを抑える。あぁ、忘れてた。

「あははッ。研究室の試作品だね」


首にかけていたネックレス型の試作品。

自動防御装置【ジュラ】試作八式。

結局、様々な調整の末にシールドはガチガチだが、魔力はめちゃくちゃ食うという、ピーキーな性能になり過ぎて、汎用性は皆無。

現状は私しか使えない、魔力ドカ食い装置となっている。


研究室からそのままの勢いで持ってきて、じゃあ、とりあえずそのまま実戦で使って状態を報告するように、とアルル室長やシモーヌ副室長に言われている代物だ。


シアの突進には流石に反応しないようだが、私の胸に顔を埋めたシアの額にはダメージを与えたようだ。


そんな事をしていると、


「私もいるわよ?」


入口の影から、すっと姿を現したのはオルガさん。

外を最終確認してくれていたオルガさんが合流する。

入口付近にいた第1師団の兵士が数人びっくりして飛び上がっていた。


「オルガッ!ハハッ、リリーナと一緒だったか!」


ショーンさんもオルガさんに気付く。

軽く手を振る彼女に、場の空気が更に和らぐ。顔に希望が、目に見えて出ている。


ネームドが3人。

【絶命】(ぜつめい)

【消失】(ディスアピア)

そして……【隻眼の死神】(アインリーパー)


疲弊していた兵士達には、彼らの存在は非常に心強かった。


「ショーン、久しぶりね」

「久しぶりだな!お前はいつも気配がなさすぎるな!あいつらめっちゃびっくりしてたぞ!」


ショーンさんが驚いてた兵士を見て笑っている。ショーンさん、笑い過ぎだろ……


「それが仕事だもの……」


淡々としたやり取りに、私は少しだけ笑ってしまう。


けれど、笑っている時間は長く続かない。


「……完全に位置は割れたわ。増援が来るのも時間の問題よ」


地下施設の空気が、再び引き締まる。

時間がない。即席の作戦会議が始まった。


「逃げ道はほぼ潰れてる。地下ルートはガイアの影響で不安定だ」

「向こうから掘り出し作業をしているけど、まだ時間がかかるわ」

「待てば包囲されるな」


出てくる言葉は、どれも明るくない。


「……攻めるしかないですよね!?」


もはや、これしか選択肢はないだろう。

正面では、【炎帝】デイビッドさんと第3師団団長トニーさんが今も攻めている。


そこへ、背後からぶっ潰す。100人……はいないかな?

それだけの伏兵が突如湧き出すのは、メラリア軍は避けたかったはずだ。


「内側から潰しましょう」


私が言うと、全員の視線が集まった。

あれ?なんか反応が悪い?


「…………どうしました?」


「…………リリーナ、お前、悪い顔してるぞ?」


ショーンさんが苦笑いしながら、そんなことを言ってくる。

オルガさんの表情も少し引き気味だ。


………

……………だって、ちょっと楽しそうじゃないですか?

おい、そこの同級生達。

分かってた…みたいな顔しない。


「私が道を開きます。みんなは続いてください」


短い沈黙のあと、ショーンが頷く。

「ふッ。全員!!すぐに出発だ!!指揮は()()がとる。お前ら遅れるなよ!!」


「「「おぉ!!」」」


──────────


地下施設を出る。

そして、外に出た瞬間――


「……うわ」


第1師団の兵士の一人が声を漏らした。

地上は、静まり返っていた。

辺り一面に転がる、メラリア兵の死体。

的確に顔を撃たれ、首を斬られ、心臓を一突きされた死体。


最近はもう、私は敵を殺すことに慣れてしまっていた。効率的に殺す。

ゲームと同じだ。


……じゃなきゃ、私の大切な仲間を失うのだ。


ショーンさんが苦笑いする。


「……これ、全部か?」


オルガさんが肩をすくめた。

「ほとんど、この子よ」


第1師団の兵士達が、私を見る。

驚愕。畏怖。そして――賞賛。


「すげぇ……」

「これが……ネームド……」


「透明になれたんで、余裕です!」


何かおかしなことを言っただろうか。

ショーンが額を押さえる。


「オルガ単体じゃ、この規模は厳しいだろ」

「何言ってるんですか?オルガさんだけでもできます!舐めないでください!!」


ショーンさんめ!オルガさんを見くびっているな!?


「こう、言ってるけど?」

「この子、何故か…私の評価が高いのよ………」


「オルガさんはもっと自分に自信を持ってください。オルガさんは可愛い。それが答えです」


オルガさんに困った顔をされる。私も言っててよく分からなくなった……

ファン目線の感情が入り込んできちゃうな。


うし。私は気にせず、城壁の方角を見る。

遠くで炎が上がる。土煙が舞う。

乾いた銃声が響いている。


正面戦闘は、まだ続いている。

私は一歩、前へ出た。


「さぁ、行きましょう!」


赤い瞳が、戦場を射抜く。沢山の赤い点。


「今度は、私達が仕掛ける番です」


背後で、73名の第1師団の兵士達が武器を構える。

私は城壁に向かって、ゆっくりと歩き出した。


硬直していた戦況はここから一気に動き出す。

少しでも面白いと思って頂けれれば、

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