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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!  作者: 栗飯


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12.イーノス

私が軍学校の教師となって、6年が経過しようとしていた。

最初は教導実績として数年だけ赴任する予定であったが、存外しょうに合っているようで、楽しく充実していた。

それを鑑みて、アルノー長官に伸ばして頂いた。

実践時に私の部下になり得る者を育ててみせろ…と。


近接戦闘の腕を買われて中佐になったは良いが、面白く思わない者も少なからずいる。


アルノー長官は把握していたようで私の特務機関編隊と共に隊員候補の育成名目として変わらず軍学校にいる。


戦争目前だった西方のメラリア共和国とは現在睨み合いが続いている。急にメラリア国内の動きが鈍くなったらしい。何故かは調査中とのこと……

こちらも準備できるからいいのだが、不穏だ。


まぁ、私が今やることは教師として頑張ることだ、無論、自身の訓練も怠らないが……




午後の近接戦闘訓練は2人1組で組手を行うものだ。


「こい!リリーナ、今日こそ我が倒してやる!」

「えー、イーノスまた?昨日もイーノスだったじゃん!」


リリーナの言い分も分かる。この組手はクラス内の色んな人とやるようにしているのだが、イーノスは絶対にリリーナとやりたがる。


理由は単純、リリーナが強いからだ。

クラスのみんながシールドの訓練中、既にシールドはマスターしていたリリーナは手が空いてしまったので、私と組手を行っていた。そのせいか、どんどん吸収して強くなった。


イーノス、彼の家庭事情は担任の私も把握している。彼がどう考えているのかは分かっている。彼は強さを貪欲に目指しているんだ。


その証拠にイーノスはリリーナの次に強い。

「まぁ、そこの2人はそれでもいいだろう。存分にやれ」


「はい!」

「はーい」

リリーナはちょっと不満そうだが、大丈夫だ。次は私が相手してやる。


「あれ、ちょっと寒気が……、風邪かも!?」


リリーナはなにかボソッと言っているが問題ないだろう。

2人は訓練場の中で向かい合う。何セットか1体1で近接戦闘を行う。

「よし!行くぞ、リリーナ!!」


「さ、では1本目!始め!!」

私の号令で2人とも素早く近く。と見せかけてリリーナは1歩左にズレた。イーノスの右足の蹴りが躱されて中に浮き、一瞬の隙をつくる。

リリーナは素早くイーノスの蹴り出した足の服を掴み、身体の内側に押す。

バランスを崩したイーノスは手をつき、身体を入れ替えて左足で蹴りを放とうとするが、既に首に手を回したリリーナに喉をゴム製ナイフで刺されていた。


リリーナは、腕力などは決して強い方ではない。体格も小さいためリーチもない……

が、反応速度がかなり早い。それに戦闘の組み立てが上手いな。



「イーノスは直線的すぎだよ」

「では、どうすればいいのだ?一撃の威力は我の方が上のはず…」


「そうだけど、フェイントもまぜないと、本命が届かないと思う」

「ふむ、なるほど……」


なんだかんだいいながら、相性いいのでは?とも思う。

リリーナは以外と面倒見がいいらしい。

「その通りだな。イーノスは全てが本命のような状態だ。絡め手も考えてみるんだ。さて、次の2人!」




「「はい!」」





__________________



リリーナ・ランドルフ


彼女は僕たちのクラスの特異点だ。


入学時点でシールドを使用でき、血統スキルも所持しているらしい。

成績も優秀で常に1位争いをしている。一般試験で入学した勉強ができるもの達といい勝負をしている。


血統スキルや魔術師適正の者は、かなり難しいと言われている軍学校の試験が免除となって入学している。

よって、授業における筆記テストはその難関試験を突破した者が上位を閉めている。


逆に体力系の実技テストは血統スキルや魔術師適正持ちが上位にくるのが普通だ。


リリーナはどちらも高水準だ。

……凄い。彼女のような者を天才というのだろう。



僕の目標である。

僕は天才でもなんでもないことを知っている。



僕の家は回復の血統スキルを多数排出しているストゥーキー家だ。王家からも一目置かれる名家である。回復魔法の有用性を加味すれば当然のことだろう。

幼い僕はウチは偉いんだと、凄いんだと思っていた。でも、考えを改める出来事が起きた。


訓練中の事故だった。爆発に巻き込まれてお母さんが負傷した時に、僕は何も出来なかった。


お母さんは一命を取り留めたが、足を失った。


お父さんは回復の血統スキルを持っている。でもお父さんの力じゃ、止血が精一杯の怪我だった。


ネームドである、ヴェネッサ叔母さん……と言うと怒られるので、ヴェネッサ姉さんは任務中で帰って来れたのは2週間後だった。

時間が経ちすぎていて、再生は出来なかった。



最初はお父さんを恨んだ。

お父さんにもっと力があれば…と。


僕はどこに行くのもお母さんと一緒だった。

そんな僕も回復の血統スキルを持っているのに……

何も出来なかったのは僕なのに………

無力なのは僕なのに………


回復魔法は万能ではない。

でも、僕に力があれば失わずに済んだ。なら、強くなるしかない。


僕はお母さんに誓った。

「いつか...僕が強くなって、お母さんの足を治してあげるから!」

「楽しみにしてるからね」


驚いたお母さんはフッと笑って抱き締めてくれた。久しぶりに見たお母さんの笑顔だった。




……だから僕は強くなる。全部守れる男に。

やはり強い者から吸収するのが1番だろう。


僕はまず喋り方を変えた。最も凄いヴァンリ王のような口調を真似た。

1度しかあったことがないから、イメージが先行しているけど……

親友のロブには

「似合わねぇー」と言われたが、幼い僕はやれること全部やろうと思ったのだ。


ロブの家系は訓練中の怪我が多く、僕らのストゥーキー家と懇意にしていた。

自然と幼い頃から遊んでいたのだ。そんな幼なじみの僕の想いを聞いたロブは

「強くなるのは俺も賛成だ!俺も強くなるそうすれば防げた!でも口調は意味わかんねぇ」


と、理解は得られなかった。




ふと、思い出してしまったが、最近奇妙な話があった。

リリーナ・ランドルフが毎日放課後にグランドから睨んでくるとの噂だ。


放課後に残っているのは大抵、一般試験通過のもの達だ。スキル所持者はそのスキルの訓練をしている。


リリーナもその内の1人なはず。なにをしているのだろう?


僕は気になって放課後探しに来てしまった。聞く話によるとこっちのほうなはず……


あっ!

本当にベンチに座っている。

ん?今一瞬、紅くなかったか?

はっ!!!

リリーナが倒れた!?

少しでも面白いと思って頂けれれば、

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