116.テンションMAX
「いっえぇーい!ミシェルだぁーーー!!!」
リリーナ達は再会を祝うため、ノーステリア基地近くの焼き鳥屋、特務機関行きつけの店【竜砲】に来ていた。
リリーナがミシェルに抱き着き、撫で回している。
リリーナは酔っ払っていた。久しぶりに素で楽しめる演習を行った直後であり、今日は来れなかったメンバーもいるが、5年振りにみんなに会えたのだ。テンションは最高潮である。ミシェルをこねくり回し、胸を揉んで叫んでいた。
「ちょっ、ちょっとぉぉお!リリーちゃん!」
「なんてこった!野郎共!!昔よりデカイぞー!!」
「な、なんか前にも見たな……」
「シアだろう。シアは酔うとリリーの真似をするからな」
「そっか、だからか!」
「そう、リリーが元祖だ。レベルが違う……」
「ビールがうめぇ…」
そんな事を言いながら、イーノス、ロブ、アッシュ、ミロ、ベルクの視線は確実にミシェルを向いていた。
「いやぁ、成長したねぇ」
満足したのか、リリーナがテーブルに座る。
「ッ!?」
リリーナの隣にいたミシェルはバッとリリーナを振り向き、また来るのかと身構える。
「あははッ!違う違う。みんな昔より大人になったって話だよ!」
「5年だからな」
「リリーちゃんがいなくなって、ずっと心配してたんだよ」
「私もみんな無事か気になってたんだけどね。ノウレアから離れられなくてね」
「あの時、リリーちゃんが逃がしてくれなきゃ間に合わなかった。孤児院のみんなも無事に逃げられたんだよ。ありがとう。またリリーちゃんに会えて嬉しい」
そうミシェルに言われ、リリーナは抱き着かざるを得ない。
「こ、こんのぉ!可愛いやつめぇ」
リリーナの顔が少し赤いのはアルコールのせいだけではなかった。面と向かってお礼を言われ、恥ずかしがる。
「みんなリリーナに感謝してるんだ」
リリーナが見渡すと、みんなが頷いていた。
「しょ、しょうがないなぁ!私に任せなさい!!よーし!もっかい乾杯だぁ!はい!かんぱぁーい!」
そんな時、誰かがカランカランと入室してきた音が鳴る。おもむろに入口を見ると、見知った顔が入ってきていた。
「あ!ショーンさん!!」
「げッ!リリーナ!?」
「なんすか、なんすかっ!げッ!って言ったよ。げッ!って!!あ!アグノラさん!ナンシーさんも!!おぉ!?ってことは!?」
ショーンの後ろから続いて店内に入ってきた2人に気付いたリリーナは、仲直りを察する。
「お、おう。そうだよ。お前のお陰だよ」
「そうです。私のおかげです。私は今日、感謝される日なのです!」
「随分と酔ってんな……」
あまりのテンションの高さに、まだシラフのショーンは若干引いていた。
「大将、串盛り合わせを3人前頼む」
「あいよっ」
ほぼ特務機関メンバーであり、テンションMAXのリリーナがいる。リリーナ、シア、イーノス、ロブ、アッシュ、ミロ、ベルクに、ショーン、アグノラ、ナンシーを加えたメンバーでの宴会に発展するのは自明の理であった。
「す、すげぇ。【絶命】、ショーンさんだ……」
「な!なんで、リリーはあんな風に行けるんだ……」
ミロやベルクなど慣れていないメンバーは、突然のネームド出現に少し緊張する。
「君達の反応が大多数だから大丈夫だよ。私もアグノラがいないとそうだもん」
「で、ですよね。でも、皆さん特務機関所属ですもんね。凄いです」
ミシェルもやや緊張した様子であった。
「ふふっ、全然だよ……上には上がいる。とことん思い知らされてるとこ……」
「それなー」
「ナ、ナンシーさんやアグノラさんでもですか?」
「ミロくんだっけ!?そうだぞぉー。あ、でも君らは【絶命】よりとんでもないのと同級生だから、上は最上かな」
「「え!?」」
「ん?あれ?もしかして君たち、リリーナの異常さを知らない?」
「ん?知ってますよ?何度も演習で殺られてますから。物凄く強いですよね。あっ!噂になってる隻眼の死神ってことですよね!?」
「そうです!そうです!それでクウィントンでもみんなを逃がすために戦って…それでノウレアから生還したんです!リリーちゃんはもう、めちゃくちゃ強いんです!」
「そ、そうだよね。分かってるならいいんだけど」
「ちょっと待って」
納得しようとするナンシーを止めるアグノラ。
「ねぇ、リリーナと父さ…う、ゔん。ネームド【絶命】ってどっちが強いと思う?」
「えっと……そ、それは流石に【絶命】じゃないですか?」
「みんな同じなの?」
「え?私もそう思ってますけど………え?」
アグノラやナンシーの反応でミシェル達も察する。どちらが強いのか。自分達の友達は、想像以上の存在となっていることに気付く。
「アルステリアの新ネームドだからね」
「「ッ!?」」
「あぁーー!!!」
リリーナが突如叫んだ。
みんなの注目が集まる中、1人1人みんなの顔をゆっくりと見ながらスライドしていき、ショーンで止まった。
「ショーンさん!!」
「お、おう?」
「ゴチになります!!」
それは見事な敬礼であった。あまりに突然で、ショーンも怪訝な顔をしている。
「な、なんだ急に……」
「い、いやぁー!よく考えたらですね。私……お金ないんですよ。特務機関って給与いつ出ます??」
ノウレアにずっといたリリーナは失念していた。自分が一文無しであることに。寝床は特務機関の宿泊場所をテレーズに渡されている。そこは問題ない。ノウレアはずっとお金ではなく配給の形であったために、頭からすっぽり消えていたのだ。
「わ、分かった分かった。リリーナには今回借りがあるからな。奢ってやるよ」
「おっしゃァー!!持つべきものはネーム友!大将ぉ!ニホン酒追加で頼みまぁーす!」
「お、おい、飲み過ぎじゃねぇか?」
「ショーンさん!!今日はみんなと久しぶりに会ったんでふよ!今日飲まないで、いつ飲むんですか!?」
「………あ、あれがですか?」
一部始終を見ていたベルクがアグノラに確認する。
「……………あれがなのよ」
再会し、たくさん話したリリーナはそれはもう楽しかった。そんなテンションMAXで騒いだリリーナは、遅くまで飲むこととなる。
そして案の定、
「ゔゔゥ……頭痛い……ゥップ…」
飲み過ぎて具合が悪くなっていた。
明けましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願い致します。
尚、日本酒はニホン酒として存在します。
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