105.誕生
「ふふっ。みんなそんなに緊張しなくていいよ。さっきも言ったけど、これは内々に話すための場だから気楽に接して欲しい。君がリリーナ・ランドルフなんだね。私が思っていたより、かなり可愛らしい子で驚いたよ」
陛下は物腰柔らかなんだな。しかし良い声だな。でも、ストーリーモードで見たかもしれないが、もはやあんまり覚えていない。プレイアブルキャラじゃないと、マルチの対戦モードに全く出てこないんだよね……
「ありがとう、ございます?」
幼く見えるってことだろうか?
「テレーズ殿、本当にこの子が?」
「ククッ、ダニエルさん、信じられないかも知れませんが、本当なんですよ」
「陛下に嘘をつくとは思わんが……確かに、直接会っても信じ難いものだな」
この大将はダニエルって言うのか。えっと、黒いのは参謀本部の制服だから、この人がアッシュの上司ってことね。
「リリーナ、眼帯を外して見せてくれないか」
「はーい」
テレーズ長官に言われて私は左目の眼帯を外す。発動しているレッドアイが見えるはずだ。
「赤々しく輝いている。……綺麗だね」
「これがレッドアイの常時発動ですか……」
「シルヴァン・ランドルフ譲りのレッドアイに、マリー博士譲りの頭脳。孤立したノウレアを率いて5年間守護し、先日のノードでは敵指揮官を倒して勝利へと導いております。実力、実績は申し分ないかと…」
「うん。ダニエルもいいよね?」
「はい。異論ありません」
「よし、ではリリーナ・ランドルフをネームドとしよう」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」テレーズ長官が言うので私も続く。
「早速だけど、リリーナはルンドバード兵達に隻眼の死神と呼ばれてることは知ってるかい?」
「あ、はい。先日、聞きました」
「なら話は早いね。基本的にネームドは僕が考えるんだけどね。リリーナはもうそう呼ばれてるみたいだからそれを使おうと思って、考えたんだ」
なるほど…だから、国によってちょっと名前の感じが違うのか。
「陛下…リリーナは女の子ですからね?」
ん?テレーズ長官が何やら心配している。
「分かってるって。でも、ネームドなんだから、やっぱり強そうじゃないといけないじゃないか」
「それはそうですが…」
「と、いうことで…
リリーナ・ランドルフは【隻眼の死神】と名付ける。隻眼の死神と書いて、アインリーパーって読むんだ。5日後の祭典で正式発表するからそのつもりでね」
……おぉ!
いいじゃん、いいじゃん。
「また悪い癖が…」
テレーズ長官が頭を抱えている。なんで?
「え?いいじゃないですか。隻眼の死神」
やっぱ2つ名はルビがつくよね。
「ッ!?リリーナ!?」
「だよね!いいよね。君の話を聞いてからずっと考えてたんだよ!我ながらなかなかカッコイイ感じに出来たなぁって」
「すっごく気に入りました!ありがとうございます!」
「ホントに!?いやぁ嬉しいね。これからもよろしくね」
「こちらこそ!」
陛下とがっしりと握手する。こっちこそ、この国の陛下が良い人で良かったよ。さすが主人公のいる国。設定的にそう作られたのかな?主人公サイドが腐ってるパターンじゃなくて助かった。
「リリーナ、お前…そっち側だったのか」
テレーズ長官がなんか残念な人を見る顔をしている。よく見るとクレアさんと先生は何やら母のような、微笑ましい者を見る顔だ。
ちなみにワイリーは、未だ緊張で顔色が悪い。ワイリーは置いといて…
……あれ?
「テレーズ、君は分からないかもしれないが、これはロマンなんだよ」
「まぁ、本人が気に入ってるなら、いいですけどね」
これはあれか、まさか……厨二案件だったの?魔法ある世界なんだから、良いんじゃないの?
「そうだよ。リリーナは分かってる。ダニエルもそう思うだろ?」
「私も男です。男はいつまでもロマンを追い求めるものです」
「リリーナは女の子ですよ?」
ギクッ!?思わず身体が跳ねるところだった。すいません。前世は男なんです。今の身体に気持ちが引っ張られてるかもと思ってたけど、私にもまだこんな気持ちが残っていました。
ば、バレるなんて、そんなわけないよね?一応、ボロを出す前に話題を変えなきゃ!
あっ!
「テ、テレーズ長官!そういえば、これ!見せるの忘れてました!」
私は咄嗟にポッケに入れて忘れていたネックレス?を取り出す。金色の細いチェーンの先には大きな真珠色のミスリルが付いており、金色の台座が中心のミスリルを強調している。
「ッ!?これは!」
テレーズ長官が驚いている。そうでしょう。そういえば子供の時、母さんがこれに似たネックレスを持っていたことを思い出した。あのときは母さんもオシャレするんだな。くらいに思っていたが、色んな兵器開発者だと知った今は違う。
しかも、敵兵が使っていたのだ。怪しいことこの上ない。
「ギャップが身に付けていたものを奪ったんです。母さんが似た物を持っていた気がして…」
「お、おま、お前は!そういうのは早く言え!!」
「す、すいません。ポッケに入れてそのままで……」
テレーズ長官が頭を抑えている。すいません。まるっきり忘れてて。陛下は笑っているし。クレアさん達は呆れた顔だ。
「ふぅー。これは私も見た事がある。陛下……やはり、マリー博士のデータはルンドバードに奪われていますね」
「え!?」
私はよく分からず思わず声がでた。
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