103.帝都
私達はノードの街を解放した。その後の整備等なんやかんやを全て第3、4師団に任せて特務機関は帰還する。
私は5年振りにノーステリアに帰るのだ。と思っていたら、帝都アルステリアに行くのだとか。正式に軍属になった私に拒否権はないらしい。
……やられた。
しかも帝都に行くのは全員ではない。シア、フリードさん、ショーンさん、ドロシーさんのノウレアに派遣された部隊と、増援部隊のアランさん。
そして、私達行方不明だった組のクレアさん、シンディ先生、ワイリーである。
「やれやれ、人が戦闘中にワイリーはどこにいたんでしょうか?これじゃ、みんなに忘れられてしまったね」
「ずっと後方支援してたんだよ!俺はまだ一般人だぞ!」
「えー、5年も一緒に戦ったのに、薄情じゃーん?可愛い後輩を1人前線に送るなんて……」
「5年も一緒に戦ったんだから、俺の実力分かるだろう?お前について行くのは無理だから!」
「まったく、ああ言えばこう言うんだから」
「これのどこが後輩だ!?」
やはり、ワイリーは才能がある。ツッコミの。テンポよくレスポンスがあるのがいい。先生は真面目過ぎて私がボケても本気にしちゃうのだ。それはそれで可愛い先生が見られるのだが……
「ほらほら、遊んでないで行きますよ」
「はーい」
クレアさんの言うことは聞く。階級はフリードさんが1番上だが、クレアさんが臀に敷いている状態だ。つまりクレアさんには逆らわない。それが処世術である。
そんなこんなで、ゆっくりする暇もなく、帝都に到着する。
「ほぉ」
帝都は都会だ。高さのあるビルが立ち並び、前世の都心と遜色ない。中味は車がエンジンではなく魔力で動いているなどの構造的違いはあるが、元より日本のゲームである。街並みに差はなかった。
「帝都は凄いだろ?」
私の発言を勘違いしたのか、ショーンさんがニヤニヤと見てくる。
「……空気が悪いですね」
なんかムカついたのでディスっておく。
「まぁ、自然豊かとは言えんしな」
何も響かなかったようだ。そもそもショーンさんもノーステリア出身だから当然と言えば当然だった。
特務機関施設に着くと、そのまま長官室へと連れて行かれる。中にはもちろん長官であるテレーズ・アルノー長官がいた。隣にいるのは知らない人たち。ナイスミドルな執事みたいな人と若い女性兵士がいる。
「全員来たな。疲れたろ。まぁ、まずは好きなとこに座ってくれ休んでくれ」
好きなとこにって……この部屋にはソファに4人、会議テーブルみたいなところは6人、そっちの3つあるデスクはテレーズ長官達のだろう。
え?ん?まさか?こ、ここは……
「畳だと……?」
何故か、この部屋の一角には座敷がある。中央には囲炉裏があり、壁には掛け軸が掛かっている。その隣には熊が鮭を咥えた木彫りの置物。
「おっ、リリーナよく知ってるな」
テレーズ長官が私に気付いて近寄ってくる。私は思わず座敷に上がる。もちろん靴は脱いで。
「作法まで知ってるのか」
「凄い、何ここ?」
シアも私に吊られてこちらに来たようだ。覗き込んでいる。
「シアは知らないようだな。これはヴァンハイト王国の伝統的な様式なんだ」
「なんか落ち着いてていいですね」
ピシャン。私がふすま襖を開けると座布団が入っていた。ヘタっていないボリュームのある座布団だ。私は取り出して畳に置きその上に座る。
すると、脇からスっとお茶を出された。
「どうぞ」
さっきのナイスミドルな執事だった。やはり見た目通り、仕事ができる。
「ありがとうございます」
正座して、いただく。
ふふぅ〜〜〜〜〜〜……
凄く落ち着く。これが日本人の魂なのか。前世は気にしてもいなかったが、これほど落ち着くとは。
「私はここで」
「だろうな。アルステリアじゃ珍しいはずだが……妙に落ち着いてるな」
「さぁ、シアもこっちにおいでやす」
シアはチラッとテレーズ長官を見て、同意を得ると靴を脱いで上がってくる。
「わぁあ、なんか凄い。ここに座るんだよね?」
初めて来日した外国人みたいな反応のシア。それを見ながら私はお茶を啜る。
「……良き」
「ふははッ、お前は私の想定を超えるな。まぁいい、しばらくそこで休んでいろ」
テレーズ長官はそう言ってフリードさんやクレアさんたちソファのところに言って今回の作戦の話をしている。私はいるのだろうか……隊長達が話してるなら別にいらなかったんじゃ?
「これ良かったらどうぞ〜」
さっきの女性兵士がなにかを持ってやってきた。
「お、ロールケーキ!ありがとうございます」
「ありがとうございます」
やったぜ。お茶とお菓子。ノウレアだと物資は貴重だったから、ずっと甘いものは遠ざかっていた。一般の子供達を優先にしてたし、仕方がないのだが……
久しぶりの、ケーキはめっちゃ嬉しい。こっちきて正解だったかもしれん。素晴らしきかな。
「君がリリーナちゃんだね。私、アリス。長官の秘書官だよ。よろしくね」
「リリーナです。よろしくお願いします」
この人はアリスさんって言うのか。
「そして、私がジェフでございます。お見知り置きください」
うお!?気配が全然しなかった。レッドアイに映らないとは言え、やはりジェフさんは多分凄いぞ。
「リリーナです。さっきはお茶もありがとうございます!」
「いえいえ、リリーナさんは和室をご存知のようでしたので……お気に召して頂き、嬉しゅうございます」
「ジェフさんは執事さんなんですか?」
「えぇ、テレーズ様に仕えております」
「やっぱり!長官すげぇー!」
「ようやく、リリーナにも私の凄さが伝わったか?」
「はい!」
私は勢い良く手を挙げる。執事がいるなんて凄すぎる。憧れるわー。
「こんなことなら、もっと早くジェフを紹介するんだったな…………まぁいい、今度はリリーナの話だ。今回の一件、全てを公開してお前を第2の英雄に仕立て上げる。いいな?」
「え!?嫌です!」
「そのための準備も……………え?」
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