素性
男の大剣がリュウの頭上に向かって振り下ろされる
カンッ
何かが、男の大剣にあたり男は動きを止める
「誰だ!」
茂みから音が近づく
「随分手こずったらしいな、ウィルバード・シュテラ・ネハウス」
そう言いながら歩いてきたのは、ギネアだった
「光明軍No.8ギネア、ノッテ…」
男はそう言って、右足を後ろに引く
「なぜラスクを狙う」
ギネアは、緊張感なく男に問いかける
「お前に言う必要はない」
男はそう言ってその場を離れる
「逃がすか!」
ギネアは、短刀を四本去る男に飛ばした
短刀は男の四肢の裾にあたり、男は木に張り付いた
「ここで、お前を殺してもいんだぞ…」
ギネアは、男に顔を近づけ耳元で囁いた
男は、突然笑い出した
「はははははははぁ」
ギネアは表情一つ変えず男から目を離さない
「お前らでは、モア様は使いこなせないだろう」
男はヘラヘラしながら言う
「それは、どういう意味だ」
「モア様は光ではなく、闇だからだ、、」
男はそう言って爆発した
白い煙が舞った
「ギネア、さん、」
地面で力尽きているリュウは、ギネアの方に手を伸ばし、意識を失った
「う、、、、りう、、、りゅう!」
リュウが目を開けるとそこには、ラスクがいた
すごい心配そうな表情で名前を呼んでいる
「ら、すく、」
リュウが名前を呼ぶと、少し涙潤んで笑って飛びかかる
「おい、起きたばっかだから、あんまり抱きついたりするなよ」
ライトスの声がする
「ごめん、俺怖くて、戦えなくて…」
ラスクはリュウの胸にうずくまり泣いた、リュウはラスクの頭に手を当て微笑んだ
「俺が戦えない時、よろしく頼むよ…」
リュウはうずくまってるラスクに優しい声で言う
ライトスは横で椅子に座りながら、ラスク達をみて微笑んでいる
「そ、そう言えばギネアさんは!」
リュウは思い出してでかい声で聞く
「ギネアさんは、大丈夫もう他の部隊で仕事してるよ」
ラスクは話た、あの時敵が自爆したかのように見えたのは、ただの煙幕だったことを、そしてまんまと逃げられたことを
「リュウ今聞くのは、あれかもしれないが聞ける時に聞いておく」
ライトスは少し表情を強張らせ問いかける
「お前召喚できるのか?」
リュウは、表情を変えず答える
「はい、憑依もできます」
ライトスは驚いた
「憑依って確か…選ばれた龍魔族だけじゃねぇのか?」
リュウは頷き答える
「この際だから言っておきます」
「俺は龍魔族の王です」
ライトスはまた驚く、今度はラスクもうずくまった顔を上げ驚いた
「リュウという、名は王に代々受け継がれる名前なんです、そして俺は230代目」
リュウの表情は少し暗くなった
「でも、王ならこんな所にいたらダメなんじゃ…」
ラスクは問いかける
「ダメだよ、でも外の世界をみてみたくてさ、それともう一つ、ある物を探すために…」
「あるものって?」
「まぁ簡単に言えば刀だな、龍魔刀っていう刀で、随分昔になくなったって言われてるんだけどな…」
ライトスは顎に手を当て何か、考えている
「あー、あれか、その昔500年戦争の時に龍魔族の王が、戦争を納める時に持ってたって言われてるあれか」
ライトスはスッキリした表情をしている
ラスクはわからない様子だ
「500年戦争?」
ラスクは首を傾げて言う
「500年戦争、その昔人間と異種族間で起きた長きにわたる戦争、今から1000年ぐらい前の話、結局勝敗はつかず、と言うかその時の龍魔族の王が無意味な戦争に終止符をうったんだがな…」
ラスクは目をかがやかせ聞いている
「ライトスさん!派遣を要員したいのですが」
扉を勢い開けて出てきた男に、ラスクは見覚えがあるようだ
「あ、あの時の側近の」
ラスクは指をさして言う
そう、彼は最初ラスクがライトスに運ばれていた時に、ライトスの横にいた男だ
「側近って、俺はフィリス・アリアス
光明軍のNo.9でギネアと同じ部隊だ」
男はそう言って、本題に入った
「派遣って、何があった?」
ライトスは問いかける
「はい、エリア3で現れるらしいんですよ…石土竜が…」
ライトスの目の色が変わった
「リュウ、起きてそうそうすまねぇが行ってくれねぇか、ラスクと…」
ライトスが両手を合わせてお願いする
「いいですよ」
リュウは簡単に受け入れた
これが、大変な仕事だと知らずに…