仲間の為に
「ウィルバード、、、」
ラスクは呟く
「さ、戻りましょう」
男は笑みを浮かべ右手を差し出し近づいてくる
「ラスクに近づくな」
リュウはラスクの前に立ち、左手でを横に突き出す
「モアさんのお友達ですか?」
男は笑みを浮かべているが、眉間にシワがよっている
「お、俺はもう…」
「お前は何も言うな、後は俺に任せろ」
リュウは、ラスクに背中を向けそう言う
「ほぉ、珍しい龍魔族ですか…」
男の眉間のシワが薄くなる
「だったら何だよ」
リュウは、男を睨んだ
「いや、実験に使えるなと思いましてね」
男はそう言ってリュウに向かって走り出す
「ラスク逃げろ!!」
リュウは、大声で叫ぶ
「で、でも」
ラスクは躊躇している
「俺を信じろ…」
ラスクは走り出した
「随分舐められたものだ」
男はそう言って、背中の大剣を掴んだ
「見せてやるよ、龍魔族の力…」
リュウは、その場で構える
男は、あと数歩でリュウに攻撃を当てれるほどの距離にいる
「かかったな!シャギナ!」
リュウは、ニヤリと笑う
リュウは、あらかじめ、ギネアからもらっていた五本の短刀を地面に仕掛けていた、リュウとラスクは二週間の修行で設置魔法を学んでいた…
「くっ、設置魔法」
男は小刻みに動くだけで、固まっている
「さ、一発で終わらしてやるよ…」
リュウは、肩を回して呼吸を整えたあと
垂直に立ち右手を空に掲げた
「龍神降臨…」
雨がやんだ、空の雲が切り開かれた
「龍魔導の中でも難度の高い龍神降臨が使えるとは…お前何者だ」
男は笑みを浮かべていた表情が消え去り、驚いている
「黒龍か…」
空から黒い龍が現れ、ものすごい速度で降りてきている
「こ、これが黒龍!」
驚きのあまり、男の口は閉じない
「耐えれるかな」
黒龍は、リュウにまとわりついている
黒龍の大きさは、全長5mほどある
「こ、この俺が…死ぬ?」
男は恐怖を覚え始めた
「龍憑覚醒」
黒龍がどんどん薄くなっていく
「き、消えていく、どういうことだ…」
男は目の前の状況を理解できないでいる、黒龍がリュウに憑依しているということが
黒龍が完全に消え、リュウには黒いオーラがただよっている、リュウは、男の目の前に立った
「黒撃」
リュウは、男の腹部に左手の掌底を突き刺した
一瞬間が空いた後、男の背中から黒い波動が貫通した、男は数十メートル吹き飛んだ
「やべぇ、魔力がもう、ねぇ、、」
リュウの左腕には力がなく、何故か出血している
垂れ下がっている左腕を右手でつかみ息を荒げている
そして、波動で開けた木々の先をリュウは、見入っている
「ハァ、ハァ、黒龍ってのが、悪かった、ようだ、な」
男は生きていた、大剣を杖代わりにしてこちらに歩いてくる
「ハズレを、引いたって、ことか」
リュウは笑っている、あまりの自分のツキの無さに…
龍神降臨は、ランダムに龍を召喚する技のため、黒龍以外を召喚していれば勝てていたのだ…
「お前の、魔力は、もう、あるまい、、」
男は腹部からポタポタと地面に血を流しながら、リュウに近づいてくる
「すまねぇ、ラスク…」
リュウは、立つ力もなく地面に膝をついた
男は四つん這いになっているリュウの目の前に立ち、杖代わりの大剣を頭上まで高く上げた