背中の数字
「この草原を中心としたら、半径5キロぐらいまでが範囲か、、」
リュウは、顎に指を当て考える
「そんなん、いいからさ作戦立てようぜ」
ラスクは考えているリュウに目を向け言う
「まぁ、そうだな考えるより先に行動だな」
リュウは、考えるのをやめラスクに目を向けた
「おいっ!勝手に行動すんな!」
ラスクは正面のヤブに入ろうとしていた
「だって、考えるより先に行動って言ったじゃん」
口を膨らませてリュウを睨んだ
リュウは、少しイラついている
「考えてみろよ、闇雲にヤブん中に入ってたら迷っちまうだろ」
リュウは、指を立ててラスクに言う
「迷うったって…ん?」ポツ
ラスクの鼻に水滴が落ちた
ザーザー
「やべぇな、こりゃひでぇ雨だ一旦ヤブに入るぞ」
リュウは、雨宿りのためヤブに入ることをすすめる
ラスクは、自分の意見を否定したのに結局ヤブに入るというリュウに、少しイラついた
その後二人は木々を集めて、ヤブの中の少し開けた場所に移動した
「火玉」
リュウは、集めた木々に魔法で火をつけ焚き火を始めた
「びしょ濡れだ、このままじゃ風邪ひくしな…おいラスク服脱げ」
唐突にリュウは、言う
「やだ」
ラスクは即答する
「ヤダって、体調くずしたら勝てるんも勝てなくなるじゃねぇか」
リュウは、強い口調で言う
「やだ」
ラスクは一歩も引かない、焚き火の前で手をかざして座り込みリュウに目を合わせることはない
「脱げって」
リュウは、ラスクの服を引っ張った
「やだって!」
ラスクも抵抗する
ビリビリビリ
ラスクの背中部分が半分破けた、ラスクの白い肌に腰のくびれがあらわになる
途端にラスクは焦ったように後ろにいるリュウの方にへそを向けた
「恥ずかしがんなよ、男なんだろ」
リュウは、にやけていやらしい手つきでラスクに近づく
「く、くるなぁ」
ラスクはリュウにへそを向けた状態で後ろ向きにあるきだす
なぜそこまで見せたくないのかリュウは、不思議に思った
そしてラスクに向かって走り出す
「捕まえた」
リュウは、ラスクの手を掴んだ、そしてラスクの背中を見た、ラスクは何故かうつむいている
「!」
リュウは、驚いた
「なんだこの、001って」
ラスクの背中には大きな数字が描かれていた
それは入れ墨のような薄暗い色だが、何故か窪みが出来ている
「……」
ラスクはうつむいている
「ご、ごめんな、知らなくてさ、、」
リュウも申し訳無さそうにうつむく
「いいんだ、いつかはバレる事だったから」
ラスクは顔を上げてリュウに目を向ける
「その、数字は…」
リュウは、問いかける
「この数字は、俺の最悪な思い出…」
ラスクは暗い表情で語りだした
「俺は昔ある軍隊に所属してたんだ…」
「最悪な軍隊さ、俺の気持ちは考えず、ただ道具、駒としか見てなかった…」
「俺は、嫌だった…だからあの時に……」
「その軍隊の名前は…」
その時奥の茂みからガサガサと音が聞こえた
「だれだ!」
リュウは、身構えた
ラスクも戦闘体制に切り替える
スタスタと近づいてくる足音と同時にこれまでに感じたことのない緊張感をリュウは、覚えた
雨で冷え切った体から汗が出るほどに二人は恐怖している
「探しましたよ、モア隊長」
茂みから、キツネ目で背丈の高い長髪の黒髪、全身黒い服の男が現れた、背中には大剣をたずさえている、そして不吉な笑みを浮かべている