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番外編 6話 珠寺早苗

 俺には年の離れた彼女がいる。

歳が離れたと言ってもたったの3歳差だ。

しかし学生である俺には3歳差は個人的には大きい。

俺が小学6年の頃に彼女と知り合ったのだが当時の彼女は中学3年で小学6年の俺にはとても大人に思えた。

子供ってのはとにかく年上を無駄に持ち上げる傾向にあるけど小学生と中学生では超えられない大きな壁があるような気がして凄い大人なイメージをもっていた。


そしてそんな俺も今や高校生だが彼女は大学生。

年齢的に越えられないのは仕方ないが今も変わらず彼女は俺の中で大人の女ってイメージだ。


小学生の頃の俺は所謂クソガキだった。

女子の嫌がる事を率先してやって周りの男友達から持ち上げられて気分を良くするよく居る類のクソガキだ。


その頃の俺のトレンドは女子のスカートめくりで嫌がったり怒ったりしている女子共の反応を見て楽しんでいた。

性欲なんてこの頃は全くなくただ女子の反応と周りの男友達から持ち上げられるのが快感でやっていた。

まごうことなきクソガキだ。


そんな俺の前に現れたのが今の俺の彼女。

珠寺早苗だ。

同級生の女子どもの誰かに彼女と面識があったのだろう。

早苗は俺の事を聞いて注意しに来たのだ。



「君が誠吾君?駄目ですよ?人が嫌がる事をしては?駄目な大人になるますよ?」


「あ?誰だよお前?」


「私は珠寺早苗、貴方に注意しに来ました」


「はん!年上だからってちょーし乗ってんじゃねーよ!」



俺は早苗のスカートもめくってやった。

飾り気のない白いパンツが見えた。

俺はそれを見てニヤリと笑った。

他愛もない、偉そうにしてても他の雑魚女共と変わらないと鼻で笑ってやったのに早苗は心底つまらなそうに俺を見ていた。



「これで満足ですか?貴方が満足するならいくらでもめくればいいですよ。でもそれは貴方が他人が嫌がる事をしてそれを見て喜ぶ歪んだ大人になるだけだと理解してくださいね」


「はっ…はぁ?」


「お姉さん悲しいですよ…まだ幼い貴方がこんな歪んだ事をした結果歪んだ性癖をもった駄目な大人になるのが。」


「うっ…うっせーよ!ババァ!訳わかんね〜事言ってんじゃねぇ!」


「ババァ?ババァとは誰の事ですか?」


「あぁ!?そんなのお前しかいねーだろーが!」


「わっ…私はまだ中学生です!失礼で生粋な貴方には躾が必要ですね!」



早苗はそういうと俺の腕をグワシっと掴んで何処かに連桁していく。



「はっ!離せよこの!俺を何処に連れて行く気だ!」


「ふふん!私の家です!」


「はぁ!?」



はたから見れば幼い小6男子を家に連れ込む中学生女子というやや早すぎるおねショタシチュエーションだが勿論そんな展開にはならない。


早苗の実家は爺さんが道場をやっていて幼い頃からそこで護身術を学んでいる早苗はそこらの男よりも強い。

中学生の身で高校生男子を背負投げしてか弱い女子を護ったなんて話は早苗の周りの女子の間では有名な武勇伝の一つだ。


俺はその日年上のお姉さんの家という名の昭和臭漂う古道場で一見ヨボヨボそうなくせに道着を着ると元気ハツラツパワフルなジジイから手厚い歓迎というなの洗礼を受けたのは今では良い思い出だ。



「成る程、誠吾君のクラスは中々の地獄絵図ですね、くれぐれも変な気は起こさないでくださいよ?」


「変な気ってなにさ?」


「厄介事に首を突っ込む事ですよ。貴方は昔から良くも悪くも首を突っ込む傾向にありますからね。」


「厄介事ねぇ?早苗さんは基本自分からその厄介事にダイブしていくイメージだけどね?」


「そんなつもりはありませんよ、結果的にそうなる事は確かに多いですがね。そう言えばこの前も困ってる女の子を助けましたね。」


「やっぱり何かしてるじゃん」


「困ってる人がいたらとりあえず助けてあげるものでしょ?世の中持ちつ持たれつですよ?そう言えば誠吾君と同じ制服でしたね?そうです思い出しましたよ!たしか萬月さんという名前の女の子でしたね」


「萬月?萬月楓か?」


「あら?ご存知なんですか?」


「クラスメイトだよ」


「あらあらこれは何やら運命的な物を感じますね?もしかして惚れてる相手とかぁ〜?」


「はぁ?チゲ〜よ…わかっててそういう事言うの中々嫌味だぞ?早苗さん」


「ふふ、君は私の事が大好きですからね〜」


「うっせーよ!」


「しかしその萬月さん、なにやら男の子に襲われてましてつい勢いで助けたのですがもしかして彼氏か何かだったのでしょうか?だったらいらないお節介を焼いた可能性もありますかね?」


「それ多分野上だよ、前に話したろ?ハーレム主人公みたいな奴がいるって。

アイツが裏でやってた事が最近になってドミノ倒しみたいに次々バレて学校退学になったんだよ、でたまたま見かけた萬月に襲いかかったとかじゃねーのかな?しらんけど?」


「なるほどですね〜誠吾君はそんな誰彼構わず手を出すようなナンパな男の子になってはいけませんよ!」


「仮にナンパな男の子になったらどうなるの俺?」


「知れたことですね、貴方を閉じ込めて更生するまでビシバシしごきあげて上げますよ。」

 

「別の意味だったらよかったんだけどなー」


「うん?どういう意味ですか?」


「なんでもないよ?」


思春期男子である誠吾は早苗の言葉をいちいち下ネタに脳内変換して受け取ってしまうがそんな事は早苗が知る由もない事だし誠吾もまた知られたくはない事なのだ。

早苗のしごくとはそのまま道場に閉じ込めてネジ曲がった性根をしごき上げて矯正するという意味だ。

つくづく自分のしょうもない性分に呆れ返る。

そもそもしごくとは着物の帯を結ぶ意味合いで使われるので使い方自体が違うのだがそんな事をいちいち指摘してくるやつはここにはいないのだ。


「なんなら久しぶりに私が相手してあげましょうか?最近なまって来てそうですし、しつけ直して上げますよ!」


「いやいや遠慮するよ、爺さん仕込のスパルタハードな鍛え方は俺にはしんどい…」


「何を何事言ってるんですか男の子でしょ!?今日は久々にお姉さんはりきっちゃいますよぉー!!」


「へ!?いや!いいから!ね?」


「ほら!さっさとしてください!」


「へ?へ!?」







それから道場に投げ飛ばされた俺はあらゆる場所に背負い投げでふっ飛ばされた挙げ句にあらゆる関節技を彼女からガッチリ決められ彼女と体と体が触れ合う事を喜ぶ隙もなくミシミシと軋む体の痛みに涙を流し基礎鍛錬だと一緒に道場周りの走り込みをやらされた。

実はこれは小六の頃から定期的にやっている事なので思っている程キツくはない。

多分体が既に出来上がっているのだろう。

彼女のせいでマゾ体質になっている気がするがニコニコと笑う彼女を見てるとそんなのは些細な事かとおもえてくるのだ。



一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一




「痛てて…」


「どした?今日も筋肉痛?」



学校で自分の席に着こうとすると友人の貴樹がそんな事を聞いてくる。



「あぁ、恋人の猛烈なしごきに体が悲鳴を上げてるのさ」


「確か格闘家の爺さんの娘さんだっけ?誠吾の彼女って色々設定盛りすぎだよね?」


「設定ちゃうわ!なんなら今度合わせてやろうか?」


「へ?実在するの?」


「お前まだ俺の彼女をエア彼女扱いしてたな!早苗さんは実在するんだよ?」


「へ?早苗…さん?」


「お?おう!俺の彼女!早苗さんだ!」


「なぁ…誠吾…」


「なんだよ…?」


「その彼女の名前…絶対に瑞穂には言うなよ…」


「は?なんでさ?」



問いかけた友人の顔は真剣そのモノだった。

冗談や面白半分で言ってるのではないと直感出来る程度には友人、貴樹の言葉からは重みを感じた。

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