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基本塩対応な清楚系ギャルの幼馴染みに昔告白してフラれた筈なのに最近やたら距離が近いのは何故だろうか  作者: ムラタカ


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21話 最終回

いつも誤字脱字報告ありがとうございます。




「話かけんな!」



心配になり彼女に声をかけるがそれは彼女自身に拒絶された。

まるで近づく事自体が心底不愉快と言うように。


一人にして欲しい。

そういう意味として解釈し俺は彼女を追いかけなかった。

その選択を後悔する事になるとはこの時の俺は思っていなかった。



次の日、学校に現れなかった彼女に違和感を覚えた俺だったが家に帰ると噂や世間話が好きな母親はまたしても俺に情報を寄こしてくれた。

現在の彼女は病室のベッドに寝かされているらしい。

幸い体に別状はない。

後に残りそうな怪我もない。

ただ眠ったまま起きてこないのだ。

車にひかれそうになったらしいが五体満足。

実際に瑞穂は車道に飛び出したらしいが彼女にぶつかる寸前で車は急停止して事なきを得たらしい。

後続車がいなかったのが不幸中の幸いでそれがもしあったら目も当てられない大惨事になっていた事は想像にかたくない。

人間は思い込みの激しい動物だという話をネットか何かで見たことがある。

想像力があると言うことはそれだけ信じ込みやすい、思い込みやすいという事だ。

瑞穂が自殺を考慮にいれ車道に飛び込んだのなら彼女のなかで自分は死んだという思い込みが成立していて車にひかれたというショックがこの昏睡状態に起因しているのでは?というのが彼女を見た医者の判断らしい。



しかしその後も瑞穂が目覚める事は無かったらしい。

ずっと眠り続けたまま。

かれこれ一週間以上は眠り続けていて普通ならとっくに起きていないとおかしいのに目覚める兆しが全くみえないのだとか…。


俺は直感できっとあの夢が影響してるんだろうと思った。

瑞穂が見た夢がなんなのか、何故そんな物を見たのか俺にはわからない。

わかるはずが無い。

未来の落ちぶれた自分なんて物を見せられれば人はあんなにも変わってしまうのか…。

俺にとって瑞穂は手の届かない超然…とは違うけどそれに近い存在だった。

だからこそ恋い焦がれた。

だからこそあれ程惹かれた。

これ以上拒絶されるのが怖くて俺も彼女を拒絶した。

それからだ。

彼女がおかしくなったのは…。

以前の超然とした余裕は消えて達観しているのに余裕がない、悪い意味で人間らしくなった彼女に対して俺の恋心は無くなっていった。



それから何ヶ月か経過したが彼女が目覚める事はなく点滴でかろうじて生かされている彼女の体は徐々に痩せ衰えていった。


あれから萬月とは特に話していない。

お互いに気まずくなりどっちからかはわからないが距離をとるようになり気づけば疎遠になっていた。


塚本も学校には普通に来ている。

例の拡散騒動は思っていたほど大事にはならなかった。

生徒間だけに留まった動画はそれ以上拡散されることは無く広大はネットの海にも教師陣の誰にも知られる事無く静かに沈静化していった。

塚本がクラスのトップにいたことやハーレムの親玉の野上が手を回した事も大きかったらしいがもともと野上と塚本がそういう事をしていても別におかしくなくね?てのがクラスメイトの総意らしく皆からはまぁ普通だよね?やってると思ってた、野上羨ましい。程度の認識だったらしい。

まぁ一部の男子の間では大変活用されてるらしいが塚本をファッションリーダーとして崇拝してる一部の女子から睨まれていたりする。



そうして普段通りの学校生活を送りながらも帰りに瑞穂が眠る病院に通うというのが俺の日課となっていた。

結果から言えば俺も瑞穂に依存していたのかもしれない。

瑞穂という俺にとっての日常を象徴する存在がいなくなる事への不安は抗い難いものであれだけ彼女を拒んでいたくせに今はこうして足繁く病院に通う毎日だ。


もし俺を客観的に見てる第三者がいれば優柔不断だとか中身スカスカの陰キャ男とか馬頭されてたろうがそんなの知ったことじゃない。

結局これが俺という人間だったのだろう。


そうした毎日の中でずっと寝たままだった筈の…そして眠ったまま起きないとも思っていた瑞穂が突然なんの前触れもなく目覚めていて上体を起こしていた。


彼女の病室に入った俺と彼女の目があう。

何時間にも思える長い一瞬。


開口一番に彼女が放った言葉は意外な物だった。



「貴樹…そっか…貴樹…ごめんねぇ……」


「え…?」


「私は貴方の事を何も考えて無かった…いつも自分の事しか考えて無かった…それが今になってわかったよ…」


「瑞穂…どうしたんだ…?お前…」


「もう私にはどっちが夢でどっちが現実かわからない…それでもまたこうして貴方と会えたこの奇跡を噛み締めて生きていきたいの。」


「瑞穂…」



そこにいたのは俺にとっての初恋の相手…中学時代の瑞穂でも高校生の瑞穂でもあの悪夢から目覚めた後の瑞穂でもない、俺の知らない瑞穂だった。

まるで憑き物が落ちたような落ち着きようは強い違和感として俺の中に飛来した。

眠っていた間に彼女に何があったのか…



「久しぶりだね…って言っても貴樹にしたらつい数ヶ月前の事だよね?ごめんね…迷惑ばかりかけて…」



壁にかけられたカレンダーを見ながら彼女はそんな事を言う。



「お前…瑞穂…だよな…?」


「うんそうだよ…瑞穂だよ…まぁ貴樹からしたら違和感あるのは仕方ないのかな?夢の中で私年取り過ぎたから…」


「年取り過ぎたってお前…」



瑞穂は淡々と語り始めた。

その内容は信じがたい物だった。

瑞穂が眠っていたのは数ヶ月の期間だ。

その間彼女は一度も目覚めた事はなく眠り続けていた。

しかし眠っている間も彼女は夢を見続けていたらしい。

夢の中では約20年後、彼女が40歳の世界の続きが展開されていったらしい。


そこは現実となんら変わる事は無く人々が生活している。

もう彼女には今が夢見る夢の中の世界なのか、現実の世界なのか、はたまた夢だと思っていた未来が夢なのか現実なのか区別はつかないのだという。


夢の中の彼女は自動車に跳ねられ重症を負い死を待つ状態だったらしい。


しかしそんな彼女を助けたのが未来の俺だったのだとか。

救急車を呼びずっと付き添っていたらしい。

未来の俺には子供も奥さんもいたらしいがそれでも彼女を見捨てなかったらしい。

未来の俺が言うには見下してた奴の下でないと生きていけないお前の有様を見るのが俺を裏切ったお前に対する最大の復讐だ…という事らしい。


大人になっても俺はどうやら俺らしい。

でもこれは瑞穂の見ている夢の中の俺なのならその再現度は流石は幼馴染みといったところかも知れない。

兎にも角にも拗らせてるな。


結局瑞穂は未来の俺に養われて生きて来たらしい。

未来の俺とその奥さんとの間に生まれた子供にも懐かれていたらしいが後ろめたさや後悔やら言葉に出来ない心の残痕で直視出来なかったらしい。

しかしその子供の屈託のない笑顔に自分がいかに矮小でちっぽけな存在だったかを痛感したらしい。

だからだろうか、未来の俺を奥さんから寝取ろうだとかそんな気持ちは全く起こらず二人を支えていこうと思えたのだとか。

これで奥さんの方が悪人…あるいは瑞穂を軽視するような人間だったら話も変わってきたのだろうが彼女は瑞穂を受け入れ共に夫を支えて欲しいとそう言ったんだそうだ。

入り込む余地などないとそう思ったんだと瑞穂はいった。



「温かい家庭だった、貴樹に早苗さん、そして瞬君。あの家族は太陽の様に温かった、だから自分の浅ましさや矮小さがかえって浮き彫りになってとても直視出来なかった…あの人達の優しさが私には辛かった。」


「お前…」


「私はあの人達を支える事にしたのよ…まぁ私の方は例の交通事故で体にガタが来ててね、そんなに長生き出来た訳じゃなかったけど…それでも楽しかったわ…。」


「じゃぁ…」


「いつもみたいに眠ったら次はこっちに来てた…多分夢の中の私はあの後…」


「そっか…」


「もう貴樹に付き纏ったりしないから安心して、アンタにはアンタの未来がある、アンタにはそれを大事にしてほしい。」


「まさか…お前からそんな事いわれるなんてな…」





目覚めた後の瑞穂はその後ぐんぐんと回生に向かい元の活気を取り戻した。

直ぐ様学校にも復学し萬月や塚本に謝りにいっていた。

塚本に頬を引っ叩かれていたがそれでも彼女は塚本に対して頭を下げ続けていた。


その後何故か野上は自身のハーレムを維持する事が出来なくなったどころか元のハーレムメンバーからこれまでの罪が洗いざらい露呈させられ学校を追われる事となっていたがその後のことはわからないし知らない…。




ちなみに俺と瑞穂は付き合ったりはしなかった。

結局は元のもくあみ。

幼馴染みとしての関係が続いて行くだけ。

ただそれでも彼女は


「アンタには運命の相手がいるんだから浮気なんてさせられないわ!」


と、いらないお節介をやくようになったのは少し困りものだが。



ちなみに彼女にお前は彼氏とかつくらないのか?と聞いたところ「当分はいらないかな…」と清々しい笑顔で返してきた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 絵に描いたような罵倒炎道。(•▽•;)(捜索モノは業・糖・業私遊戯といわれてるようですが、書いた後の批評煮 も晒されることとワンセットでもあると。それに耐えられない書き手は所詮、単なる吠え魔…
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