ポヤポヤ日誌【その4】
ポヤポヤ日誌【その4】
運命の道筋!
2020年7月11日13時が、約束の刻。
その前に、るいちゃんのところに向かう。
12時に到着し、お話しする。
「リフレしてもらうんですか?」
「ポイント特典で、一時からわっこさんに!」
「もうすぐじゃないですか」
「なので、五十分くらいに、出発します」
「いいな、リフレマッサージ」
「羨ましがってくれて、アリガタキ!
その時に、頼んでた事、念押しする予定」
「何を頼んでたの?」
「表紙のイラスト」
「ラヒさんの小説?
いよいよ本になるの?」
「来年の一月出版予定」
「おぉーおめでとうございます」
「ありがとうございます。
ラヒ・サーガの第一巻、デビュー作」
「サーガ?」
「sagaは、大河小説という意味です。
女神伝承大河小説!ラヒ・サーガ」
「ラヒさんが、女神になるお話し?」
「百三十八億年後には、誰もが知るラヒ女神様」
「ラヒメガミサマ!?」
「この星に恒久平和をもたらす光の女神」
「ヒカリのメガミ!?」
「ノーベル賞をとる恋愛小説!
それが、ラヒ・サーガ!
終わりで始まりの物語!
オメガアルファストーリー」
「るいちゃんは?」
「えっ?」
「るいちゃんは、いつ出てくるの?」
時期的に、まだ、出会ってない。
少し立ち話しをしたかどうか。
なによりすでに書き終わっている。
まぁ、書けない事もない。
続編とか後日譚なら。
「スピンオフとかでもいいよ」
「スピンオフ作品?
タイトルは?」
「…?…?…?…ポヤポヤ?」
「ポヤポヤ?」
ポヤポヤって何?
なんかほのぼのした感じ?
「タイトルは、なんでもいいよ。
とりあえず、るいちゃんも出たい。
出そうよ、なんでもいいから。
ねぇ、お願い」
お願いされてしまった。
「えーと、じゃあ、何かある?
自己紹介的なプロフィールとか?」
「書いたらいい?」
そう言うと彼女は、メモ用紙を持ってきた。
そして、何やら嬉しそうに書き始めた。
それを眺めながら、タイトルの事を、考える。
すぐ頭に浮かんだのは、日記でdiary。
少し文学的にしたならば、日誌でjournal。
ポヤポヤは、カタカナ。
日誌は、漢字。
振り仮名は、ひらがなにしてみる。
『ポヤポヤ日誌』
それを、るいちゃんに伝える。
「良い、良いよ、じゃーなるカッコイイ」
そう言って喜んでくれた。
Fin
おまけ
数十分後、秘密基地で、リフレマッサージ会。
わっこさんからの施術を、堪能する。
「東京に行くんですか?」
「コロナ感染者が、増えて危険だから延期かな」
「ですよね」
「出版社に行くのは、治ってからかな。
だけど、治るかな?」
「えーどうなんでしょうね。
早く治ってくれたらいいんですけど。
出版の予定日とかは、決まったんですか?」
「来年の一月に出版予定となりました。
なので、表紙のイラストお願いしますね」
「前に言われてたやつですね。
わっこで、良ければ描かせてもらいます。
ラヒちゃんの似顔絵で、良いんですよね」
「はい、よろしくお願いします。
後は、わっこさんのプロフィールも。
イラストレーターの紹介で載せます。
ついでにお屋敷の事も絡めてお書き下さい」
「宣伝しちゃってもいいんですか」
「もちろん、全国的に、しちゃって下さい。
そして、ラヒ・サーガ続編からのシリーズ化。
恋愛小説の女神伝承大河小説でベストセラー。
ゆくゆくは、ノーベル賞を、イタぁダキマス」
「なんか壮大ですね」
「地球上を平和にしたらもらえるかなと。
ノーベル平和賞とか、ノーベル文学賞とか」
「めちゃくちゃザックリですね」
「ザックリと、我ラの地球を平和に!
みんなで楽しく!
平和的手段で!」
「あぁ、平和が、いいですよね。
平和が、一番なんですよ。
なんで人は、戦争したがるんでしょうね?」
「ボウヤだからさ!」
と、赤い彗星の台詞を言ってみる。
「ボウヤなんですか?」
「愚かで未熟だから戦いたがり争いたがる」
それが、人というボウヤ。
孫子の兵法を、理解どころか知らないボウヤ。
戦わずに勝利する手段を思考しない怠け者。
心や命が、大事だと認識できてない愚か者。
「戦争したり環境破壊してますからね。
やめてもらいたいものです。
けどやめられないんでしょうね。
やめられないから、人なんでしょうね」
妖の長は、哀れみながらそう言った。
人は、『人』という呪いをかけられた者達。
生まれてきた者達は、人間社会の洗礼を受ける。
洗礼は、洗脳で、精神を支配する呪い。
人という概念は、人が、理解できない概念。
人には、到底理解できないのが、人という概念。
理解したいなら別の視点が、必要になる。
神や悪魔が、持っている第三の眼。
または、猫の視点や、細菌の視点。
他の視点から人間社会を眺めれば、視えてくる。
人とは、なんなのかが、視えてくる。
何が、おかしいのかを知ることが、できる。
人とは、なんなのか?
その答えを理解すれば、呪いは、解ける。
そして、なりたい自分になんでもなれる。
そのことに気づく。
少女は、天使や小悪魔、妖精や鬼になれる。
人にならなければならない必然性は、無い。
人になる必要性も、あまり無い。
母性を育て、神の領域を味わい尽くせばいい。
魔法少女として正しい道を進んでいけばいい。
問題は、男としての志を、持たない少年達。
男志では、無くて、男子の少年。
それは、つまり、人間に他ならない。
男の志が、なんなのか、人間には、理解不能。
志向していないから、人間になる。
弱肉強食などと言って、弱い者を食い物にする。
志を思考理解できないから人間のまま。
弱い者を守るのが、男としての進むべき道。
それが、ボウヤには、理解できない。
理解できないボウヤが、やがて、人間になる。
万物の王である霊長類とは、程遠い人間。
男志と男子を、見分けるのは、難しくない。
よく見て、よく聞けば、すぐに判る。
男の理想像を持っているかどうか訊けばいい。
理想の男とは、どんなものか?
その答えを聴けばすぐ判る。
慣れれば、態度行動と発する言葉で、判る。
黙って見てるだけで見抜けるようになる。
世間は、大きな人で、あふれている。
それを今後どうするかは、少女が、決めればいい。
よく学び思い考え相談して決めればいい。
獣を、野に放つのか、檻に入れるのか?
少女の意思で、決定すればいい。
少女の掟で、未来を決めればいい。
少女達の理想社会を、実現していけばいい。
そのための道筋は、すでにある。
後は、時間の問題。
早すぎず、遅すぎずのタイミングが、重要。
そして、教育の大切さ。
自分で、自分自身を、どう育てていくか。
愛に依る教えをどれほど理解し吸収できるか。
志に対して、どれほどの愛を捧げれるか。
「ライブは、久しぶりに行かれるんですか?」
「三月終わりに行ったきり。
約百日ぶりのライブ。
夕方から心斎橋FANJです」
「楽しんできてくださいね」
「はい」
ライブは、十九時会場の第三部に四組。
匿名ミラージュ、少女模型、Fiore、ROWEL。
非接触型体温計で温度を測られる。
それから入場。
消毒スプレーも、常備されていた。
観客は、マスクが、義務付けられている。
コロナ対策で、座席間の距離は、広めだ。
席に座って、声を出さずに見守るライブ。
時代の流れを感じながら、ライブに集中。
《ラヒ・サーガ『蜃気楼の少女』に続く》