追憶
中学三年生の時、壮大な小説を書こうとした。
原稿用紙を新しく買って準備した。
聖書を超える物語。
既存の長編小説を、凌駕する物語。
書けるはずだった。
しかし、一枚どころか一文字も書けなかった。
交野幼稚園の頃から、絵本は、読んでいた。
村野小学校に入ってから剣道も、習いだした。
文武両道で、読書も武道もたしなんでいた。
三年生の夏、郡津小学校に転校した。
枚方市の村野団地から、松塚住宅に引っ越し。
距離にして数十歩。
挟んだ道路が、枚方市と交野市を区分する道。
なので、枚方市民から、交野市民となった。
どちらにしろ地球市民に変わりは、無かった。
中学生になり、いくつかの小説を書いた。
推理小説、SF小説、時代小説、などなど。
初めて書いたモノにしては、良かったはず。
そして、いよいよ壮大な物語を書くと意気込む。
書きたかったモノは、黙示録の聖なる物語。
旧約聖書は、人の始まり。
新約聖書は、人について。
黙示録は、人の終わりを予告している。
つまり、聖書は、三部作で成り立つ書。
だから、終約聖書が、なければならない。
上中〔下〕における、最後の部分。
全ての書を集約する終わりのお話し。
それは、人の時代が、終わる物語。
仏教における、弥勒の全人類を救済する預言。
つまり、全人類を駆逐する未来予想図。
五十六億七千万思念を統合し、人類を導く。
引導を渡す、と、言い換えても良い。
米国や欧州で使用されるアルファベット。
暗黙の了解として、2022年が、終わりの年。
zzzは、おしまいで終わりのおやすみなさい。
英語の辞書に、そんな預言が、載っている。
表の千年、裏の千年、そして、間の時。
人類滅亡までの時間を表す世界終末時計。
第二次世界大戦後に創設された象徴的時計。
科学者達が、創造した、人類に対する警告。
それらを踏まえ、滅びゆく人類を描く物語。
構想は、ぼんやりと出来上がっていた。
だが、一文字も書けなかった。
その理由であり原因は、一人称。
英語なら『I』。
だが、日本語だと無数に湧き出してくる。
私、僕、俺、我、吾輩、、、。
決めかねる。
そして、そこから出てきた問い掛け。
『自分とは、何か?』
深淵の奈落に誘う問いだった。
それに答えるだけの経験を積んでいなかった。
『ヒト』についての経験不足。
書物などで知っている。
だが、まだまだ未知なる存在だった。
結局、そのまま交野市の中学を卒業した。
一文字も書かず構想を練る期間への突入。
『ヒト』を、経験し識り尽くそうとする日々。
交野高校生になり硬式テニス部に入部した。
学校の成績は、入学時、かなり下の方。
だが、試験ごとに、順位を、上げていった。
三年の時には、成績上位になっていた。
現役で大学に行く予定だった。
だが、最初の試験会場を、風邪で途中退場。
そのまま、調子は、良くならなかった。
気がつけば、高校を卒業し、季節は、春。
滑り止めの大学も受からずに全滅。
一年間の雌伏期間を経て大学合格。
立命館大学硬式庭球同好会に入った。
クラブとは、別の、唯一大学公認の同好会。
『立命館大学内最強テニス団体』を名乗る集団。
真剣にテニスをやり、遊ぶ時も真剣に遊ぶ団体。
新入生歓迎の先輩女子から誘われて入った。
体育会系よりで練習は、厳しい、との事。
だが、テニスをしないテニス集団よりよほど良い。
二回生になり、後輩達が、入ってくる。
その中に、『梅田弥生』という美少女が、いた。
その当時は、ミスキャンパス立命館など無かった。
もしあれば、グランプリになっていただろう。
気の強い負けず嫌いな頑張り屋さん。
卒業後、彼女は、銀行に就職していた。
噂では、一番の出世頭。
三井住友銀行伏見支店の女性支店長になられた!
将来は、女性初の頭取になるのでは?
そんな事を言われていた。
2017年7月26日、訃報が、届いた。
膵臓癌。
約六年十ヶ月の闘病生活。
その日が、お通夜。
27日、次の日が、告別式。
その両方に参列した。
偶然か、運命か、呼び寄せられたのか?
タイミングとしか言えない。
訃報を受けた時、すでに喪服を着ていた。
勤め先の創業者『青木定雄お別れの会』。
京都市蹴上で参列後、訃報の連絡を受けた。
彼女とは、卒業後、会って無かった。
遺影の彼女は、晴れやかに笑っていた。
葬儀会場は、入りきれない人で溢れた。
喪主の御母堂とお話しした。
闘病後、安らかに永眠した事を、聞いた。
青木定雄氏は、立命館大学法学部にいた先輩。
エムケイグループのオーナーで会長だった。
エムケイタクシーに勤め出したのは、離婚後。
運転手として、十年の月日が、過ぎた。
そして、立命館大学の先輩と後輩の訃報。
明日は、我が身?
残された時間は、いかほど?
正確なところは、誰にも分からない。
推定するしかない。
この身が、滅ぶのが、先か?
それとも、人類滅亡が先か?
生あるものは、やがて、滅する。
生生流転は、この世の理。
人間社会は、不条理に満ち満ちている。
世界は、恒久平和から遥かに遠い。
愚かなる人間の多さに笑ってしまう。
だが、それも、間も無く終わる。
特異点に、時代は、突入していた。
技術的特異点が、社会を、変えている。
超計算機は、神機器であり魔導具。
このままなら、戦争か環境破壊による破滅。
さもなくば、人工知能による人間の支配管理。
つまり、地球人類の家畜化。
どちらにしろ暗黒地獄世界。
人類の歴史が、終わるのは、必然。
数多く予言され、予測し推察されている。
理想極楽世界に至る道は、奇跡の軌跡。
可能性としては、ほぼゼロの道筋。
つまり、ゼロでは、無い事を意味する。
十年十ヶ月のタクシードライバー時代。
人間社会を観察するに充分な期間。
円満退社してハローワークに通いだした。
そして、職業訓練で、コンピュータ言語を学ぶ。
学生時代、情報処理技術者二種に合格していた。
だから、難しさよりは、懐かしい感じ。
簡単なアプリゲームを、作成する事が、出来た。
プログラミング授業は、小学校で必須科目。
これから先、どんな職業でも必要な基礎知識。
大学を卒業して就職した先は、泉屋仏壇株式会社。
他に、IT関係の会社から内定は、もらっていた。
同好会の仲間達も、その方面と思っていた。
だから、かなり驚かせたようだ。
その結果は、人事部長の営業手腕によるもの。
後年、聞いたところによると、社長命令。
立命館大学生を入社させたまえ、という命令。
就職資料に入社者卒業大学が、記載してある。
同志社や関大、関学などの名前は、あった。
立命館大学は、無かった。
入社後に見ると立命館の名前が、載っていた。
そんな裏事情を知ったのは、ずいぶん後の事。
新入社員として、期待され目をかけられている。
ならば、頑張らなければ!
その気持ちと、失恋のショックで働いていた。
仕事に全力で、打ち込んでいた。
仏教や宗教全般の知識を貪欲に吸収していった。
三ヶ月もあれば、関連本を読み尽くした。
半年もすれば、真理や神髄を、修得した。
職種は、営業職。
七年ほどで、辞令が、出た。
京仏具製作所という子会社への出向命令。
その時、結婚して子供もいた。
それを機に退職して、転職した。
転職した先は、バリバリの営業会社。
営業についての本も読み漁っていた。
自信は、あった。
自分を売り、商品を売らない営業。
つまり、相手が、買ってくれる営業。
基本的に、相手の話しを聞く。
とことん聞いてから、提案するだけ。
親密度が、高ければ、購入してくれる。
相手をどこまで理解できるかが、カギ。
メリットは、苦情や返品が、皆無。
デメリットは、時間が、かかる事。
信用してもらうには、知ってもらうしかない。
そこから、更に信頼してもらう必要が、ある。
相手の話しを聞き、理解する能力が、必須。
心や魂は、目に見えないが、存在する。
どこに存在するのか、と言えば、無の空間。
何も存在しない空に存在する。
だから、亡くなれば、無は、無に還る。
身体は、色である粒子の集合体。
粒子と粒子の間には、空が、存在する。
星と星の間にも、同じ空が、存在する。
それらの空は、全宇宙に唯一の存在。
人の煩悩を、無くせば、仏となる。
それが、仏の教えで、重要項目。
見て聞いて感じる事で心は、理解できる。
身だしなみや行動は、目に見える。
そして、言葉を、きちんと聞く。
それらは、最低ライン。
更に、言葉にならない言葉を読み取る能力。
思考する能力は、日々精進で、磨かれる。
相手を思いやる気持ちとは、思考力そのもの。
思考放棄すれば、無理解しかない。
思考力と暗記力は、別のモノ。
小学校で学んだはず。
転職した先の会社は、営業成績が、全て。
三ヶ月で一台も売れなければ、サヨナラ。
入社してすぐに研修でそう言われた。
実際には、二ヶ月でゼロなら消えていく。
会社に居場所は、なくなる。
二ヶ月目で、数字が、あがった。
それから、毎月、数字は、あがっていた。
八ヶ月で、初年度が、終了した。
源泉徴収票などで給料を確認する。
仏壇屋時代の年収に比べて約二倍。
元上司だった店長次長らの年収をこえていた。
結局、一年ほどで、そこを辞める。
肉体的精神的に続けていくのは、ハードだった。
なにより自分の営業力に、納得し満足していた。
それから、転職を何度かして独立起業した。
その際、初期投資で借金した。
そして、離婚し借金返済方法の選択を迫られた。
自己破産するか、コツコツ返していくか?
結局、地道に返済しつつ養育費も、いれていた。
完済できたのは、エムケイタクシーのおかげ。
感謝。
離婚後、前妻とは、一度も会っていない。
幸福を、与えてくれた事に感謝しかない。
普通の人生を味わえたのは、彼女のおかげ。
喜び悲しみ苦難、その経験は、全て幸福。
嫁姑問題は、いい経験だった。
それにより、女性をより深く理解できた。
『男にとって最大の謎は、女!』
昔から伝わるその言葉の意味を、会得した。
職業訓練期間が、終わる頃、就職先が、内定。
塾講師となった。
夏期講習からで、平日は、ほぼ毎日。
昼過ぎから夜遅くまで授業が、あった。
お盆期間の一週間だけは、お休みだった。
秋になり通常授業となった。
受け持ちは、週三日ほどで夕方から夜まで。
秋から冬になる時期、平和堂の一員となる。
早朝から昼過ぎか夕方までの労働契約。
面接で面接官に塾講師している事を伝えた。
委託業務契約の塾講師は、問題ないとの事。
掛け持ちのダブルワーキング生活。
肉体は、縛られても、精神は、自由。
思索を思う存分、広げていく。
過去と未来、そして、異次元並行世界。
全宇宙や極小世界だけでなく虚無の空間。
意識のリミッターは、消え失せた。
自由だ。
正しい男の心は、完全に自由となった。
かつてお偉いさんから、こう言われた。
「社会が、間違ってても、現実と妥協して生きろ」
それに対して返す言葉は、無かった。
心の中で、お断りします、と、呟いた。
一応は、こちらの身を案じての発言。
そして、その言葉は、彼の行動哲学であり理念。
彼の信念に対して、何を言っても無意味。
だから、沈黙した。
間違っているなら、正すべき。
だが、多くの人間に、この考えは、通用しない。
何も考えず、慣習に従いたがる。
楽に生きる道だから、そうする。
その結果は、破滅か支配管理される未来。
どちらも、喜しくは、無い。
間違いと不条理から成り立つ人間社会。
正しい社会にするには、どうすればいいか?
栄光へ至る奇跡の道を、模索し思索する。
地上を恒久平和とするには?
安心して幸せに暮らせる世界とする方法は?
思考の限りを尽くして至高を志向する。
旧い皮袋である人間の世界。
新しい皮袋は、神々の世界。
時代は、神の世に移り変わりつつある。
どうすればいいか?
道筋を考えて考えて考える。
旧い社会は、ゆっくり崩壊している。
災害にまみれる地球上。
先ず守るべきは、女子供。
それが、救助の鉄則。
悪魔のメイド長と未来について語り合った。
少女達が、安心して暮らせる犯罪ゼロの社会。
そんな理想の未来をどうすれば実現できるか?
結論としては、真少女革命!
少女達の少女達による少女達のための革命。
つまり、少女達による下剋上。
平和的に世界を、変える手段が、真少女革命。
少女達の意識変革による覚醒。
人間社会に蔓延する洗脳からの解放。
少女達個々のレベルアップが、重要ポイント。
すでに世の中は、魔法少女達で溢れている。
神秘の力は、普遍の力となった。
魔導の秘密も白日の下に明かされた。
あとは、ただ、少女達が、望むだけ。
自分の願いを明確にするだけ。
夢は、叶えるもの。
願望は、叶えるもの。
正しい男は、願いを叶える助けとなる者。
ラヒバーテンダーと出会い小説を書いた。
ネットサイトの下書きで、書き綴った。
『終わりで始まりの物語』が、タイトル。
それを、彼女が、ネット投稿する。
読み終えた感想も、述べてくれた。
「コレって、日記かな?」
即座に、大きく頷く。
女神は、素敵な笑顔を浮かべた。
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《ラヒ・サーガ》
物質的宇宙誕生から276億年後の全宇宙は、聖福。
聖なる幸福の女神が、無限数存在する理想社会。
戦いや争いは、はるか昔に脅威を消し遊戯に。
138億年前の出来事。
精神的宇宙誕生。
最初にして最後の女神。
女神様と言えば『ラヒ』様。
それは、少女達にとって共有認識事項。
少女ラヒが、ラヒ姫という『光の婚約者』へ。
そして、ラヒ女王となり全宇宙を聖福にする物語。
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『まさおさま』
『下高原正男』
誕生12月23日
交野幼稚園卒園
村野小学校入学
郡津小学校卒業
交野市立第二中学校卒業
大阪府立交野高等学校卒業
立命館大学経済学部経済学科卒業
泉屋仏壇株式会社勤務
ヤチヨコアシステム、CPU、他、勤務
エムケイ株式会社(京都MKタクシー)勤務
塾講師&平和堂株式会社