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俺は、冒険がしたい 。  作者: ミルノ。
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俺は、冒険がしたい 12

「何ジロジロ見てんだよ。 視姦か? 視姦のつもりか? あ? 何ニヤニヤしながら喜んでコラ! もっと踏まれてーのか? あ?」


ビキニアーマーを着た、女冒険者が源太を踏みつけていた。


「源太! 今助けるぞ!」

「ジュ、ジュン。」

「どうした!」

「邪魔しないでほしいじょ。」

「……。 お、おう。」


俺達は、何も言わず源太を残してその場を去り、宿屋を決め冒険者ギルドへ向かった。


さすが、ダンジョンで賑わう街なだけあり、その中枢を担う冒険者ギルドは、大きくて立派な建物だ。

立派な見た目に圧倒されてる横をたくさんの冒険者がモンスターの素材などを持ち込んでいる。


俺達もあんな風にたくさん、モンスターを狩ってどんどん強くなって、強い武器を揃えてダンジョンを攻略しよう。

気合いを入れてギルド内に入る。


ギルド受け付けと酒場、シャワールームまで一緒になっていた。

おそらくだが、ギルドでドロップアイテムを換金してそのまま、ご飯やお酒を飲めるようにしているのだろう。

利便性が半端ない。


建物の中に入って、キョロキョロ辺りを見回していると、昼間っからお酒を飲んでる冒険者達がいた。

そいつらは、俺達に気付いて話しかけて来た。


「えれーべっぴんさん引き連れて良い身分だなぁ。 俺にもちょっと貸してくれよ。 良い思いさせてやるからよ。」

「絶対に嫌だ。 俺達に関わらないで下さい。」

「なんだこのクソガキは、お前何かに要はねぇんだよ!」


酔っ払いの冒険者に突き飛ばされたから睨み付ける。


「なんだその目は、気に入らねぇな! 俺を誰だと思ってんだ。俺は、街を出る条件に25階層突破と記載され、潜在能力の高さを認められ、条件突破者になるんじゃないかと期待された存在なんだぞ!」


どうやらこの街では、カードに記載された条件がステータスの一部になっているようだ。

しかも、条件をクリアする事が相当凄いらしい。


「うわっ。 ショボ……。 お兄ちゃんこのおっさん気持ち悪い。」

「ちょっと何言ってるかわからないわ。 源太と同じくらい気持ち悪い。」

「ちょっ! お前ら止めろ! おっさんめっちゃ怒ってんじゃん。」


おっさんは、黙って拳を握りうつき、ぷるぷる震えている。


「お兄ちゃん! お兄ちゃんは、甘すぎるんだよ。 こういう相手には、ちゃんと言わないと頭悪いから理解できないんだよ。」

「そうね。 自分に無い物を弱そうな他人が持ってるから、奪おうとする器の小さな男は、ジュンとは違って、ち◯こも小さいんだからバカだって事を教えてあげるのが親切なのよ。」


さっきよりもぷるぷるしているおっさんは、いつ飛びかかってくるか分からない危険状態だ。

剣を持っているおっさんが本気で襲って来たら、丸腰の俺達では太刀打ち出来ないだろう。

なのに、一度火の着いたトークが収まらない。


「そうよ。 お兄ちゃんのち◯こと違って、汚いおっさんの小さなプライド何て、ここでギタギタにへし折った方が世の中の為になるよ。」

「良い事言うわね。 確かにジュンと違うこの粗チン野郎は、どうせ使い道何て無いんだから、今のうちに潰しておくのが良の為人の為になるわね。」


おっさんもそろそろ我慢の限界が近い。

だが、まだまだ止まらない容赦ない暴言の数々に俺ですら立ち入る事を許さない。

おっさんは、今にも斬りかかりそうだ。


「ん? あれ?」


良く見るとおっさんの足元に水溜まりが出来てる。

恐る恐る近付き顔を覗き込むと、おっさんは泣いていた。


(うわっ。泣いてるよ。 可哀想だから、それ以上言うの止めてあげて。)


しかし、俺の心の声が彼女達に届く事はなく、ただひたすらおっさんをディスる言葉だけを吐き続けた。

永遠とも思える短い時間で、おっさんはもう立ち上がる事すら出来になくなっていた。


おっさんの無様な格好を見下ろしながら、まだまだ続く彼女達の追い込みを周りに居る屈強な冒険者達でも止められない。

ここのままでは、おっさんの命が危ない。


正直おっさんの命なんてどうでも良いんだけど、二人を人殺しにはしたくない。

しかし止めに入れば、矛先が俺に向かないとも限らない。


怖い。

怖いよ。

でも、ここで立ち向かわないでどうるんだ。


「これが俺の冒険の第一歩だ。」


俺は、勇気を振り絞り声を張上げ制止を呼びかけようとしたその時、扉の方から声がする。


「そこまでにしてくれるかい?」


声の方を向くと、この街の入口付近にいた、というより源太を踏みつけていたビキニアーマーの冒険者が制止を促す。

ビキニアーマーは、源太に首輪を着け、紐で引っ張り、また頭を踏みつけている。


「源太……。 お前なんでそんなに幸せそうな顔してんだよ。」


源太は、半笑いでよだれと鼻水を垂らしていた。

ビキニアーマーによる源太の醜態にその場の空気が凍り付き、妹達の言葉攻めが止んだ。

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