俺は、冒険がしたい 13
ビキニアーマーの冒険者と源太の登場により、ギルド内に平和が戻った。
これは、平和になったのか?
更なるカオス状態に昇格したように思えるが……。
「そいつは、バカだが私の大事な仲間なんだ。 粗相をしたなら謝るから解放してやってはくれないかい?」
ビキニアーマーの冒険者が源太を踏みつけながら喋る。
彼女のヒールの先が源太のニヤケ面にどんどん食い込んでいる。
「貴女が謝る必要は、ありません。 その代わりと言ってはなんですが、その首輪をはめて踏みつけてるヤツは、気持ち悪いが俺達の仲間です。 何かしたなら謝るので、そっちも解放してやってくれませんか?」
え? あの床に這いつくばって、鼻水とヨダレをたらした気持ち悪いヤツが仲間? と言う空気が漂う。
「そ、そうだったのかい。 それなら直ぐに解放するよ。 ほら」
「ありがとうございます。 それでは、こちらも返します。」
源太は、どこか寂しそうな顔をしていた。
気にしたら損した気分になりそうだったから、源太を見ないようにして、ビキニアーマーの冒険者と話をする事にした。
「私の名前は、メイサ。 治癒術師をしている。 そこのバカとパーティーを組んでダンジョンの階層突破を目指している。」
なんと、源太をゴミの様に踏みつけていたメイサさんが、治癒術師だったとは想像すら出来なかった。
治癒術師とは、かなり珍しい能力だと聞いた事がある。
あのバカ男が意気がってられたのも、この人のおかげだろう。
というか、治癒術師の服装がビキニアーマー?
「ああ、この服装が気になるのかい? これは、私の趣味だ。」
なんと、メイサさんは、治癒術師でありながら露出狂でもあられたようだ。
こるは、鬼に金棒
いや、女王様に鞭じゃないか。
そんなメイサを疑いの目で見始めた妹と陽子に気付いたメイサは、自分が治癒術師であることを証明すると言い始めた。
治癒術師は、本当に珍しいから疑ってしまうのも無理はない。
「お前達が傷付けた私の大切な仲間を今から治癒するから見ておけ!」
そう言ってメイサさんは、バカな男もといバカ男を床に寝かせて呪文を唱える。
「ヒール」
呪文を唱えながら床に寝ているバカ男を履いてるヒールで親の仇のように踏みつけ始めた。
「ヒール!」
「ぐふっ! ありがとうございます!」
「ヒール!」
「ぐほっ! ありがとうございます!」
「ヒール!」
「はふぁぁありがとうございます……。」
治癒魔法は、相当体力を消耗するらしく
メイサさんは、汗だくになり肩で息をして凄く疲れている。
汗だくのビキニアーマー、着崩した格好がエロいし際どい。
一方、俺達にもとい、妹と陽子に付けられた傷の治癒を受けたはずのバカ男は、血だらけになり満身創痍って感じだが…………。
これ以上、言うのは止めておこう。
「どうだい? これで信用してもらえたかい? なんなら、冒険者カードも見せても良いわよ。」
え?
今のどれで、何を信用すれば良いかわからない。
治癒って言うか事件現場になってるし、むしろ傷増えてる。
とりあえずここは話を合わせて、これ以上関わらない様にしよう。
「そ、そうですね。 素晴らしい能力だと思います。 では、そろそろ俺達行きますね。」
その場を立ち去ろうとしたらメイサさんがまた、話しかけてくる。
「ちょっと待って、せっかくだから冒険者カードも見てくれるかい? 正直言うと街の条件突破前だから、自慢したいだけなんだけどね。」
「それなら」
メイサさんから冒険者カードを受け取り確認する。
冒険者カードには、街を出る条件まで記入されている。
メイサ レベル28
職業 自称治癒術師
魔法
回復魔法 ヒール
・ヒールで対象を踏みつける事により快楽を与える事が出来る事がある。
その他ステータス省略
街を出る条件
1.ビキニアーマーで一年間、街で暮らす。
2.ビキニアーマーで千人の男を踏む。
3.全裸で街徘徊。
いずれか一つの条件を満たして下さい。
今更だが、この街を出る為の条件は誰が考えてるんだ。
壁を乗り越える試練とか言ってたが、メイサさんの場合、誰かの欲望でしかない気がする。
本人は、ノリノリに見えるから気の毒には思わないけど、あんまり関わりたくない。
冒険者カードをメイサさんに返し、すぐさま去ろうとしたがまたもや、足を止められる。
「おらに構わず先に行くじょー! 後で必ず追い付くじょ。」
源太がメイサさんの足の下にいた。