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建築家が強引に仲間になった

「ウォーターシャワー」


全身びしょ濡れになる量の水を浴びて、俺たちは復活した。


「まったく。カナリアが何がやらかしてないか心配で来てみれば…」


呆れた顔でカナリアの兄で俺の友のバードが俺たちを見る。


「ところで、手紙に書いてた家ってここに建てるのか?」


「いや、ここ全部じゃなくて…金がないからとりあえず住める程度の家を予算内で建てて欲しいんだ」


「そうか。まるごと自由になら銀500てもいいと思ったんだが、そんなつまらない依頼なら妹にくれてやる。好きに使ってくれ」


それだけ言い残すとあっという間にまた転移魔法で消えてしまった。

それって俺から代金は取るけど実質お前の遊び場じゃねーかとつっこみを入れる時間もない。


「兄貴は忙しいからねー」


「助かったお礼言えなかったよ」


女子は2人とも乾燥魔法で自分の服を乾かしている。


俺は魔法が使えないのでそのままだが、日射しが強いのですぐに乾くだろう。


「バードはああ言ってたけどちゃんと金は払うから家を建ててくれないか?」


「ううん。お金はいいよ」


「いや、友人の妹とはいえけじめは必要だろ」


「お金は要らないからボクもここに住まわして」


元々魔法建築士の仕事は依頼があれば大陸中どこへでも行く仕事だ。

拠点はどこでも問題ない。

土地が余ってるなら建築費がわりに住まわせろってことである。


「ファリアがいいと言うなら許す」


「うー…」


ファリアはかなり悩んだ上で俺を取らない事を条件に許可した。


「そこはルト次第だけどねー」


「いや、今のとこどっちとも結婚しないから」


***


カナリアの転移魔法で自治都市まで戻と日除けの帽子と筆記用具を買って宿屋に戻り、どんな家を建てるか話し合いを始めた。


「家は土から作ってもいいけど、結構岩があったからそれをまとめて材料にすることもできるよ」


土で作るよりも岩があるならその方が丈夫な建物になるらしい。

あとは金属か、加工済みの木材を用意出来れば2階建ての住居も可能らしい。


土魔法の影響範囲に植物は含まれないが、加工済みであれば取り込みが可能とのことだ。


例えばドアや窓は予め木で作っておけばそれに合わせた建物が作れる。


「うちの地下から金属は取れるか?」


俺は魔剣ブレイカーに確認した。

物質を解析、鑑定し弱点を探し出す事のできる魔剣だが、解析、鑑定の範囲が広く水脈や鉱脈探しに天気予報まで出来るのだ。

温度、湿度、風向き、潮の向きに魚群の探知に食べ物の毒の有無、傷をつけてもよければアイテムの鑑定や血液検査まで出来る。


ちなみにこれは俺が実際に試した事で、まだ他にも使い道があるかもしれない。


「解析した限りでは一部の岩が鉄分を多く含んでいる可能性がある」


「それじゃ、その辺は改めて実際に現地で調べよう」


「ところで、あの土地全部ルトの物なんでしょ?どう使う予定なの?」


「全然決めてない。色々あって予算が無いから家は小さくていいぞ」


「えーっもっとこだわろうよ!ファリアちゃんは?」


「雨漏りとすきま風が無ければいいかな」


「そんなの当たり前じゃん!建築家としてはなもっとこだわって欲しいよー」


俺たちが家にたいしてたいしたこだわりを持っていないのでカナリアは手足をバタバタさせて不安を訴える。


「じゃあカナリアの好きにしていいぜ」


「ボクは兄貴じゃないからちゃんとルトの好みで建てたいの。大陸中旅してるなら好きな景色とかあったでしょ?」


「町についてはあんまり覚えてない」


「じゃあ、サンプルだ。明日は午後の暑い時間は図書館に行くよ!」


頭を抱えながら悶絶した後、強引にカナリアは予定を決めた。


次の日、午前中は草むしりと使える資材の確認、それから改めて建てたい家の広さを決める。


午後は宿で身支度を整え図書館へ出発した。


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