スライムの部屋、コボルトの部屋
通常プラントで作られた魔物は倒すと媒体に戻るが餌スライムは食糧用なので死んでも姿を残したままとなる。
餌オークのも同様だ。
スライムお馴染みの溶解能力は無く、死後はやがて乾いて皮が残る。
先程開けた通路のお陰で俺たちは膝くらいの高さまで詰まった餌スライムたちを掻き分け溶ける心配も無く進んでいた。
大きさは1つにつき掌に乗る程度のサイズでもっと濡れて歩きにくいかもしれないと思っていたが全然そんなことはなく、むしろ楽しくなってきた。
「みんなー置いてかないでー」
俺たちには膝上程度でも背の低いミューゼルはもっと上までスライムに浸かっている。
さすがに動きにくいらしく俺たちよりちょっと遅れていて、走って追いつこうとしてコケた。
「み゛ゃ゛っ!」
スライムに沈んだミューゼルを俺は慌てて引っ張り上げた。
猫耳が完全に寝てしまっている。
「しょうがねーなーおぶってやるよ」
ミューゼルを背負う為しゃがんだその時…
「って、これ気持ちいい」
スライムのプールって感じでぷにぷにした感触が気持ちいい。
他のメンバーも真似してしゃがむ。
「ぷにぷにして楽しい」
「大きいのは厄介だけとこれなら確かに怖くないかも」
「ひゃっ私はちょっと無理」
「未知の感覚だねー」
「安全なら名物にできるかもしれませんね」
ビキニアーマーの奥さん以外には好評だった。
さっきコケたミューゼルも楽しんでいるし、受付さんが言うようにレジャーとしてもありかもしれない。
「楽しむのは後だ、今もスライムは増え続けているぞ。さっさとプラントを破壊するんだ」
魔剣に怒られた。
確かに段々スライムが増えてる気がする。
俺たちは再び歩き始めた。
広い部屋を抜けるとプラントの部屋にたどり着く。
テーブルの上に魔方陣が描いてあり、媒体の入った瓶が逆さまにささった瓶が更に奥の機械に置いてある。
ここから餌スライムの素が1粒ずつ一定の感覚で落ちてきては魔方陣で餌スライムにする仕組みだ。
スライムになると魔方陣の中心からテーブルの外に弾き出されてまた新しい種が魔方陣に落ちる。
結界が張ってあるので一度出たスライムは戻れない仕組みになっているのでまるで壁でもあるかのように周りがぽっかり空いていた。
「ジョニーが魔方陣を破壊したら、プラント破壊でポイントが入るかな?」
「待って下さい。このプラントはこのまま残して貰えないでしょうか?」
受付さんからまさかの待ったがかかった。
ダンジョン発見の功労で俺たち3人をランクアップさせるから、ダンジョンはなるべく手付かずで残して欲しいと言うのだ。
確かに、壊すより残しておいた方が面白いかもしれない。
「じゃあ、今回はビンの中身だけ持ち帰ってとりあえずこれ以上スライムが増えないようにしておきます」
増えなけれはひとまず問題はないはずだ。
オークの部屋は一旦置いといてもいいと魔剣か判断したので、今回は置いておく。
残るは奴隷コボルトの間か。
「ブレイカー。階段に続く扉もあるからこのまま進んじゃダメなのか?」
「いや、今回の原因がこの奴隷コボルトの部屋だった。ワシが見た町はどうやらここらしい」
魔剣とて万能ではない。見込み違いがある事もたまにある。
しかし奴隷コボルトの間ってどうなっているんだろう?
このまま開けていいと言われたのでドアを開けると、小さな集落ができていた。
町というよりは村って感じだ。
「うおぉぉぉードアが開いたぞー!」
第一村民を発見するや否や雄叫びが室内に響いた。
「うぉぉー俺たちを助けてくれー!」
「空気だ!外の空気を吸わせてくれ!」
スゴい勢いで集まってくるコボルトたち。
「待ってくれ。まずは話し合おう」
俺はコボルトたちに落ち着くよう言った。




