番外編キャシーちゃん勇者に惚れる
なんか主人公が悪役に見えてきた…
その後もキャシーは『おっかけ』を続けた。
故郷のイベント以来、勇者コバルトに名前を覚えて貰えたのだ。
これは大きな1歩だと思っていた。
しかし勇者との親密度はその後も全然上がらない。
クロムをはじめとするパーティメンバーとは全員連絡先を交換して、クエストに関係なく一緒に遊びに行ったりしているのに毎回コバルトだけが来ない。
イベントの祝賀会のアフターイベントで女の子を持ち帰る姿を見たこともあるが、キャシーに声がかかることがない。
しかもストライクゾーンがかなり広く、王都で地味系ブスの女冒険者と買い物をしているかと思えば、パーティで女豪傑という熊みたいな女と楽しそうに酒を飲んでいる時もあるし、夜の接待で可愛い女の子を持ち帰っているので好みのタイプが全然わからない。
しかもなぜか彼女がいたという話がない。
今のパーティを組む前はいたかもしれないという噂程度の情報しかない。
家も王都に帰った時は友達の家に泊まっている為、荷物を置く場所が無いとプレゼントもだいたい断られる事はファンの間では有名だった。
ファンクラブ内ではプレゼントは彼の出身孤児院へ贈るルールになっているたが、魔王討伐後はそれも断られている状態だ。
ライバルが多すぎるが誰の者にもならない点では安心感はあるが、逆に言えばキャシーのモノにもなりそうにない。あ
ある時、最大のチャンスがやってくる。
魔王が討伐され国は復興真っ只中。
独身の冒険者を結婚させて、地に足ついた生活をさせようという動きが盛んになって、魔物討伐イベントに変わりお見合いパーティを行う地域が増えていった。
復興に人手が欲しい村や町では成立したカップルに家や家畜を与えたり、魔族に荒らされた地域を再開拓団を派遣する際も夫婦だと補助金が多くなるなどと特典を与え、全体的にクエストも減ってきていたので冒険者たちの食いつきもよかった。
そんな中、王都で開拓団の募集イベントが開催された。
日頃からキャシーの悩みを聞いていたコバルトのパーティメンバーたちは、キャシーとコバルトをこのイベントでくっつけようと思ったのだ。
パーティメンバーたちから見てもコバルトの女子の好みは謎であった。
結婚願望を聞いたことも無いが、みんなキャシーの事が大好きで、コバルトと付き合うならば諦めようと決めていたのだ。
普段なら蹴るようなゲスト参加の依頼を受け、全員でキャシーのフォローに回った。
イベント自体は純粋な開拓団の募集であり、カップリング大会は添え物程度という扱いではあったが、男女ペアでなければ参加できない体験コーナーもあった。
まずはこれにキャシーとコバルトが一緒に回れるように裏で工作したが特に何も起こらなかった。
そして最後の気に入った番号札を持つ人男女関係なく開拓に誘っちゃおうのコーナーではやらせでコバルトを舞台に立たせた。
その場のノリで告白するだろうと予想しての仕込みだったが、コバルトの口から出たのは違う言葉だった。
「5番、カーマイン。お前が開拓団に加わりたいと言うならば俺は止めない」
このイベントのゲスト参加を受ける時に口実としてカーマインが開拓団に興味がある事にしたら、それを後押しする言葉が送られたのだ。
壇上に上がる前に、キャシーが105番を持っていることをクロムが伝えていたが不発に終る。
しかもイベントの最後に、いっそキャシーから告白出来るチャンスを作ろうと抽選会の際にヤラセでコバルトに舞台のボックス席を当てさせてキャシーとデート出来るように仕向けたが、ここで決定的にキャシーは振られてしまったのだ。
そしてパーティのメンバーはそんなコバルトに対して怒りを押さえきれず、パーティから追放したのであった。
キャシーは魅了系アイテム持ちです。
この部分が物語に上手く埋め込めれなかった…
あとバカは騙されるけどちょっとちゃんとした人はこの子はちょっと…っていうような人材。