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聖女ってマジですか!?

聖女が立てられた噂を確認すべく俺は例の神父を尋ねた。ギルド自治区には小さな礼拝堂しか無いので場所は普通の宿屋である。


「すみません。家の準備にはまだ時間がかかるのですが、確認したいことがあり参りました」


単刀直入に聖女の噂を尋ねて裏を取った。

本当にキャシーは聖女になったらしい。


勇者ルトが倒したのは魔王ではなかった。本当の魔王はまだ目覚めていない。

そうキャシー率いる元俺のパーティは主張しているらしい。

そして新たな魔王を倒すために選ばれた聖女がキャシーなのだという。


「そんな無茶苦茶な!」


俺は叫んだ。

確かにこの理論が通れば俺は勇者の称号が剥奪されて嘘つき呼ばわりされてしまう。


たくさんの上級冒険者が俺が倒したのは魔王だと知っていても、たくさんいる大陸の人間のほんの一握りの職業だ。


しかも流れ者なので最高神の教会と冒険者なら教会の言うことをみんな信じるだろう。


「私だって元は冒険者だったから、あれが魔王だったことを知っています!」


シスターは元々回復魔法担当で、『銀狼』というパーティのメンバーだった。

ギルド発行のライセンス証も見せて貰う。


「銀狼のアリッサさんとは…」


有名なパーティーだったので名前を聞けば俺とミューゼルは存在を知っていた。

魔王と戦いに敗れた後の消息が不明だったが、リーダー含め主力メンバーは死亡し、残ったメンバーも冒険者としての活動が困難となり解散したらしい。


アリッサも片足を失い冒険は無理なので教会に入ったのだという。

義足まで見せてくれたので本当の話だと信じるしかない。

確認の為にミューゼルが持っていたブロマイドを出すとその場で泣き崩れてしまった。

パーティのリーダーが恋人だったらしい。


神父の方はキャシーを信用できないのでなんとなくシスターに付いてきただけだという。


魔剣の嘘発見機能は働かなかったので信用してもいいだろう。


逆にうちのファリアが魔族とのハーフであることを気にしている雰囲気だった。


地鎮祭の途中で変身が一瞬とけたのを見逃さなかったようだ。

結構デキる人で、なんでもまず疑うタイプか…

一旦信頼すると盲信しそうなので敵に回したくないと思う。


味方でもめんどくさそうだけど。


とりあえず魔族と愛し合ったのではなくレイプで生まれた経緯ほど説明しておく。最高神は中絶反対派だから理解してくれるよね?

可愛そうな子だからこの事は教会には報告しないでねとも言っておく。


教会については早く作りたいから草むしりは自分がやると神父は宣言してその日俺たちは別れた。


翌日。

男手が1人増えると作業スピードがかなり早くなり、教会は次の日半日で完成した。足が悪いアリッサさんに草むしりをさせるワケには行かなかったで、教会の外壁の飾りに使うレンガの準備をカナリア、ミューゼルと一緒に作業してもらった。

既に持ってきている土を机の上でコネでリッパーで決まった大きさに切るだけなので足が悪くても問題ない。


そして俺とファリアと神父で草むしりをする。

ファリアがこっちにいるのは少しでも安全な子である印象を付ける為である。


こうして暑いなか頑張って草をむしる少女を見せて好感度か上がらないわけはない。

そんな感じで黙々草をむしるだけだったが俺たちの絆は深まったはずだ。


材料の関係で教会は半地下の建物となった。

外壁は下半分がレンガで飾ってあって、外壁より少し薄い青の壁でレンガは外壁と同じ色にした。


半地下部分に寝室が2部屋、地上部分に礼拝堂とバス、トイレ、ダイニングキッチンとなっている。


礼拝堂には建物の錬成とは別に錬成したステンドグラスの窓があり、中々立派に仕上がったと思う。


住居部分はベッド、机、タンスと家具が作り付けてあるが本当に最低限の生活ができる空間で狭いので、個人的に土地の賃貸料を支払えば居住用の家を建ててもいいと約束をした。


今のところ神父とアリッサの間に恋人っぽい雰囲気は無いので家を分けれるように提案ほどしておく。


例によってベッドのマットレスが無いが、住むならそこは好みの物を自分で用意して欲しいと頼んだらその日のうちに転移魔法と収納魔法を駆使して用意されてしまった。


教会の隣に畑を作っていいかまで聞かれたし、本格的に住むオーラが漂っている。

畑については俺たちもそれぞれ適当に作っている状態なので一軒だけ断る訳にもいなない。

土地は余ってるので畑であれば当分無償でいいと井戸を作れる所で適当に貸し出した。


魔剣の水脈探知と建築魔法の下水道整備で水道関係は王都にも劣らないレベルである。

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