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2-14

本日3話目、1話目は2-12です。

未読の方はお戻りください。

キングスレー ディークニクト


 オーガ、力は人の数倍あり、建物すらも一瞬で破壊する力を持つ一方、動きが鈍重な魔物。

 一体なら、素早い身のこなしができれば何とかなるが、2体以上になると厄介極まりない魔物だ。


「そのオーガが既に6体。至急対策を練らなければならないが、弓矢がな効かないんだよな」


 オーガの特徴は確かに力なのだが、その力を生み出す筋肉も侮れない。

 俺達が使う矢は人を想定した矢なので、オーガからしたらつま楊枝の様なものなのだ。

 目に当たれば痛いが、肉体に当たってもちょっとチクッと刺された程度で済んでしまうくらいで、あまり意味が無い。

 

「オーガ対策に武器を数個新調しますか?」


 俺が悩んでいることを理解した上で、カレドが聞いてくる。

 確かに小型投射器などがあれば、どうにかなるのだが。

 現実問題としてそんなもんいきなり出てこない。


「いや、開発に時間がかかり過ぎてしまう。あまり時間をかけて相手を勢いづかせても行けないし、オーガの数を増やされても面倒だ」

「しかし、オーガに対抗するには……」


 そう、当初の見通しでは多くても2体程度と考えて居たので、隊を分けて俺とアーネットで対処する予定だった。

 だが、予想に反して相手が大量のオーガ――6体以上――を用意していることが分かり、計画が最初からやり直しとなってしまったのだ。


「とりあえず整理すると、相手の陣地が設営されているのは、細い路地。それも真っ直ぐになっている場所が多い」

「そうですね。こちらの勢いを殺すことを目標にしているのがありありと見えます。恐らく近くの建物の屋根から落下物などを用いて我らを攻撃する用意があるでしょうね」

「それについては、エルフを連れていればどうとにでもなる。何せ木登りは俺達の十八番だ。建物だろうが何だろうが、一瞬で登れるから大丈夫だ」

「まぁゲリラ戦で一番困る頭上を占拠できるのは、アドバンテージが大きいですね」

「次に問題になるのは、脇道に展開している敵だ。これは一見すると見えない場所だから、部隊の横腹を突かれてしまいかねない」

「それに対しては、屋根に上ったエルフ部隊で上から逆撃を加えれば問題無いでしょう。幸い脇道の部隊は後ろの方ですから、屋上制圧後でも十分間に合うかと」

「これで大体の問題はクリアしている。クリアしているんだが……」

「オーガですね。これがどの段階でどれだけ投入されるかで状況は変わりますからね」


 そう、ここが泣き所だ。

 部隊を分けて移動させなければならないのだ。

 相手の陣地の配置を見ると、最初は一本の道なのだが、途中途中で分かれ道を挟んで、こちらが対処しないと敵が前後左右から挟撃してくる形を取れるのだ。

 最終的には、一本の道に戻るのだが、明らかに各個撃破を意識した配置になっている。

 

「なぁ、なんで山賊上がりの商人が、ゲリラ戦法を理解しているんだろうな」

「……確かに、山賊がするにしては念入りな布陣図ですよね。それに魔物も……」

「これはバックに何かついている可能性があるかもしれないな」

「えぇ、それも魔族か何かが」


 俺達は一旦、それらの事を考えながらも、オーガ対策を練ると言う事を優先して無視することにしたのだった。



ベルナンド オルト


 オルグが意気揚々と出した子飼いの騎馬隊は、見事に全滅していたようだ。

 ただ、相手が使った道具が分からないと言われていた。


「恐らく矢の様なもので突きさされているのですが、矢にしては太いのです。クロスボウの様なものを持っている可能性もありまして……」

「要は、分からんという事だな?」

「誠に申し訳ないのですが、それが現状でございます」


 死体を検分した男は、そう言って申し訳なさそうにこちらを見ていた。

 全くもって役に立たない。

 だが、このままでは正直どうしようにもならない。


「敵に新兵器の疑いありか……」


 一抹の不安を覚えながらも、俺はとある人物の部屋へと急いでいた。

 その人物とは、例の魔物商人だ。

 今回の作戦のほとんどは、奴に任せている。

 俺が部屋に入ると、商人は相変わらずフードを目深に被り、怪しく目を光らせている。


「おや、オルト様。いかがされましたか?」

「うむ、少し拙いことになりましてな。敵が新兵器を導入したかもしれません」


 俺は奴に端的に起こったことを話して聞かせると、頷いて提案してきた。


「それくらいでしたら大丈夫でしょう。恐らく投擲によるものと思われます。まぁもの自体が何かは分かりませんが、何にせよ近づかれなければ問題ないと思いますよ」


 そう断言し、微笑みかけてきた。

 その姿すらも、どこか怪しげで何とも言えないものがある。

 俺は、商人の大丈夫という言葉を信じて、「そうか」とだけ返事をした。

 そんな俺の様子に何かを察したのか、奴は「不安なら」と前置きをして話続けた。


「側面に木の盾を配置して、兜を被らせればある程度被害は少なくなるかと」

「なるほど、確かにそうだな。傷も全て鎧は外れていたようだから、確かに効果があるかもしれん」


 具体的な対抗策も聞けた俺は、これで安心と胸をなでおろした。

 さぁ、後は敵を迎え撃つだけだ。

 それで、きっと上手くいくはずだ。

 そう思って、奴の元を後にするのだった。


今後もご後援よろしくお願いいたします。



流石に3話更新は結構疲れます(;´・ω・)

けどあとちょっと。10万文字目指して頑張ります。

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