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7-22

クルサンド国 島津家久


 あん連携ん取れちょらん三部隊以来、どうにも相手が釣れん。

 恐らくだが、おいん計略であっ釣り野伏がバレちょっ。

 そいに加えて、相手ん大将ん将兵を統率すっ能力が高かとじゃろう。


「あれから、何度か奇襲をかけちょっが今度はこちらが上手きかんくなっとはな……」


 一応、5部隊一周まわったあとじゃっで、今は兵たちん士気に問題は無かが、今後ん事を考ゆっとしっかりと勝利をしよごたっ。


「ナカズカサ殿、陛下からの書状でございます」


 おいが、中継点の指揮所で考え事をしとっと交代に来た部隊ん長が手紙を差し出してきた。

 手紙ん中には、王都に迫られた後ん準備が完了したと書かれちょった。


「よかよか。ただ、どうも気になっ事があっ。今後ん事を考ゆっなら、作戦ん抜本的な見直しもせないけん……かもしれん」

「それほどまでに相手は手強いのですか?」

「あぁ、おいん釣り野伏でここまで引っかからん奴は滅多に居らん。やっぱいあん時にエルフん王を取り逃がしたのが、響いちょっごたっな」


 おいがそうゆと、部隊ん長はないとも不安そうな顔になった。

 そげん彼を見て、おいは二カッと笑いながら肩を持ってやっ。


「なに、大丈夫や。おいが居れば、最終的には勝つっ」


 全くないん根拠もなか空元気。

 いや、空励ましちゆべきか。

 そいじゃっどん、おいんそん言葉を聞いた彼は、少し晴れやかな顔をして指揮所を出た。


「さて、もうひと踏ん張りして退散しようか」


 おいは、そうゆとゆっくりと椅子から立ち上がっんやった。




クルサンド国 ディークニクト


 例の三人衆を処断した俺は、部隊を再び進めていた。

 ちなみに相手は、ここ最近夜だけではなく昼もちょっかいをかけて来るようになっている。

 恐らく、夜だけでは効果が薄いと感じ始めたのだろう。

 これは、アーネットとカレドの策が当たったと言える。

 俺では、裏をかきすぎて裏目にしかなっていなかったのだ。


「隘路などは、この先にあります。ですが、部隊を展開しても問題ないくらいの広さはあります」

「しかし、敵も十全に展開できる場所だ。また、奴らは奇策で挑発しながら攻撃してくる。警戒は厳にしておくべきだろう」


 俺の前では、明日からの進軍ルートの情報共有と警戒すべきことを確認している。

 今のところは、俺が口を出す必要がない状態だ。


「では明日の方針は、以上となります。陛下からは何かございませんか?」

「いや、構わない。各自が方針をしっかりと守り、行軍を行って欲しい。以上だ」


 俺がそう言うと、全員が一斉に敬礼をして天幕を出て行った。


「ところで、ディー。敵の策だが、裏目に出ていたと言っても、何故分かったのだ?」

「確かに、襲撃地点などは外してましたが、奇襲があることをほぼほぼ特定してましたよね? 流石に情報があるとは思えないのですが」


 天幕に残ったカレドとトリスタンの二人が、当然と言えば当然の疑問を口にした。

 この二人はもちろん、シャロとドロシーとセレス以外には、俺の前世を口外していない。


「まぁ、あれだ。昔あったシマヅの戦術に近いからな。流石、シマヅを名乗るだけあるよ」

「「……」」


 当り障りのない返事をしたが、どうやら二人は納得してないのか俺の方をジッと見ている。

 そんな二人に俺は、それ以上ないと首をすくめるとため息を吐いてきた。


「どうやら私たちは、ディーにそこまで信用されていないようですね」

「全くだ。残念過ぎるな」

「あ、いや、そういうわけではないんだが」


 俺がなおもやんわりと断ると、二人もこれ以上は食い下がれないと思ったのだろう。

 諦めて天幕を出て行った。

 あの様子なら、遅かれ早かれ俺のことに気づくだろう。

 ただ、あれはトラブルの元にしかならない。

 できることなら、あまり明かしたくはないのだ。


「ただ、いつかは言わないとな……」


 俺は、誰が居るわけでもない天幕で一人ぼやいたのだった。


 翌日からの行軍は、決してスムーズとは言えないが問題なく進んでいた。

 と言うよりも、進まされていた。

 何せ、相手の嫌がらせがパッタリなくなってしまったのだ。

 

「こうもあっさりと通されると、不安だな」

「えぇ、この後に何かとんでもないものが待ち受けていそうですね」


 俺達がそう言っていると、またしても前方から喧騒が聞こえてきた。


次回更新予定は5月20日です。


今後もご後援よろしくお願いいたします。


※薩摩弁に変換し忘れるという失態を隠しました。20190518

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