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6-27

お待たせしました。精神的に回復してきたので再開です。

エルディナ平原 ディークニクト


 随分と寝ていたのか、昼頃に魔法を放ってから目が覚めたら夜だった。

 俺は、魔力が枯渇した後に起こる頭痛を堪えながら軍議用のテントへと向かった。


「敵の状況はどうなった?」


 テントに入って俺が尋ねると、丁度数人の将が会議を中断してこちらに向き直った。


「はっ! 敵は依然として前方の起伏に陣取っております」

「国王陛下が倒れられてからは、敵との散発的な戦闘はありましたが、本格的な動きはありませんでした」

「あの状態から、散発的な攻撃しかしてこなかったのか?」


 なんとも気味の悪い話である。

 普通、こちらの陣形が乱れたり、疲労が出るであろう時に一気に攻めてくるものだ。

 それが散発的な攻撃で終わった、という事は何かあるのだろうか?


「敵の偵察兵などは居たのか? もしくはこちらの陣営を見ているであろう観測兵もだ」

「恐らくですが、中央辺りにあった丘から見ていたかと思います。ですが、ここの陣営を全て見えていたかどうか……」

「なるほど、まぁその辺りはどっちにしても予想でしかないな」


 俺がそう言うと、諸将は押し黙った。

 意見が止まったので、部屋の中を見回して初めてアーネットが居ないことに気が付いた。


「そういえば、アーネットはどうした?」

「アーネット様は、現在仮眠中です」


 そう言いながら、近くに居た将が出してきたのは警備のシフトである。

 3交代で3分の1ずつ休めるようになっている。

 大まかではあるが、一応全員が休めるようになっている。

 そして、一番にアーネットの名前があったのだ。


「アーネット様は、恐らく夜襲は夜半を過ぎたころだろうと予想され、それまでに仮眠を取ると……」

「なるほど、まぁ理にかなっているし、問題は無いな。アーネットが休んでどれくらいになる?」

「はっ! およそ4時間ほどです」


 もう少し寝かせておこう。

 俺も頭が痛いが、まぁ指揮する分には問題ない。

 そう考えた俺は、起きている魔法使いに探知魔法を使わせるように指示を出す。

 すると、数分後には探知で出た情報を伝令が持ってきた。


「探知魔法の結果が出ました。数は不明ですが、それなりの人数が左翼方面から来ているようです」

「ご苦労、では兵力を左翼に動かせ。右翼は最低限の人数で見張り続け、探索を何度か行え」


 報告から30分後、魔法使いたちの探知した通りに左翼から敵が攻めてきた。

 ただ、これは敵の数が少なかったこともありすぐに敵が撤退して終わってしまった。

 そんなこんなで、何度か敵を撃破しながら夜が明けると、後方の王国から伝令が飛んできた。


「陛下! バハムートが近日こちらに接近してまいります。『巻き添えをくわないように』とドロシー様から言伝を預かっております」

「巻き添えも何も、こっちは出て行く気は無いんだがな」


 俺がそんな事をぼやくと、上空から聞きなれた航空機の空気を切り裂いて飛ぶ音が響いてきた。

 航空魔導兵器バハムートの到着である。


「おぉ! 陛下の秘密兵器バハムートが来たぞ!」

「やった! これで帝国の奴らばらばらになりやがる!」

「戦争も終わりだ! ハハハハ!」


 兵たちも、先日の件を聞いていたのだろう。

 バハムートが到着したことで、士気が上がった。


「全員、一旦下がれ! バハムートの攻撃が来るぞ!」


 俺が指示を出すまでもなく、現場の指揮官たちが一斉に声を挙げ始めた。

 そんな様子を頼もしく思いながら見ていると、物見の兵が敵の様子を知らせてきた。


「敵、盾を取り出しました! ……あれは、鉄製と思われます!」


 鉄製の盾か、確かに今のバハムートの攻撃には有効な手段だ。

 ただ、何万と居る兵全員が入る盾などないし、そんな枚数は簡単には揃わない。

 俺が、そう予想をしていると全く予想外の答えが返ってきた。


「敵、全兵が盾を使用! 恐らく一人も盾から漏れていません!」


 揃えさせたアイゼナッハ将軍がすごいのか、揃えた帝国がすごいのか。

 まったく驚かせてくれる。

 確かにこれでは、従来型の鉄塊を落とすだけでは意味がない。

 だが、こちらもその辺はちゃんと改良してあるし、新兵器も投入している。


「バハムート! 上空を通過! ……ん? 何か塊を落としました! それも複数!」

「どこに落ちそうだ!?」

「恐らく……、敵のど真ん中です!」


 よし! 爆弾投下は上手くいったようだ。


「全軍に告ぐ! もう少し距離を取る! 30歩後退! なお、最前列は鉄の盾を前面に展開しろ!」

「はっ!」


 全軍が30歩(10m程度)下がると、敵の中腹で大きな爆発音が響いた。

 そして、少ししてから衝撃波と爆風がこちらにも襲い掛かる。

 その予想外の大きな衝撃に、敵兵だけでなくこちらの兵も驚愕の表情を浮かべていた。


「……ドロシーのやつ、楽しくなりすぎたな」


 俺が独り言ちると、次弾が敵目掛けて落ちてきた。


「総員! 退避! 退避! 退避ィィィィィィィ!!!」


 結構離れているはずだが、敵の命令の声がハッキリと聞こえる。

 相当、混乱しているだろう。

 なにせ、あれは黒色火薬を用いているのだ。

 しかも、その黒色火薬にあろうことかあいつはニトログリセリンを入れたのだ。

 そう、いわゆるダイナマイトを発明してしまった。

 ただ、この爆弾はかなり運ぶのが難しい。

 なにせちょっとの衝撃で、爆発する。

 おかげで、もち運びは全部魔法で行い。

 移動中も地面とくっついているように圧力をかけてある。

 特に離着陸時には、細心の注意を払っているくらいだ。


「敵軍、壊滅……、四散します」


 物見の兵が唖然とする中、なんとか報告を出してきた。

 さぁ、後は飛龍たちが来た時に、どれだけ勝てるかだ。


次回更新予定は3月9日です。


回復具合を見ながらですので、予定通り上がっていなかったら、察してください。


今後もご後援よろしくお願いいたします。

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