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5-23

少し短いです。

元第一王子領付近 ディークニクト


 敵を迎え撃つ準備を始めていると、一人の兵が走ってきた。


「ディークニクト様! アーネット、キール両将から伝令が来ました!」

「すぐに通せ!」


 俺がそう言うと、伝令の兵は急いで近づいてきた。


「ディークニクト様! アーネット様とキール様からの伝言です! 『予想以上に森が無くなっているので、機動的に動き敵を遅滞させる。迎撃の準備急がれたし』以上でございます!」

「両将は、森が無くなっている原因は調べていたか?」

「はっ! 森が無くなった原因は、総主教の要請で大聖堂を立てようとしていたから、とのことであります」


 森が無くなっている原因も見つけた上でか……。

 暴走とは訳が違いそうだ。


「よし! 分かった。後はこちらでどうにかする。お前は原隊復帰かこちらに残るかどっちだ?」

「私には、こちらに残るよう命令を受けております!」

「では、すぐさま穴掘りに参加しろ! 冥界の扉を開けるくらい深く掘るんだ!」


 俺がそう言うと、伝令の兵は飛び出していった。


「さて、敵の動きがどうなるか……」




機動強襲部隊 キール


 先日の流民部隊を追い払った後、次にやってきたのは哨戒部隊だった。

 騎馬を駆って我々を探して回る彼らは、厄介極まりない。


「さて、どうしたものですかね。こうも隙間なくウロウロされては、伝令すら出せないですな」

「物資のいくつかも、敵に見つかっている可能性がありますね」


 私が物見の兵に呟くと、彼もまた私見を述べてきた。

 流石に鍛えているだけあって、しっかりと状況を把握できていますな。


「恐らくその読みはあたっているでしょうな。さてどうしたものか……」


 伝令が出せないという事は、アーネット殿ともディークニクト様とも連絡が取れないということ。

 しかも相手は哨戒部隊に恐らく2~3千を投入しており、こちらの部隊の4~6倍。


「勝てる見込みがあまりありませんな。せめてアーネット殿と合流できれば」


 アーネット殿と合流できれば、彼我の戦力差が2~3倍にまで縮まる。

 もちろん普段ならそれではダメなのだが、私とアーネット殿が居ればそれくらいの差はひっくり返せる。


「なんとしてでもアーネット殿と合流せねば……、いっそのこと全員で突っ込んでしまいましょうか?」

「それは、確かにできるとは思いますが……」


 ここで、普通の兵なら「無茶を」とでも言って渋るんですがね。

 流石はアーネット殿が鍛えただけあって、怖いもの知らずが多いのでしょう。


「ふむ、このまま手をこまねいていてはいけませんし、最低限度の食料だけ確保して突破しますか」

「では、皆にそう伝えてまいります」

「えぇ、よろしく頼みましたぞ」


 私がそう言って、物見の兵を見送る。

 こんな状況で嬉々とできるという事は、それ相応の修羅場をくぐり、死地を経験していないとできない事だ。


「全く、アーネット殿の鍛え方は恐ろしいものですな……」


 私はぼやきながらも、物見が居なくなったので、代わりに見張りを続けるのだった。

次回更新予定は12月14日予定です。


今後もご後援よろしくお願いいたします。

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