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5-8

領都ランバダリー ディークニクト


 まず俺は、第三王女から要請があった、第四王子の捕縛について話し合う事になった。

 手配書の写し書きについては、現在絵師たちが鋭意製作中である。

 早く印刷機などを、誰かに発明してもらいたいものだ。


「さて、第四王子の件だが……。逃げるとしたらどのルートになりそうだ?」


 俺が集まった一同――キール、シャロ、アーネット――に問いかけた。

 まぁ、この中で地理的な知識があるのは、キール以外に居ないのだが。


「恐らくですが、主要街道の近くは通らないでしょうな。こちらは最低限度の見張りでよろしいかと」

「なるほど、まぁ目立つ場所は嫌うだろうな。他にはどうだ?」


 俺は、そう言って地図に目を落とす。

 この領地には主要街道が二本通っている。

 一本は帝国領へ続く道で、通称麦街道。

 もう一本は獣王国へ続く道で、通称鉱石街道という。

 それぞれの主要産業が名前の由来なのだが、どちらも王国にとっての動脈と言っていい道だ。


「獣王国側に兵を配置したいところだが、相手が逃げ上手なら帝国側にも配置しておこう」

「その真意はなんなの?」

「真意というほどのものは無いよ。ただ、何となくかな? こっちのルートでも大回りすれば獣王国に入れるからね」


 俺はそう言って、帝国との国境すれすれを指でなぞった。


「ですが、その辺りはかなり険しい山ですぞ」

「険しいのは山頂へと続く道だろ? この山の手前までならそう厳しくはないはずだ」

「確かに。それなら抜けられますな……。という事は、ここに兵を配置するのですかな?」


 キールがそう言って指で刺してきたのは、鉱石街道の領土境近くの森の中だ。


「そうだな。そこら辺に配置しておけば、王子は捕まると思う」

「確かにその辺りには居そうよね」


 俺とシャロとキールの意見が一致したが、未だに何も言ってこないアーネットが気になり、俺は意見を聞いてみた。


「アーネットはどう思う?」

「俺か? ん~、考えてみたんだが、ど真ん中を普通に歩いてきそうだと思うんだがな」

「それは流石にないんじゃないかしら? 相手だって追われている可能性は考えるでしょ?」

「確かにそうだが、何となく俺は真ん中だと思う。まぁ何となくだからあまり気にするな」

「アーネット殿の様な、剛の者であればそうかもしれませんな」


 結局俺達は、最初の街道沿いのどこかから脇へ入り、鉱石街道の近くから獣王国領へと入る道に行くという結論になった。

 それから数日は、第四王子拘束の為に兵を配置し、手配書を配らせることに専念した。

 その作業がようやく一段落着いた頃、やっと俺はセレスの申し出について検討を始められた。


「セレスの真意は何か、ってところだが。恐らく王家の血を絶やさないことと、これ以上の無駄な血を流さないようにすることだったのだろう。と推測はできる。できるんだけど、何か別の意図がありそうなんだよな……」


 俺が引っかかっているのは、セレスの決断の理由だ。

 一応いくつか考えられるものを並べてみたが、どれも結局ピンとこない。

 何か別の意図があるような気がするのだ。


「あまり顔見知りの悪いところを考えたくはないが、ある可能性としては暗殺。これなら好条件を出したことも、相手がこちらに出向いてほしいという理由にも、納得ができてしまう」


 この可能性を考えた理由は、第三、第五王子の件があったからだ。

 この申し出を受けた直後に、俺は何人かの間者を放って情報を集めていた。

 その時に、第三、第五王子の暗殺の件を知ったのだ。


「以前あったセレスと、今のセレスは別人だと考えても良いくらい変わった。それはキールに聞いても分かっていることだ。国家をまとめる政略と戦略を備え始めている。これでのこのこ手を打たずに出て行けば、危ない可能性もある」


 だが、ここで手をこまねいていては意味が無い。

 それは、相手にも疑心を生むだけなのだ。


「致し方ない。俺とアーネットの帯剣の許可を条件に向こうに出向こう。護衛はアーネットが居ればどうにかなるしな」


 どこかの魔王が、『戦略が戦術に負けるはずがない』とか言いそうだ。

 さて、方針が決まれば後は早い。

 俺は早速手紙をしたためて、キールに託した。

 こちらはこちらで用意をしたうえで、出向かなければならない。

 ただその前に、桟道の第一王子をどうにかしないと。


「誰かあるか?」


 俺が大声を出すと、執務室に兵が入ってきた。

 その兵に、カレドに戦況報告をするように促す書簡を持たせて走らせた。


「あの第一王子もよくもまぁ、兵士も居ないのに頑張る」


 一応何度か降伏を勧める使者を送ったのだが、ことごとく拒否されている。

 ちなみに、反対側から攻めていたワーカーとか言う武官は、戦況が悪化してから他の貴族たちに捕まえられて差し出されている。

 今は、地下牢で呪詛の言葉を喚いているだろう。

 もっとも、飯だけはしっかりと食べているから生きてはいる。

 早く、この戦いの決着もつけたいものだ。


次回更新予定は11月13日です。


今後もご後援よろしくお願いいたします。

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