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1-1

新シリーズスタートです。


 遥か太古の時代。

 このエルヴィンガルドを二柱の神が創造した。

 神の名は、光の神ソルネスと闇の神ダクネス。

 神々はエルヴィンガルドの大陸を創造したのちに、それぞれの形の一部を模した生き物を生み出した。

 ソルネスは、人間、エルフ、ドワーフなどの光の民を。

 ダクネスは、吸血鬼(ナイトウォーカー)淫魔(バンピール)、魔獣などの闇の民をそれぞれ生きる場所に配置した。


 しばらくの間神々は互いの生み出した者たちを興味深げに見ていたが、ある時ダクネスの一言で事態は動き出した。


「ソルネス。我の化身達は貴様の生物よりも生命力に溢れ、優れていると思うのだが、どうだ?」


 それを聞いたソルネスは、何を馬鹿な事をと頭を振って否定した。


「ダクネス。それはものの見方の一つです。我が化身達は技術力に優れ、知性あふれています。貴方の所の野蛮な種族と一緒にしないで頂きたい」


 その一言を聞いたダクネスは、ならばと一つの提案をしてきた。


「そんなにも言うなら互いの化身達に天の啓示をしようではないか。『それぞれの民を滅ぼせ』とな」

「……なるほど、滅んだ方が負け、滅ぼした方が勝ちという事ですね?」

「あぁ、その通りだ。我の化身と貴様の化身の力と知恵と技術の終末戦争の始まりだ!」


 こうして、それぞれの神は互いの種族に啓示を持って命じました。


「我、光の神ソルネスの名において命じる。闇の神ダクネスが化身達を滅ぼすのだ」

「我、闇の神ダクネスが名において命じる。光の神ソルネスの化身達を滅ぼすのだ」


 こうして始まった終末戦争を人々は『族滅戦争』と呼び、永遠ともいえる戦いが始まったのだった。




エルフの里 ディークニクト


「さ、今日はここまでだ。みんな家に帰ってしっかりと今日の復習をするように」


 俺がそう言うと、年若いエルフの子ども達は元気よく返事をして各自の家路へとついた。

 そんな彼らを見送った俺は、一人今後の授業について考えていた。


「……しかし、この話の続きをどう話したものかな」


 俺が悩んでいるのは、族滅戦争の続きである。

 この戦争、最初は光の民が闇の民の勢いに押され、圧倒的不利な立場に立っていたのだ。

 何故か? 理由は簡単だ。

 人は集団を形成し、この戦争が始まったころには既に各地で王国をつくっていた。

 対する魔人は、数が少なかったのもあり、一つの集団として行動していた。

 この差の意味するものは、大きい。

 特に魔人たちは人間に数倍する力を持っており、強力な魔法や強靭な肉体を持っている。

 それが一つの国ごとに分かれた人間に次々と襲い掛かってきたのだ。

 人間は簡単に追い込まれた。

 そんな人間を憂いて光の神に呼び出されたのが、この俺だ。

 学校の屋上で一人昼寝をしていたら、突然魔法陣で強制転移させられ。

 そして課された使命が、『窮地にある人間を救え』だ。

 魔人や魔物を押し戻したら、元の世界に帰してやると言われた俺は、兵を率い、必死に戦って魔王と呼ばれる者を討伐し、敵の組織的抵抗の芽をつぶし、平和を勝ち取った。

 その功績もあり、光の神の民たちに『黒き救世主』などと呼ばれた。

 だが、人とはあさましく愚かなもの。

 平和な時代になってしばらくすると、民や兵に人気のある俺が疎ましくなったのだろう。

 貴族たち特権階級を中心とした、反勢力に殺された。

 あの時聞いた理由は……、確か『黒髪は闇の神ダクネスが化身の証。奴は光の救世主を騙る魔人である』だったかな?

 まぁ、今となってはどうでも良い話だが。

 

「流石にこのまま伝える訳にはいかないよな……」

 

 この世界の人間には黒髪は悪の化身とされている。

 実際俺以外に黒髪の人間は見たことが無かったし、俺の髪色も最初は驚かれた。

 そして、何よりも魔人たちが皆黒髪なのだ。

 正確には、黒髪だけでなく色々と色の違いはあるのだろうけど、パッと見がほぼ黒なので、黒髪=悪と思われている。

 そんな中俺が一時とはいえ、受け入れられたのは、光の神が召喚したという肩書があったからだ。


「まぁこの黒髪のせいで、最後は奴らに殺されたのだから何とも言えないが」


 この世界の史実では、突然俺が反旗を翻し、人間に牙をむこうとした。

 そして、その為に俺は当時部下だった騎士たちによって討伐される。


 もちろんこれはねつ造である。

 真実は、俺の庶民や兵士への人気に危機感を抱いた貴族たちが国王に「英雄に謀反の気配あり」と詐言したのだ。

 そして、国王も恐らく俺の事を恐れていたのだろう。

 貴族たちの言い分を鵜呑みにして俺を処断した。


「……歴史が違い過ぎるからな、どうしたものか」


 俺が一人ため息をついていると、窓の外から息を切らしてこちらに走ってくる銀髪の女性が居た。

 彼女は俺がまだ居る事を確認すると、勢いよく扉を開けてきた。


「ディー! 大変よ! 子爵が攻めてきたわ!」


「はぁ!? 子爵が何でこんな辺鄙な里に!?」


「分からないわよ! でもこのままじゃ里が危ないわ! なんとかしないと!」


 まったく、子爵は何を考えているんだか。

 とりあえず俺は、彼女に戦える者に武装させて連れてくるよう指示して森の入り口へと走り出した。


今後もご後援よろしくお願いします。

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