第25話 死した騎士達1
ゴブリンを倒し、新たな力を得たカズマは地図を片手にラプトル三体と弾丸トンボと共に進んでいた。
ステータスを確認するために創造した弾丸トンボはカズマの頭の上に止まっている。弾丸トンボはそれほど大きいわけではないので頭に乗っていても何か引っ付いている程度で違和感はなかった。
「…ここか」
やがてカズマは森の端に出ることが出来た。その向こうには石が均等に敷き詰められた道が見えた。
「…なるほど、道にはこのくらいで出ることが出来るのか」
道があった場所は廃村からそれほど離れておらずその気になればすぐに廃村にむかえるほど近かった。
「取り合えず一端戻…ん?」
廃村へと戻ろうとしたカズマは東の方に見える集団を見つけた。
「この世界の人間か?今の状態なら見つからないようにするのが得策か」
そう判断したカズマはラプトルたちに指示を出して茂みの中から様子をうかがった。
やがてそれらはよく見えるところまで近づいてきた。
全体で青い鎧で統一されたそれらは騎士と呼べる格好をしていた。
「マクシムの時といいやはりここは中世のあたりの異世界なのかな?」
カズマはそう思っていた。
「…そうだ。他の人のステータスはどうなっているのか確認してみよう」
そう思ったカズマはさっそく鑑定を開始した。カズマが対象にしたのは戦闘を歩く小太りの男である。
名前:ルナルド・スピッド
種族:傀儡ゾンビ
レベル:1
HP:150(D)
MP:100(E)
筋力:580(A)+50
防御:13(E)
俊敏:52(E)
魔法:青銅障壁(無)[広範囲展開]
スキル:不死レベル1
補食レベル1
強靭レベル1
異常状態無効レベル5
怪力レベル1
指揮レベル6
剣術レベル3
槍術レベル2
魔力消費軽減レベル4
詠唱破棄レベル5
称号:操り人形
「…何だこれは」
カズマはあまりの事に言葉を失った。人間だと思って鑑定したやつが実際はゾンビ立ったからだ。
しかしそれだと合点がいくのもあった。この騎士達の冑から見える瞳は虚ろだったからだ。
「パッと見た感じはゴブリンの種族が違うバージョンだな」
最も筋力はこちらの方が倍以上多いが、とカズマは呟く。
「…とにかく今はこの場をやり過ごすのが得策か…」
そこまで呟いて気づいた。騎士達の動きが止まっているのを。
カズマは嫌な予感がしつつもう少し上を見た。そこにはこちらを虚ろな目で見つめてくる騎士の姿があった。
「…やばい、ばれた」
カズマのその呟きと同時に騎士は馬をこちらに走らせた。