第11話 接触・対話
「お前らここでなにしてんだ?」
その声は突然聞こえた。
俺らはこの村に入ったあとここが廃村の可能性が高いことが分かった。どの家も新しくなってはいるが人が誰もおらず試しに幾つかの家に入ったがベットや棚があるだけで他にはなにもなかった。
そんな中でこのパーティーで一番低い女、ルゥがその辺の家で寝ようと言い出したのだ。
いくら人が誰もいなくても魔物の巣である可能性はあるわけで俺はここから出ることを進言した。
しかし、ルゥは野宿は嫌といって頑なに拒否していたのだ。
ルゥはこのパーティーで一番年齢が低くまだ12しかなかった。そんな彼女が冒険者をやっているのは理由があるがそれは今度にでも話そう。
話を戻すがそうやって議論しているところに声が聞こえたのだ。驚いて回りを見れば村の中心の方から人が出てきたのだ。
15くらいの容姿に人より少し低く、ルゥより少し高い程度だった。顔はかなり整っており美少女と呼ばれてもおかしくないと思われる美しさを持っていた。
突然現れた天使とも呼べる美しさを持つ少年に俺らは一人として口を利けずにその容姿にみいっていた。
「…あの、どうかしましたか?」
少年にそう聞かれて俺ははっとして答える。
「あ、ああ。すまない少し呆けちった。俺はこのパーティーのリーダーのマクシムって言うんだ」
俺の言葉にはっとして現実に戻ってきたメンバーも口々に自己紹介していく。
「俺はトッド。よろしくな!」
「…ハーラン」
「あたいはリン。このパーティーの姉御的存在だ」
「私はマァムです。よろしくお願いします」
「ルゥよ!」
メンバーも自己紹介をした。ハーランだけ何かをくらい顔をしていたが。
「…俺はカズマと言います。この廃村の唯一の住人です」
自己紹介をした少年、カズマはここの唯一の住人といった。と言うことはここの村人は何処かに避難したのだろうか?
魔物に襲われて全滅という可能性もあったがそれはないだろうと自分で否定する。外にいたならともかくこの廃村は死体一つなく魔物に攻められた傷跡が一つもなく新品同然だった。つまりここは交通の悪さから最近廃村になったと仮定できた。
「唯一の住人ってことは廃村になったのか?」
赤いバンダナが特徴のトッドがカズマに聞いた。
「…はい、ここは交通の便が悪いのでみんな他の村に行きました。俺はこの村が好きなのでとどまっていますが」
俺は予想していたためとくに驚かなかった。
「…それよりマクシムさんたちはどうしてここに?」
カズマは話題を変えて聞いてきた。
「ああ、すまない。実は最近この辺で特訓をしていてたまたまここを見かけたのだが誰もいなくてね。ここを借りようかどうか議論になったのだ」
「…そうでしたか。ここはみてのとおり住人一名の静かな村なので家を壊さなければご自由に使ってください」
「盛大な心に感謝します」
カズマの言葉に俺は感謝しつつメンバーに指示を出す。ルゥは待ちきれないように近くの家に入っていった。きっと直ぐにベットに大分するだろう。他のみんなもそれぞれ好きな家に入っていく。
「では何かあったら村の中心の家までお願いします」
そう言ってカズマは去っていった。それを見て俺も適当に家に入っていく。
ただ、一人だけその後ろ姿をハーランはずっと見つめていたのであった。