第10話 侵入者2
いきなりで悪いが質問だ。人が疲労でぐっすり眠っているときたたき起こされたらどうする?
答えは簡単、怒り狂う。
「…サーチアイ!いい加減俺の腹に体当たりするのをやめろ!」
俺は先程から俺の腹に向かって体当たりをしてくるサーチアイを怒鳴り付けた。
こちらは疲労でぐっすり眠っていたのに…。
しかし、サーチアイはそんなことは気にせずに必死になにかを伝えようとしていた。
「…もしかしてここに侵入した奴がいるのか?」
そう思いサーチアイに聞くとサーチアイは体を縦に動かす。サーチアイの肯定の仕草だ。
そのしぐさを見て俺はその場で腕を組考えた。
侵入者が魔物なら何ともない。その場合はサーチアイのみで対処できたからだ。黒騎士の報告でこの辺は比較的魔物は存在しないらしくいても最弱と言われているゴブリンや肉食動物位だと言う。
因みに動物と魔物の違いは魔力があるかないかで別れているらしい。
だから魔物が肉食動物に食い殺される等のこともあるらしい。…黒騎士がどうやってそれを知ったのかは聞かなかったが。
「…侵入した奴が話せる奴だといいのだが」
そう言いつつグランドスライムに護衛を指示して黒騎士とクリエイターに待機命令を出した。
話し合いで解決できるような者達の場合、一見泥にしか見えないグランドスライムはともかく人目見ただけでモンスターと分かるサーチアイやクリエイターを連れていくわけには行かない。そもそもクリエイターは建築専門なので戦闘は素人だった。その護衛を任せる意味で黒騎士には待機命令を出したのだ。
そして俺は外に出て拠点の入り口へと向かった。俺の家は廃村の中央にあるのでどこへいっても距離は変わらない。
入り口へと近づいたとき何やら数人の男女の声が聞こえた。どうやら争っているらしい。
俺は家の影からその様子を見た。鎧を身に付けた男が二名。残りは軽装であった。武器は剣や鍵づめ、短剣、杖と色々あった。
「…いったい何を話しているのだろうか?」
そう思い耳を済ませると、
「ねぇ!いい加減中にはいって休もうよ!もうくたくただよ!」
「馬鹿か?こんな人どころか動物一匹すらいない村で休めるか。廃村にしてはこの村は綺麗すぎる。魔物の拠点となっていても不思議手はない」
「別にいいじゃん!襲ってきたら返り討ちにすればいいんだもん!」
「損なんだからいつも危険な目に遭うんだろうが!」
どうやらここで休むか休まないか決めているみたいだな。
しかし、このままにしておくわけにも行かないので声をかけることにした。
「お前らここでなにしてんだ?」