第8話 代償3
結局、体が動くまで回復したのは更に4日たった頃だった。
その頃には廃村は拠点として生まれ変わっていた。十メートルはありそうな頑丈な壁が村を多い、家も様々な機能を持つ物に変化していた。
「…予想以上の出来だな」
「アリガトウゴザイマス」
約一週間ぶりに外に出た俺は来たばかりの頃とは生まれ変わった廃村を見つめた。
「…本当は更に創造か合成をして防衛能力をあげたいのだが…」
廃村と言ってもかなりの広さがあった。一家族が不自由なく暮らせる広さの家が何十件もあり、サーチアイ、グランドスライム2体、黒騎士、大工用モンスター十数体では防衛どころかすべてを見張ることすらできない。
「廃村が予想よりも大きかったのが難点だがいまさらどうこう言ってもしょうがないな。取り合えず今は寝るための家のみを守ることにしよう。全員を集めてくれ」
「カシコマリマシタ」
黒騎士はそう言ってモンスターを集めるべく離れていった。
その時ふと、近くにいた大工用モンスターを見つける。
「…そう言えばまだステータスを確認していなかったな」
そう呟き大工用モンスターのステータスを確認する。
名前:クリエイター
種族:クリエイトモンスター
レベル:3
HP:1280/1500(B)
MP:3800/4500(B)
筋力:200(B)
防御:200(C)
俊敏:150(D)
魔法:クリエイト(無)[詠唱破棄、同時建築、連続建築]
スキル:大工レベル3
逃亡レベル1
危機察知レベル1
称号:気の弱い頭領、臆病な建築者
「…称号が酷いな」
ステータスを覗いて見た最初の感想である。建築に特化しているモンスターとか他にも色々感じそうな気もするが元々大工用に作ったモンスターのため特に驚かなかった。
「…やっぱり敵と戦わずに逃げる専門で作ったのが悪かったかな?」
廃村がここまででかいとは思わなかったこととぶっ倒れると言うアクシデントが重なって今に至っているがグランドスライムと黒騎士のみで大丈夫だろうと思い込んだのがいけなかった。
大工に集中させるために戦闘系スキルを持たせなかったからか臆病者と言う悲しい称号を得ることになっていた。
「…だけど他の点はうまくいっているからよしとするかな?」
そう思っていると全員をつれてきた黒騎士が現れた。
「アルジ、ゼンインツレテキマシタ」
「分かった。サーチアイはこの辺を見張っていてくれ。グランドスライムは家の回りについて護衛を頼む。残りは家に入るぞ」
てきぱきと指示を出して俺も家に戻る。今日はすでに暗くなりつつあるから本格的なことは明日からになる。
そのためにも今日は早めに寝ておこうと思っての行動であった。
そしてこの行動は正しかったと直ぐに証明することになる。
辺りが暗くなった時サーチアイが侵入者を発見した。