第二十一話 加わる目的地
今回で第三章終了です。
「ふぅ……今回は危なかったな、大蝙蝠が油断してなきゃ殺られてたかもしれねー」
洞窟を抜けた後、拠点に戻った拳太はアニエスから治療を受けていた。
今回の戦いの反省をした後、拳太はレベッカに一つ尋ねた。
「レベッカはこれからどうすんだ? やっぱ国に帰んのか?」
「えっと……そのことなんだけど……」
そこでレベッカは気まずそうに頬を掻く、何か言いづらい事があるのだろう、しかし、拳太は全く心当たりは無かった。
「どうした?」
「えっとね? ボクは『転移石』っていう魔石を使ってここに来たんだけどね? 最初に大蝙蝠と戦った時に割れちゃったみたいで……」
「オイ、お前まさか……」
猛烈に嫌な予感がした。拳太は聞いてはいけないと思っていたが言葉は自然と先を促していた。
「お願い! 足は引っ張らないからボクも連れてって!」
「はぁ~~……」
転移石の話の時点で十分予想できた事だったが、それでもため息を吐かずにはいられなかった。恐らく彼の幸せ係数は奈落の底へ急降下しているのだろう
「仕方ねぇな……」
だが、結局は断れず、というより断るつもりが無かった拳太はこぼす様に了承した。
「着いていっていいの? ヤッター!」
目を輝かせ、飛び跳ねて喜ぶ姿はさながら秘密基地を手にいれた少年の様である、レベッカは女だが
「これからよろしくお願いしますねレベッカさん!」
「旅仲間が増えて私も嬉しいのです!」
これからの食料や旅の経費が心配な拳太を他所に、彼女ら三人はなんともまぁ無邪気なものだ。拳太は再びため息を一つついて言った
「やれやれ……」
次章予告
レベッカさんも仲間になって、ますます私たちの旅は賑やかになるのです!
しかしどうやらケンタさんは色々悩み事が増えた様子、力になりたくても、私ではどうにもならないのです……
そんな時、運悪く森で迷ってしまったのです! はわわ、これって結構ピンチなのです!?
幸い、大きな館があってそこに泊めていただいたのですが……
次章! 拳勇者伝!
『森の館と命の博打』
なんだか、ケンタさんが悪い顔してるのです!