翌朝安穏
翌朝、医者を連れて父親がやってきた。
ロアの身体を調べて、不思議がっていた。
こんな事は有り得ないとか、前例が無いとか、そんな感じだった。
まだこの世界の言葉はよくわからない。
ただ、ロアが苦しんでいた原因が『ソーマ』と言う物にあるらしい。
私を物質化させたのもそれのようだ。
私の身体は物質化が解けて、幽霊に戻っていた。
物質化しているほうが都合が良いのだが、どうやらそう上手くはいかないようである。
物質化したことによる最大の変化は『ソーマ』を感じる事が出来るようになったのだ。 幽霊の身体に戻った今も、大気中に漂っているものや人が吸う息吐く息に混じっているもの、体内の各臓器に蓄積しているもの、植物でも種類によって多く含んでいるものと、すぐに排出して蓄積しないものがある。
この世界にはあらゆる所に『ソーマ』が存在している。
問題なのは、再びロアの中に『ソーマ』が溜まりつつ在ることだ。
今はまだいいが、また何日かすると危険な状態になるだろう。
およそ十日ぐらいだろうか?
かまうものか、何度だって助けてみせる、百回だろうが千回だろうが必ずだ。
何も父親らしい事の出来なかった私に出来るのはこんな事ぐらいだ。
その度に赤ん坊の姿になるのか・・・
はやく大きくなってくれよ、いろいろと。