目覚めた先は……
ようやく光に慣れ、後頭部をさすりながら辺りを見回す。自分が寝ていたベッドとギラギラと自分を照らしている電灯に、スピーカーと監視カメラ、それと扉だけがある。目で見えたのはこれぐらいで、それ以外は何も無い、グレー色の床と壁の部屋だった。
どこだ?くそっ!と自分の後頭部をさすりながらベッドから立ち上がり、扉に向かった。しかし、扉には鍵がかかっているらしく、開かなかい。自動のようだったため諦めてベッドにもう一度座りこんだ。それから、自分に起こったことを思い返してみた。
確か……、さっきまで軍の任務を遂行していたはず。任務の内容は4Cエリアに見知らぬEXISTAの目撃情報があり、それの偵察で自分が所属している第四地区二番隊が新型実装用の武器の試しも兼ねて出撃したのだった。目標地点まで何もなく順調に到着した。そして、隊長が自分とレイジ軍曹が仕留めるために身を潜めさせ、隊長とカール少尉が遊撃するという作戦だった。しかし、少尉からの通信が入ってから大きく乱れたのだ。隊長が援護に向かったが、仕留めることができず敵がこちらに逃げてきた。こちらに来たので自分も迎撃態勢に入った。敵が後少しのところで、思いもよらない事態が水面下で進行していたのだった。
軍曹の裏切りだ。
彼が自分に向かって「EXIATAから降りろ」と通信を送ってきたのだ。何を言っているのか理解できなかったが、彼のEXISTAがこちらにレールガンを向けていたことから抵抗するのは無意味だと考え、降りたのだった。そこに、黒いEXISTAが現れ、そこからパイロットが降りてきて気絶させられた。
こんなところだろう、ともう一度寝転がる。それにしてもこのベッド、捕虜のために用意されているにしては寝心地が良い。本当に捕虜のためのものなのだろうか。すると、スピーカーから声が聞こえてきた。
「やっと起きたの?ちょっと待ってね」という女の声だった。その後にガチャンという大きな音をたたせ、扉が開いたのだった。
そこには目つきの悪い自分より少し背の高い金髪の男が立っており、そこには一本の通路だけが続いていた。
「そいつについてってね」と言い残して、声が途絶えた。
「……来い」とその男は言い,暗い通路の先に消えた。罠かも知れないと考えたけれども、その場合、もう殺されていただろうと思い、その後をついていくことを決めた。
その通路は薄暗く、壁には等間隔で扉がある。長いわけではないが、出口側を閉じていたため、暗い。一言で言うなら不気味ということに尽きた。前の男が出口の前に立つと扉が開いた。
そこは廊下よりも、明るく開けた場所で、そこには十数人の作業着をきた人々がいて、なにかを作っているようだった。
自分に気付いたようで、彼らはこちらに視線を向けたのだった。至る所から、自分に対して向けられた言葉が聞こえてくる。小さい声だったが自分の耳に刺さってきた。
「あいつが4の息子か」
「こんな若いやつをEXISTAに乗せているなんて」
「違うだろ。ただ、こいつがコネで乗せてもらっていただけだろ」
「父の子」というだけで、と手を強く握りしめた。
いつも、そうだ。父の子どもというだけで学校も町でも大人たちは特別扱い、同年代の友達からは『七光り』などと蔑みの声を受けていた。ここでも、その父の存在が自分を苦しめるのか。
「ほら、全員持ち場に戻って」という声が手を叩く音と共に聞こえて来て、その声で作業員達はそそくさと持ち場に戻っていった。
「すまないね。あまり、こいつらは機関の人間のことをよく思ってなくてね」と
声の主がこちらに近づいてきた。その主はサングラスをかけ、帽子を被っているがちょうど父親ぐらいの年だろうか。
「すまないね、手荒な招待をしてしまって」と自分に手を差し伸べてきた。
だが、こっちにはその意志が無いことを示すために自分の手を後ろに持っていく。
「そうだよね。いきなり誘拐した相手と握手なんてできないか」と残念そうに手を下げた。
「ここに連れてきた目的はなんですか?」と一応、立場上、敵ではあるが敬語で自分質問した。
「ああ、そうだったね。でも、そこからの話はここでは話辛いから、私の部屋に来てもらおうかな。ブラッドはここまでで良いよ」と自分を引率していた金髪の男を下がらせた。そして、一番奥の部屋に入って行った。
自分は疑問に思ったが、拒否したところで状況が変わるわけではない。拒否して殺されるよりはマシだと思い、彼の後についていった。
彼は一番奥の部屋に自分を招き入れ、部屋のカギを閉めた。
「手荒い歓迎でごめんね、リオン君」と彼はサングラスと帽子を外した。
「え!?」
自分は驚きのあまり動きが停止した。