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[練習作]ダンジョン物  作者: 夜霧 時矢
変革~激震する世界~
9/11

第一話 環境再生、新たなる拠点

悔しい嗚呼悔しい。

今回の話は書いてる途中に三時間分が消えた。

取り戻すのに午前四時まで作業している。

正直死ねばいいのにと本気で思ってしまうほどマイナス思考モードである。

とりあえず脳内派生嘘ペットにいやしてもらおう。

とりあえず今回から作業用GBMを導入。

そして小さなミスの直後であれば元に戻すが有効な事が判明。

全部消えた時は小説本文て勝手に挿入されるから元に戻すが効かなくなるようだ。

死ねばいいのに。

嗚呼、うちの子が可愛すぎて困る。



真っ白である。

もっふもふである。

ふっかふかである。

もっこもこである。

歩けば後ろからちょこちょこついてくる。

何より人語を理解するので非常に賢い。

もう甘えてくるさまは鼻から愛情があふれそうになるよ。

と言うのもこの前捕獲した固有(ユニーク)モンスターである。

種族を図書館で調べたが良くわからなかった。

ギルドの方でも調べてもらったが不明との事で、育つまで様子を見るべしと言う指示だ。

まあ手放す気はさらさらないんだけどね?

図書館の方も大抵成体のモンスターの特徴を乗せるので、もしかしたらまだ子供なのでわからないのかもしれないというのが俺も含めた正式会見である。

そしてもう今の自分の顔はとろけているに違いない。

乗って指示すればその方向に動いてくれるしもっふもふだしもっふもふなのだ。

特に指示がないとどうするの? どうするの? と鼻をスピスピ言わせながら見つめてくるさまはもう世界一可愛い。

つい高麗人参をあげすぎてしまうほどである。


アイテムデータ:高麗人参

栄養価の高い植物系の人参型ドロップアイテム。

滋養強壮剤の原料であり草食系の魔物が好んで食べる。

ドロップ元は子供サイズの人型の根っこに頭に植物という感じのモンスター。

名前を「マンドラゴラ」である。

なお、そこそこドロップ率の高いレアアイテムである。


出会う子供たちにも大人気だ。

まあ俺が乗っているせいで大人しく見えるからみたいだけど。

さすがにちょっと困っている風だったので助けたが、俺以外の子供を見ると俺の背後に隠れるのはなぜ? 変なトラウマにならなければいいが。

それともあれか、俺と同じで集団は怖い口か。

とりあえず名前は職名をミィとした。

まあ自分と同じように本名は隠すようにしたのだ。

ちなみに正式な名前をミミル・ファウ・フォリアと名付けた。

もちろんあの地底湖はミミルの泉と名付けた。

由来は言わずもがな、ミーミルの泉である。

賢かったから何となく思い浮かんだのだ。

なぜか水泳が大好きで、この前作った地底湖で暇があれば泳いでいる。

地底湖へは螺旋階段をつけたので自宅から行き来できるようになっている。

後々天井側に光苔(ひかりごけ)を繁殖させて地下農園を築こうと思っている。

なおこの世界の光苔は生前の世界にあった光苔とは別物であり、空間魔力を吸収し非常に強く光る。

防衛戦略の関係上トイレは地底湖側の空き地へ繋がっている。

無論排泄物はそこに捨てられるので、ついでに肥料を作って夢が広がっていく。

とりあえず桃の木は必須だよな。

ついでに思いついたアイディアで、転送術式で水を地底湖から引っ張っているので井戸に毒を流されても平気である。

何せ地底湖のさらに深い、表層ではなくさらに地下の部分の水源を利用しているからである。

転送術式が便利すぎて困る。

まあ生物は条件をそろえてかなりの魔力を使わないと転送できないんだが。

ふと気づくと自宅の要塞化が進んでいるなぁ。

そして今は前回作ったエアコンの基盤を必死にお爺さんと作っているところだ。

前々回作った術式版発電機はうんともすんとも言わなかったので今回は相当設計の段階でチェックしたので大丈夫だろう。

自分は基礎部分に術式を掘る作業をしている。

その溝にはめ込む金属の微細加工なんて経験でしか補えないよあれは、お爺さんはある程度才能も必要だと言っていたし。

とりあえず材料は抗魔銀と魔法銀を確保している。

抗魔銀の方は宝石好きのお狐様に生前の知識で加工した俺の頭ほども大きさのある水晶玉と交換してもらった。

なんでも真球に近いほど使いやすい(何に使うかは教えてくれなかったが)らしくすごく喜んでいた。

今回刻む術式が多いとは言え整理されているので刻むのも楽しい。

本来は術式を暗号化するのでさらに複雑になるが、物理的にも解析魔法的にも封印する事にした。

正しい分解の仕方をしない限り解析できないものにしたので正直分解は考えないが正解である。

ちなみに解析する場合、三次元構造の密封圧着した回路なので、ナノ単位の正確さで各層の各回路板を切り出さないと一発でおじゃんである。

現在一個目の第二層目を作っており、合計四個作る予定である。

それぞれ一階と二階のエアコンとして、地下二階の冷凍室として機能させるための冷却器として、最後に地底湖の温度調節用である。

さて、そろそろ休憩を入れるとしよう。


「お爺さんや、そろそろ休憩にしましょう。お饅頭もありますよ」

「お婆さんやとでも言ってほしいのかの?」

「お爺さん冗談はわかるくせに乗ってくれないよね」

「なぜかのぅ、何となく酷い事になる気がしての」

「そんな事は無いはずなんだけどなぁ」


さて、今現在目の前には黒の素地に白銀の回路が踊る術式板の前に座っている。

改めてみると本当に贅沢な素材を使用している。

精密回路を使用する関係上、どうしても通常の魔力を通す基盤ではうまくいかないため電気で言う絶縁体にあたる抗魔銀を使用している。

本当は符号化(あんごうか)までどうにかしたかったんだけどあれやると刻まなきゃいけない量が十倍近くになるんだよね。

後、符号化すると起動魔力が増えるというのもあるので今回は完全な物理封印で解析不能にすることにした。

ん? ああミィか、どうした?


「ミィー」

「ご飯が欲しいのか?」

「ミュー」

「んー、遊んでほしいのか」

「ミューイ♪」


嗚呼癒される。

とりあえず取り出したのは巨大猫じゃらしモドキ。

どういう理屈か恐ろしく弾力のある茎と真ん丸で細長い穂を持つ植物だ。

結構どこにでも生えている。

ふにふにと振るとペシっと穂先を叩こうとがんばるミィが可愛くて困る。

それを必死によけながらより近くで挑発するようにじっとさせ叩こうとしたらピっと避ける。

そしてすぐ戻す。

とりあえず十分ほど遊んで癒されていた。


「ところでこれは何かの?」

「だからエアコンだってば」

「だからエアコンとはなんじゃ。お主の言う事はたまにさっぱりわからん」

「だから室内温度調節器だってば」

「そんな王侯貴族が使うような物作れるわけないじゃろ」


やれやれと首を振るお爺さん。

本当なんだけどなぁ。

まあこの回路を刻みつけてから術式回路を重ね焼きする手法、付与術師(エンチャンター)の能力を一気に引き上げる手法なのでこの頃この町を中心に広まり始めている。

無論、最初に開発したのは俺である。

高々異世界の祝福に何千年もかけて積み重ねてきた人類の英知が負けてたまるかと言う話で、必死こいて考えた末にヒヨッコ付与術師を捕まえて開発したのだ。

無論、自分の技術力が足りないため精密回路を作る鍛冶師の協力も必要不可欠なので新技術とは言い難いが。

そんなわけで術式を刻んでいる間は特に問題ない、問題は作動させてその機能が知れてからだろう。

まあ自宅の室内でしか使う予定ないからばれようがないんだけど。


「それにしてもお主は突拍子もない事ばかりするのぅ」

「そんな事は無いと思うけど」

「大体魔具の開発なんて国の研究機関がやるような事だしの」

「いやいや、日用品ぐらいは素人でもそれなりの知識があればできますって」

「その知識がないから普通の冒険者にはできないんじゃろ」

「いやいやいやいや、魔法術師(ウィザード)ならともかく上位にあたる魔導師(メイガス)なら効率化のために魔法式を読み解くし最上位の真言術師(スペルキャスター)なんてそれそのものを扱ってますよ?」


なんでもう手遅れかって感じで頭を抱えるのさ。

いやだって術式文字が理解できるなら後は組み合わせて魔力を現象変換に流して現実侵食型の魔法機関に流して結果を引き出すだけじゃない。

魔法だって実際、魔力を、術式回路に、流して現象を引き出すっていう手順を踏んでるわけで今説明したの全部やってるんだよ、なぜこれでできないと思うのさ。

独自の改良とかやってる魔法術師もいるんだよ? そんな初期上位職でもできる事をできないなんて言われても俺が理解できないがな。

正直改造にしろ何にしろ、術式として刻み込んだら魔具になるのになんで本当に分からないんだろう。


「だからの、そういうのは専門の学者が必死にの?」

「そういうのは広域殲滅術式とか完全蘇生術式とか大規模な奴の話でしょ?」

「そもそも素人には魔法文字はわからんと」

「だからその素人が魔術文字の知識を持ってるんだって何度言ったら理解するのさ」


そもそも魔術文字を扱えない人は魔法適性ゼロ判定受ける事になるのですよ。

ぶっちゃけそれって「喋れません」って口で言っちゃってるぐらい信用できない言葉だから。

一定範囲の言葉しか喋れない村人(エヌピーシー)じゃないんだからありえんだろうという話。

そもそも魔術文字って結構実際に文字書く時も使ってるよねという所をどう説明付けるんだが。


「何度も言うがの、そういうのは専門の」

「はいダウトー。それが先入観です」

「だうととやらが何かは知らぬがの、みな感覚でいじっておるのじゃよ? お主のように理解しておるわけなかろう」

「それで改造できるとか魔法を改造してた魔法術師(ウィザード)はどんだけ天才なのさって話になるんだけど」


いやね、積み木を適当に組んでたらハリネズミのように武装した要塞が出来てましたってぐらい信用ならない話です。

まあいいや、エアコンの作成を再開しながら話すか。

えーと、確か二層目が完成したから休憩入ったんだったな、三層目か。


「大概そういうのは過去の事例から当たりを付けてだの」

「そんなんで改造できるほど魔法は幼稚じゃありませんよ」

「それは過去の偉人たちがじゃな」

「はいはい、適当にいじったら炎槍(ファイア・ピアース)氷棘(アイス・ニードル)になるんですねー、あはは面白い冗談だ」

「……確かにそれは極端な例だがの? 事実お主の言う術式文字を認識して使っておるやつらなど万に一ついれば奇跡じゃの」


仮にそうだとしたらファンタジー半端ない(パネエ)ってレベルじゃねえぞおい。

ぶっちゃけ俺の知ってる技術公開したら世界戦争に発展しない?

第一次魔法対戦ですねよくわかります。

でもそれって本当にそうなるのだろうか?

そもそもなんで皆変換機(コーデック)使わないんだろうと思ったら、もしかしてパソコンで言うバイナリをこねくり回してたの? 中身も知らずに?

……あー、よくわからん人のために例えて言うなら、沢山の部品使って機械造るところを原子配列いじっ機械を作ってましたと言えば分るだろうか。

ねーよと言わざるを得ない。

っとよし、三層完成。

ちなみにどんな作業をしているかと言うと、まず薄く延ばした抗魔銀を指定の大きさに切りひたすら術式文字焼付け用の溝を掘っていくのだ。

掘るための道具は万年筆のような形状の専用具で超硬金属とファンタジーで名高いオリハルコンというものが原料らしい。

手に入れた事がないので詳細は不明である。

そしてお爺さんの担当はその掘った溝に焼きこむ魔法銀である。

魔法銀を溝にそってはめ込むような形になるように加工し、実際にはめ込むのだ。

量が少なかったり多かったりしても作動しなくなるのでお爺さんの長年の勘と技術力が頼りである。

まあそこまで終わってから一枚一枚作動確認し回路として成立しているなら部分的に作ったブロックを統合すれば各層の出来上がりになるわけだがここで焼き込み作業が必要になる。

そして最後に今は食事に出ていていないが付与術師(エンチャンター)の仕事である。

付与術師は本来材料の上に魔法銀を置き回路を自力で形成し焼きこまなくてはならない。

それをすべて思念操作でやるのだから神がかっているとしか言いようがないが、正直非効率この上ない。

まあ回路形成までやると後は思念操作による焼き込み部分だけなので大抵の付与術師は問題なく成功できる状態になっていると言ってもいい。

今回は信用のおけないやつを使うわけにはいかないので、超忙しくしていたが弟子兼下働き一号ことルイ・ファンベルを呼び出した。

ちなみに仕事名である。

過去に薬の調合で呼び出したことのあるリアのお父さんにあたる人だ。

ちなみにファンベルは俺が考えたブランド名で、安定した質を提供しますファンベルシリーズがうたい文句である。

工場と大量生産の概念を教えてからは生活用品の魔具を量産しているらしい。

休みがないと泣いているらしいが奥さんはホクホク顔だった。

今日も「久々の休みだったのにー!」と血涙を出してリアに抱き着いていたがお父さんうるさいの一言で撃沈していた。

まあお金の心配しなくていいって楽でいいわな確かに。

そして工場長なんだからもっと人雇えよという話。

もう一度行ってしっかり運営について教えないといけないかもしれない。

といっても自分も知識だけなのだがないよりはましである。

さて、そうこうしている間に二個目ができた。

慣れてきてからは結構簡単に掘れるのだという事を今日初めて知った。

まあ今まで冷凍庫しか作ってなかったからな。


アイテムデータ:冷蔵庫

一辺を二メートルとする正方形箱型の魔具で中の温度を密封時に限り絶対零度近くに保つ。

密封している間だけ作動し、基本的に空間魔力を馬鹿食いするのでその周囲では魔具が使えなくなる。

基本温度の影響を受けない緋金(ブラットクレイ)と呼ばれる金属でできた器具で中を管理する。

なお、緋金は柔らかいので重い物を扱うと結構壊れる。

箱や術式基盤も緋金製であるものもあり完全断熱とか馬鹿じゃねえのというぐらい断熱素材尽くしである。


冷蔵庫術式は無駄に符号化されてたから複雑で複雑で、術式そのものが小さかったのが救いか。

まあ元自宅とかミノのおやっさんの所とかこの工房とかで使っている。

他にも配ればいいかもしれないが、そうなるとメンテナンスが糞めんどくさいので諦めた。

まあ日用品はルイさんが作ってるしそのうち誰かが開発して普及するかもしれん。

急で悪いがそろそろ話を戻そう。

誰でも日用品の開発をできるようになるといったが下働き一号ことルイさんはその実例第一号である。

最初こそ使う術式を俺が作ったがファンベルシリーズは基本ルイさんの開発設計したものである。

なので、決して俺がおかしいわけではないはずなのだ。

お爺さんも実例は知っているはずなのになぜ理解してくれないんだか。

よし、三個目完成。


「ほう、もうできたのか」

「一個目以外は書き写すみたいなものだったからね」

「無駄に器用じゃのぅ」

「無駄って何さ無駄って、数作るなら慣れの問題だよ」

無駄(・・)に器用じゃのぅ」

「苛め? 苛めなの!?」


うわーんと鳴きまねをしながら四個目の一層が完成した。

書けば書くほど覚えるのは漢字の書き取りとかといっしょなので、後は慣れである。

そういえばミィはずいぶん静かだなって寝てるし。

本当にマイペースだよなミィって、まあそんな所も可愛いんだけど。

ああ、ちなみに雄か雌かもわからないので名前を付ける時に困った。

本当にこいつの種族は何なのだろう?

そうこうしているうちに二層目完成っと。

三層目は集中してぱぱーっとやってしまった。

後はお爺さんの魔法銀とルイさん待ちである。

削りカスはお爺さんに[メッキ]という技術概念を教えたので、ためしに使ってみるそうだ。

まあお爺さん達を待っている間に液体魔力の供給器と筐体部分をつなぐ部品でも作りますかね。

まあ例によってプニョ玉なわけだが。

今回プニョ玉は腐るほどあるのでいくら失敗しても問題ない。

あれだね、成長直後のダンジョン半端なかったですハイ。

ん? あー、ミィさんや。

危ないから飲み込むなよ? 転がして遊んでる分には怒らないから。

ちまにみプニョ玉は水にも浮くので地底湖でボール代わりになるだろう。

さて、供給器用の穴をあけて削って大きさをそろえる。

後は封印用のステンレスの内装と見た目用の外装であるダマスカス鉱か。

ステンレスは板をプニョ玉で接着するからいいとして、問題はダマスカスか。

よし、省略!

問題解決よきかなよきかな。

いや、ダマスカス鉱作るのメンドクサイし良く考えたら木目模様作るのは斜めに削って板にしないといけないんだもの。


「おや、どんなものになるか期待していたのに筐体は手抜きをするのかい?」

「あ、ルイさんお帰り。ごはんにします? お風呂にします? それともわ・た・し?」

「それを妻に吹き込んだのは君だったのか。正直ビックリして妻を病院に連れて行きかけたよ」

「それでボコられてたんですねわかります」

「それは言わないでくれ」

「奥さんの冗談ぐらい笑って流さないと」

「あの後かなり大変だったんだぞ? 頼むから妻におかしなことを吹き込まないでくれ」


ふふ、それだけじゃなくリアにも吹き込んでるんだぜ。

お母さんに上目使いで「かわいい弟が欲しいな」って言うようにって。

俺のターンはまだ終わっていないぜ、ドロートラップカードってか!

なお、他にも奥さんの方にはネタを仕込んでいるのだよ、使うかどうかはわからんがな。

ふはははより一層困るがいい! リア充なんて苦労すればいいんだ!

ん? 嫉妬じゃないよ、仮に嫉妬だとしても嫉妬と言う名の悪戯だよ。

何言ってるかわからない? こまけえことは良いんだよ!

まあいいや、そんなこんなで焼き付けも終わって最後の工程、作動確認である。

ステンレスは後ではっつければいいや。

供給器をセットして液体魔力を投入、リモコン用の端末は作ってないので今回は手動で起動する。

リモコンの情報受信部分に直接魔力を注ぐ。

今回流す情報はプラスマイナスゼロ、室内を二十五度にしろという命令だ。

冷却用のやつだけ初期温度がゼロ度に設定してある。

今ここで使えば、鍛冶場で金属を扱った後だけあって糞暑いので効果は十分体感できるはずだ。


「起動! さあ示せ、貴様の有能さをなぁ! ポチッとな」

「……ほぅ、これは涼しいの」

「広域冷蔵庫ですか? 確かに涼しいですね」

「だからエアコンだってば。冷凍庫にする事もできるけど」


起動してみてわかったが一つ失敗した。

元の世界のエアコンと違ってモーターで風を回すわけじゃないので空気が循環しない。

天井にプロペラみたいな攪拌機でもつけて空気回すしかないようだ。

ん? という事はどっちにしろモーター型の魔具を作らないといけないのか。

確か既存の技術に合ったよな、特定の言葉に反応して特定の行動をするやつガーゴイル技術だっけか?

まあこれで室内で生活できる。

正直隣に自宅があるのに野外で生活しなきゃいけないとか泣きそうでした。

神殿の掘立小屋の時は天井塗ってなかったからそこから熱が逃げてたんだね。

まあ冬なのに不思議なほどあったかいなとは思ってたけどまさかあそこまで断熱効果が高いとは思わなかったね。

世の中予想外の事でいっぱいである。


「うん、規定温度になると作動停止するのも確認と。後は温度が上がった時に作動再開を確認できれば」

「あ、動き出しましたね。という事は完成ですか?」

「そうだね、完成したっちゃしたけどこれ広めたらだめだからね?」

「ほぅ、なぜじゃ? お主の事だからまた広めろと無茶な注文をするかと思ったんだがのぅ」

「これを広めたら危ないんだよ、使い方によっては人工的な災害発生装置にできるから」


何せ魔力の許す限り極寒時刻でも灼熱地獄でも思いのままに作り出せる。

それこそ包装材に緋金を使って燃料庫を内蔵型にすればそれだけでどんな環境でも燃料の許す限り地獄が作れるのだ。

熱転送は正直、人にはまだ早い技術である。

まあ必要に迫られて作ったわけだけどね。


「それなら仕方ないのぅ。そこいらの付与術師を使わなかったのもそれが理由かの?」

「その通りだよ、そういうわけで申し訳ないんだけど今回の事は忘れてくれると助かる」

「仕方ありませんね。まあフィーさんにはかなり使える技術を提供していただいているので否はありませんが」

「しかし、鍛冶場でも効くとなると相当強力じゃの」


そういえば出力計算してなかったけど最大出力だとえーと? 瞬間的に絶対零度か。

まあ元が冷凍庫術式だからな、しかたないっちゃしかたない。

ちなみにだが、この式を転送温度をマイナスになるよう設定すると暖房になったりする。

転送で俗に言う逆転送現象である。

まあこれが発展したものが物語で言う勇者召喚の魔法陣になるんだろうけどさ、条件付けて呼び出すって本当に国家規模じゃないとできないと思うんだ。

どれだけ複雑な術式書けばいいか想像もつかないし。

さて、環境も整ったしダンジョン攻略を始める事が出来そうだ。

よし、運ぶための台車をおやっさんから借りてこよう。

おやっさん所はスケールがデカいから使いやすいんだよな、台車は。

ミィ、出かけるぞー。

ん? 台車ってミィにひかせりゃよくない? 力強いし。

そうだな、そうしよう。

そんでもって商店に到着した。


「おやっさん台車貸してくれー」

「おう、お前さんじゃないか」

「いや誰だよ、このネタ好きだねー。まあちょっとデカい物運ぶんで貸してほしいんだけど大丈夫?」

「そんな事もあろうかとー! お前さんのぶんも作っておいたのさ! ……これ結構気持ちいな」


……なん、だと!?

先を越された!

まさか先にこのネタをやられてしまうとは一生の不覚。


「まあいいか、じゃあ借りてくねー。ミィおいで」

「ん? 土産か? よっと、結構重いな」

「ミィ?」

「食べごたえがありそうだ」

「ミィィィィィイイイイイ!?」

「いやおやっさん違うから。ほらミィ大丈夫だから、冗談だから」

「はっはっは、悪いな。お前さんのペットなら冗談を理解するぐらいぶっ飛んでるかと思ったんだがさすがにお前さんほどぶっ飛んでないか」

「いやおやっさん、ぶっ飛んでるのは行動であって存在自体じゃないから。さすがに類友でも万能なやつが集まる事は無いから」


解放されたミィが俺の背後で丸くなって震える。

さすがに冗談は理解できないらしい。

しかし可愛い、鼻から愛があふれるかと思ったぜ。

まあ実際にそんな事は起こらないんだがイメージ的にの話である。

ゆっくりゆっくり説得し高麗人参でつってやっと少し慣れてくれた。

あれだね、高麗人参の匂いで鼻をスピスピ言わせるのはさすが動物と言わざるを得ないが可愛すぎて困る。

恐る恐ると言う感じで出てきたミィに台車の縄を括り付ける。

よし、鍛冶屋に戻るぞー。

……引いてる感じは問題ないな、走らなければ大丈夫か?

まあ運び終わってから走行テストだな、問題なければダンジョンのアイテム回収が相当楽になるはず。

そんなこんなで鍛冶屋に戻ったわけだが誰もいない、何があった?

とりあえず四台ともステンレス板の張り付けまで終わってるな。

少し待つか?

ああそうだ、プロペラとモーター作ってしまおう。

あんまり速く回さないしプロペラは結構デカくていいか、えーとモーターはガーゴイルの技術なんてしらんし一定の磁力が交互に発生するようにして反発を利用するか。

お? 帰ってきた。


「おかえりー」

「おう帰ってきてたのか。酒でも飲もうかと思ったんだがそういやお前さんはまだ子供だったな」

「残念ですね、せっかくいいお酒を買ってきたのに」

「まあたまの休みぐらい羽目を外していいと思うけどさ、お父さんお酒臭いなんて言われないようにね?」

「仕込みか、また仕込みなのか!?」

「いいじゃないか、さっさと飲もう。甘いものでももってってやれば子供なんて簡単に機嫌を直すぞ」

「ああ、その前にこの術式焼き付けてねー」


ふふふ、親子に異口同音で言われるがいいさ!

そしてあれですか、二人で飲む気満々ですか。

まあアルコールは味が苦手なんで飲まないんですけどね。

まあいいや、回収して帰ろう。

結構重いなさすが金属製。

よし、積み込み完了ミィ引っ張っていいぞー。

やっぱ首輪の以心伝心効果便利だな。

さて、森の中を歩いていてふと思った。

結構な期間ダンジョン探索してなくない?

仕入れ大丈夫だったのかな、まあ仕入れしてないのは一ヶ月程度だったから余裕だろうけど。

そういやこの頃裁縫屋のおばさんが商人が来て大量購入していくとか言ってたな、他の店舗でも起こり始めたらさすがに俺一人で入荷がもたないぞおい。

しかも今は未探索箇所が多くて入荷できるものに限りがあるしなぁ、早めに探索を再開しないとな。

となるとしばらくはダンジョン探索かぁ、めんどくさいなぁ。

んー? ああ、生活が安定した弊害か昔のものぐさな性格が戻ってきてるくさいな。

がんばらんとすぐ骨と皮になりそうだ。

さすがに食事するのがめんどくさいからって適当に水とかですませたのはまずかったよな、死んだ原因半分はそれなんじゃね?

まあ今は保存食が腐るほど種類あるからそんな事は無いんだけど、本格的に料理に手を出すべきなのか?

まあどうにかなるだろ。

とりあえず自宅に帰って設置したわけだが、これは快適だわー。

そのとの温度の影響も受けないから本当に適温が維持される。

これはダメ人間量産装置だわ、さすが人類英知の結晶侮りがたし!

もう家から出なくていいかもー。

ん? どうしたミィ、外で遊びたいって?

もう可愛いなぁ、でも袖引っ張ると伸びるからやめようね? いや怒ってるわけじゃないからね。

もう可愛いなぁ、今日はドルイドの社の方まで行ってみる? 確かミィの好きな薬草が結構生えてたはずだよ。

もう可愛いなぁ、そんな嬉しがらなくても、ちょ!? 押さない、押さないで! 行くから今行くから!!

第一章の一話終了時点での主人公ステータス。

スキルでない自力での物作りは生産スキルには含まれません。

なお、祝福は無条件に詳細閲覧可能。


名称:フィフィル・ファウ・フォリア 職名:フィー

職業:職業訓練生

転職可能職業:商人[15]、調合師[15]、鍛冶師[15]、術式使い[99]

Lv. 49/99 EXP.94.46% NEXT:14352

称号一覧

[@*者]$級#’:システム権限により詳細閲覧不可

[限界突破体現者]特級称号:システム権限により詳細閲覧不可

[先を歩む者]特級称号:民間称号による補正を受ける、先行実装システム。

[技術屋さん]民間称号:魔具工場より

[ラビッ党]民間称号:町の住人より

>>特殊技能一覧

>魔法:ステータス閲覧

・Lv.1 名前、職業、称号、本スキル詳細と技能一覧を閲覧可能

・Lv.2 状態、称号元、技能詳細、転職可能職業を閲覧可能

・Lv.3 レベル、現在経験値量、必要経験値量を閲覧可能

・Next-count 42300

>魔法:生命力回復補助

・Lv20 活力を回復可能、ただしカロリーを大幅に消費する。

 効果一、一定時間生命力の上昇により傷の治りが早くなる。

 効果二、一定時間気力などで動けなくなっても動けるようになる。

>魔法:肉体活性化

・Lv40 新陳代謝を向上させるがカロリーを大幅に消費する。

 効果一、身体能力の上昇、傷を治す速度の上昇。

 効果二、免疫力向上にともなう解毒速度の上昇。

>魔法:終わりの裁き

・Lv1 =身及び|手の罪・重+によってダメ_ジが変わる対’魔法。

 効果一、自身より相手の罪が重ければ二倍のダメージを与える。

 効果二、自身が相手の罪より重ければ自身もダメージを受ける。

 効果三、自身と相手の罪の重さが同じであれば三倍のダメージを与える。

>>祝福一覧

>長命種の宿命

>第一次限界突破者

>自分殺しの宿命

>呪い:シャドウハンド

>称号:技術屋さん

>称号:ラビッ党

・レベルアップ時ステータス追加上昇

・転職制限[基本職の転職不可]

・転職干渉[特殊職業解放]

・特殊干渉[レアドロップ率上昇]

・特殊干渉[固有モンスター遭遇率上昇]

・特殊干渉[固有スキル獲得]

・特殊干渉[肉体成長停止:十年]

・特殊干渉[再度ドッペルゲンガーを殺した時反射ダメージ二倍または二分の一]

・特殊干渉[次の転職までステータスの大部分を見れなくなる]

・特殊干渉[個人技能の向上時、器用さが追加上昇]

・特殊干渉[兎系がPTにいる時取得経験値上昇]

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