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[練習作]ダンジョン物  作者: 夜霧 時矢
再誕~駆け出しの頃~
5/11

第四話 逃亡潜伏独り立ち

ダンジョンの成長? ダンジョン攻略? すみませんもう少しだけ待って下さい。

大体独立が終わって神殿と仲直りしたあたりからやろうと思ってます。

だが最後に一言だけ言い訳を……。


ふははは、フィフィルの技術は世界一ぃぃいいい!!!

 あれから十年に及ぶ年月が……、たたねーよ(笑)


 そもそもそんな長持ちする食べ物がないわけで、どうにもならないなら早急に脱出しダンジョンやらどこやらで食糧を確保しなければならない。

 そもそもなぜ誰もいない?

 神殿内は何処を探しても人っ子一人いない。

 外は外で、まるで切り取ったかのように真っ暗で何も見えない。

 外に出るのは危険そうなので一切出ていないが一体どうなっているのだろうか?

 とりあえず探索して色々なものを集めたが初めて見るものは目の前にあるシンボルだけである。

 神殿の壁にデカデカと彫刻されているあのシンボルである。

 見つけたのはそう、全部屋をチェックし終わって祭壇に戻った時だ。

 祭壇の上に置いてあるオブジェがキラキラと光の粉のようなものを纏っていたのだ。

 なんというか、この部屋に最初に着た時も光ってた気がするけど太陽光に何かが反射してたんだろうと思っていた。

 良く考えたら外は暗いのに中は明るくどこが光源で光を取り入れているのかさっぱりわからない。


 影すらできない。


 そんな中で光を放つ? シンボルのオブジェに疑問を抱いて調べてみれば首飾りのようなシンボルがかかっていた。

 もうね、ちょうどアクセサリーじみた大きさの首飾りで、あれか神官の忘れ物かと思ったほどだ。

 しかしそれにしては教主や神官の人がこれをつけているのを見た事がない。

 そもそも神殿のシンボルにひっかけておくなど絶対怒られてとられる。

 ということは、元々あったものではないのかもしれない。

 とりあえず持って帰ろう、何かの手掛かりになるかもしれないしというのが今までの流れである。

 本当に俺は何に巻き込まれたんだろう?




~転職イベント開催中? 一体ここはどこの巻~

 そういえば職業が初心者から職業訓練生に変わっていたな。

 実際転職した覚えもないしバグでも発生したのだろうか?

 そういえば[Error no.001]という謎の黒い球体がアイテムとして追加されていた、背負っていたリュックに。

 もしかして初心者が限界値に到達するのは想定外なのかもしれない。

 この世界にこんなシステムを作ったのは誰か知らないがえらい手抜き具合である。

 もしかして職業訓練生も……?

 いや、限界レベルが転職条件にある職業があったからそれは違うだろう。

 そうなると初心者も違うのでは?

 そういえばドッペルゲンガーの経験値って聞いた事ないな、攻撃した人って基本死んでるし。

 まあ死んだ直後、大体五分以内で欠損が少なければ蘇生魔法で息を吹き返す事があるのでドッペルゲンガーの情報が出回っているわけだが。

 もしかしてあれか、俺が死ななかったからバグったのか?

 まさかバグのせいで呪いが正常作動していないからステータスのほとんどが見えるのか?

 そもそもが死亡前提で全部組んであるって事なのか!!?

 いやまて作成者、勝利イコール死亡で結ばれるモンスターってなんなのさ本当に。

 そんなモンスターいたらそのゲームは間違いなくクソゲーに分類されるぞ、本当に間違いなく。

 まあステータスが見れる分には問題あるまいと結論を出して考えるのをやめる。

 正直考えたって何も変わらないのだから他のことをするべきだ。

 なにせ外に出る事が出来れば時間はできる、考えるのはそれからでも遅くない。

 大体本当に今の状況は一体全体なんなんだろう?

 とりあえず状況をまとめよう。


 ・謎のアイテム コール魔法で鑑定かけても詳細が表示されず。

 ・誰もいない神殿 一応気配もないので本当に人がいないのだろう。

 ・外の存在しないような闇に覆われた外界 本を投げてみたら音は帰ってきたので外がないわけではないらしい。

 ・謎のシンボル 詳細不明、コール魔法も反応なし

 ・不思議な強制転職 詳細不明、履歴がないので確認のしようがない


 うん、一切共通点がないね♪

 もう死ねばいいのに。

 いっその事あの真っ黒い外へ突っ込んでみるか?

 まあそれは最終手段だな。

 さらに調べる。

 部屋の隅々まで不審なものがないか調べ、新たに隠し通路や部屋が増えていないか調べ、そして手がかりがあるかもしれない書籍を……。

 なんだこれは!?

 なんというか、普通の文字から記号、挿絵にいたるまで全部鏡文字、左右反対になっていた。

 一つ見つければ出るわ出るわ不審な点。

 良く調べれば本来の配置とは左右反対になった小物や部屋の間取りに家具の配置。

 神殿が中央から左右対称になっていたので気づくのが遅れたがほぼすべてが左右反対になっていた。

 本当にここは何処だ?

 少なくとも俺の知っている神殿ではない事、それが確かな事だ。

 まるで、自分の知っている神殿を鏡の世界に写し取ったような場所だ。

 ただ怖い。

 無音で怖い。

 生命がなく怖い。

 ここにいるのが怖い。

 何よりも未知の恐怖が怖い

 怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ。


 外に出よう。


 ここはヤバい。

 現実世界でありながら別世界だ。

 このままここにいれば精神が壊れる。

 危険、本能が恐怖という形で警告を送る。

 ここはどこだ? 知っているようで知らば居場所だ。

 おれはだれだ? おれはおれ、フィフィルである。

 なぜここにいる? わからない。

 だれがつれてきた? わからない。

 なんのもくてきで? わからない。

 どうするつもりだ? わからない。

 わからないわからないわからないわからない。

 とにかく逃げ出そう、ここにいてはいけない。

 とりあえず神殿の出口付近まで走る。

 そこからはさっき拾った棒で外に地面がある事を確認し。


「せーのっ!」


 目をつぶって飛び出した。

 背後で、何かが割れて、崩れ落ちる音がした。

 目を開ければいつもの宝箱の間だった。

 そういえば気を失う前はボス部屋で室内にタダ一匹のモンスターを倒したんだからここに出るのが正常である。

 帰ってきた。

 安心して力が抜けて座り込んでしまう。

 とりあえず、もう安心だ。

 地上に帰って美味しい物でも食べよう。

 とりあえず宝箱をあける。

 今回は言っていたのは前回と同じ一角獣の角だった。

 外に転送されると町が騒がしい。

 正確にはすぐ近くにある神殿が騒がしいのだろう。

 教主が走り神官が走り巫女さんが走り……、巫女さん?

 いや気のせいだったみたいだ。

 冒険者が走りお祈りに来ていた町の住人が走りペットだろうか? 犬が走り虎が走りせわしなく出入りしている。

 ……? なんか違和感があったが問題ない、気にしたら負けだ。

 まあ自分は自宅に――ガシっと音がするほどしっかりつかまれた。


「探していましたよフィー殿。少しお時間をいただきますね?」


 それは最早お願いではなく通告だった。


「今度は一体何してくれやがったんでしょうか? いい加減落ち着いて下さいませんか?」


 大神官どころか周囲の神官たちの笑顔ですら怖い。

 目が笑ってない、目が笑ってない!

 女の笑顔が怖いなんて嫁の貰い手が――


「何か?」

「イイエナニモ」


 なんで女性ってこんな時に限って鋭いんだろうね?

 そしてドナドナのごとく引きずられていくのだった。

 放り込まれた尋問室は真っ暗で光一つない。

 覗き対策のために神官のみなさんが頑張った結果である。

 しかしなぜランプを付けないのだろうか?

 目の前に小さい赤い光が見える。

 甘い匂いって事は香でも焚かれているのか?

 ドンと、机を叩く音がした。


「では、話してもらいましょう。今まであなたは何処で何をしていましたか?」

「ダンジョンに潜ってましたですハイもう本当に!」

「何か、変わった事はありませんでしたか?」

「固有モンスターのシャドーがボスだった事ぐらいで特には」

「倒したのですか?」

「核を一撃で破壊し倒しましたですハイ」

「それだけですか?」

「いやあの――


 そこからは記憶が曖昧だ。

 色々な事を聞かれた気がするがほとんど覚えていない。

 何か甘い香りを嗅いだような気がした。

 確か判断力を低下させる自白剤系の薬の匂いだった気がするが良く覚えていないので判断のしようがない。

 まあここらへんので作れる自白剤系っていったら一つしかないのであれで間違いないだろう。

 あれには弱点があって、絶対に話したくない事はどう頑張っても効きだせないのだ。

 話したくない事があるかどうかは分かっても中身を聞き出せなければ自白剤として意味ないと思うのだが、そこらへんは質問する側の技量だろう。

 まあ自分の場合話と命に係わる事が結構あるのでダメなものはダメと言っただろうと思う。

 そもそも、そんなものまで使って何を聞き出そうというのだろうかと言うのが俺の感想である。

 一体全体マジで本当に何があったんだろう?

 気がつけば自分の部屋で寝ていてドロップ品の仕分けも終わっていた。

 結論から言えば、いつもの如くオババサマもとい大神官は怖い、という事だろう。

 二三日部屋を出ずにひきこもろう、そうしようそうしよう。

 食料も水も十分あるので問題ない。

 ちょっと人間不信になりつつあるしちょうどいいガス抜きになるだろう。

 とりあえず窓をふさいで換気口をあけてランプをつける。

 無論扉もあかないようにしておく。

 ちょうど作りたいものもあったので問題ない。


 一日目前半は腐るほどあった角兎の角を削ってお箸を三つ作る。

 一日目後半は同じ材料で箸置きを三つ作る。


 二日目前半は同じ材料でスプーンを三つ作る。

 二日目後半は同じ材料でフォークを三つ作る。


 三日目前半は同じ材料でナイフを三つ作る。

 三日目後半は同じ材料で必死こいて一本ストローを作ってみた。

 ちなみに三つ作ったものうち一つはミノさんようにデカく作ってある。


 四日目に入って寝た。

 もう二十四時間ほど。


 五日目に入ってそういえば熟成がそろそろ終わるなと確認と調合を行う。

 正直麻酔薬系は調合に神経を使うので丸々一日かかった。


 六日目に入ってほとんど食事をとっていない事に気づいた。

 とりあえず干し肉と果実水(ただし冷凍済み)でお腹を満たした。

 確か魔法薬系も出来上がったはずなので濃度別に刻印を掘る作業を行った。


 七日目、一日怠けていた。

 八日目、一日怠けていた。

 九日目、一日怠けていた。


 十日目になって充電が終わった、さあ掃除でもしようかと思ったら水道が出なかった。

 メンテナンスしてなかったからポンプが凍りついたんだろうな。

 まあ貯め水があるので何の問題もない。

 実はこの部屋だけ秘密の地下倉庫があり実は籠城戦の備えが終わっていたりする。

 この部屋そこらかしこに触った痕跡が残っていたが地下倉庫はばれなかったようだ。

 まあわざわざ床板剥がすような馬鹿がいなかっただけだろう。

 ついでだから地下倉庫も整理してしまおう。

 まあほとんど保存食と魔法で凍らせた果実水とか水とかなんだけどね。

 大きい物が入らないから困る。


 十一日目、誰かが物凄い勢いでノックしていたようだが無視した。

 籠城戦の備えは伊達ではない。

 実はこの自室だけ壁やら柱やら枠やらに金属がこっそり使われており破壊するのはちょっとやそっとじゃ難しいのだ。

 疑似鉄筋コンクリートと言っても過言ではない。

 さらに防音も行っている。

 時々薬の調合で魔法薬系は爆発したりするし。

 まあいいや。

 そういえば地下倉庫も狭くなってきたし地下二階の倉庫を作るか。

 ああ、ちなみに壁は魔法薬で固めてあるのでちょっとやそっとじゃ崩れないのだ。

 それこそ百人乗ってもうんたらという話である。


 二十日目にして地下倉庫第二室ができあがった。

 さすがに梯子は用意してなかったのでヒモで上り下りしなければならないが。

 地下二層は水分系を補完する事にしよう。

 んー、むしろこのまま井戸を掘るべきか?

 よし掘ろうそうしよう。

 ちなみに掘った土は魔法薬モドキで溶かして壁の補強材になっている。

 なお、この素材は本当に危険なので公開していない。

 元はセメントを作ろうと思って頑張っていたのだが、某アニメの硬化なんちゃらとかいうのに似たものができた。

 地下倉庫行きの見せてはいけない謎技術作品第一号がこれである。

 これを硬化剤と名付けたが、これって正直瞬間接着剤の速乾性とセメント並みの汎用性があるチートアイテムな気がするんだ。

 保存用のしっかり蓋をした瓶に入れている間は液体なのだが、三分ほど空気に触れるとその部分から徐々に固まり鋼鉄並みの強度になるのだ。

 正直割れやすい瓶に入れ投げつければ場合によっては相手を殺せるし油みたいに水の上を広がるので水源をふさいでしまう事すらできるのだ。

 量さえ揃えればあまりに危険な戦略兵器である。

 まあ一応溶解剤はあるのだが、専用の溶解剤でもない限りなぜか溶けないし失敗した時が一番困る。

 まあ食べても体に害がない事がせめてもの救いだろう。

 便秘になるだろうが。

 原液がぶ飲みなんて馬鹿な真似をした場合は保証できないがそんな馬鹿はまずいないだろうし。

 そういえば控えめのノックが何回かあったが忙しかったせいで無視しちゃったな、まあいいか。

 ふとステータスを見たらレベルが上がっていた。

 そういえば職業訓練生は何か仕事をしていると経験値が入るんだっけか、スズメの涙ほどだけ。

 それでレベルが十上がるとか馬鹿じゃないのと言われるかもしれないが、初期レベルなんてそんなもんである。

 井戸が完成してからは三日ほどダレていた。

 そういや三日のつもりで一ヶ月ほど引きこもってるな。

 まあどうでもいいか、引きこもりマンセー。

 いっそ地下帝国でも作るか? どこかの髭親父的土管帝国な感じで。

 いやどこの忍者屋敷だよそれ。


 ……忍者屋敷? それいいな!


 よし隠し通路と隠し扉作ろう!

 確か家の裏手は三十センチほど間をあけてあるから出られるようにできるはずだ。

 隠し通路はどうしようかな? 地下通路なのは決定としてどこまで伸ばすべきか。

 まあとりあえず隠し扉の方である。

 とりあえず地上に戻って疑似ウォーターベッドを立ててどかし壁にこっそり静かに穴をあけ一番外層の木の壁を隠し扉に改造し普段は見つからないように硬化剤で石のふたを作った。

 外から見てもばれないだろうしわざわざこんな場所を見に来るやつもいないだろう、隠し扉としては合格の域なんじゃないだろうか?

 まあ次は隠し通路だがさすがにお腹減ったなぁ。

 まあまた干し肉でいいか。

 ゆでて冷凍していた野菜に凍らせておいたドレッシングかけて食べたが、結構時間がたってもいけるな。

 ちなみに冷蔵庫は存在しない。

 存在しないが似たような魔法で室内を疑似冷凍庫にできるので問題ない。

 まあ結構小さな範囲だけなのだが、まあこんな事はどうでもいいだろう。

 地下二階の壁を掘り進めながら硬化剤にしていく。

 そろそろため込んだ液体魔力が半分を切るのだが大丈夫だろうか?

 まあ硬化剤を作るのに液体魔力一に対し必要な土が千ぐらい必要だから問題ないのだが。

 というか質量保存の法則どこ行った? ファンタジーすぎるよさすがに。

 そんなこんなで掘る事自体が楽しくなってきた頃ふと思い出した。

 何処につなげるんだっけか?

 そろそろ地上へ向けて斜めに掘ろう。

 そういえば何気なく干し肉食いまくってたけどそろそ備蓄がヤバいな、地上に出たら買い出しに出るか。

 そんなこんなで掘っては掘って掘りまくる~♪

 えいさ、ほいさ、どっこいしょ。

 掘っては掘って掘りまくる~♪

 えいさ、ほいさ、どっこいしょ。

 掘っては掘って掘りまくる~♪

 えいさ、ほいさ、どっこいしょ。

 掘っては掘って掘りまく……、おや外だ。

 うぬ? 森の中?

 なんか見た覚えが……、ってここは元々小屋を建てる予定だった建設予定地じゃん。

 という事は町の外なのかここって、無駄に掘ったなぁ。

 まあいいや、水が降り込んでも困るから小さな小屋作っておこう。

 なんかっちょっと臭ったので久しぶりに川へ体を洗いに行った。

 とりあえず買い出しだ。

 そのまえにちょこっと神殿を覗いてくるか。

 どうせだからこっそり町の中に戻りこっそり移動する。

 さて、よくわかんないけどどうなってるか……。


 ――何これ?


 なんで仮眠室がデカくなって二階建てになってるのさ。

 しかもなんか俺の部屋の前に見張りが立ってるんですが。

 俺って何かしたっけ?

 引きこもってただけだよね?

 なぜか見つかったらヤバい気がする。

 とりあえず逃げよう。

 もう少し籠城戦を続けよう、よろしいならば食料だ!

 商店まで移動した。

 たぶん見つかってないと思う。

 だから、こっそり背後に近づいて元気に声をかけるだ。


「おっちゃん肉くれー!」

「ぅお!? なんだお前さんか。一ヶ月音沙汰がないから心配したぞ」

「いやぁ小屋の改造に夢中になってて気がついたら一ヶ月たってたんだよね。時計がなかったら時間にも気づかなかったぐらいだよ」

「なんつうか、いつもの通りぶっとんでやがんなぁ。ああそうだつい最近こっちでも湯船っつったか? 出来上がったんで見てくれよ」

「ほほう、俺の裁定は厳しいですぞ?」

「いやそれ誰キャラだよお前さん、まあこっちだ」

「ういういよー」


 結論から言おう。

 湯船が無駄にデカかった。

 まあミノなのでスケールがデカいのはしょうがない。

 なんと更衣室完備であった。

 まあ俺が愚痴漏らしてたから必要なものなんだと認識したんだろ。

 氷で冷やした湯上りのコーヒー牛乳も完備であった。

 正直言おう、負けた。


「き、貴様ぁぁあああああ! わかってんじゃねえか。さすがだぜ百点満点だおやっさん」

「おうよ、食品系ならお前さんにも負けないぜ! もうこれが出来上がってからエミィのサービスが過激になってな」


 判明する嫁さんの名前。

 これまでは「うちの嫁がな」って言うから名前知らなかったんだよな、そういえば。


「はいはい惚気惚気」

「まあ凄く感謝してたよ。ミノタウロスの女なら誰でも悩む慢性的な肩こりがかなり楽になったらしいんだよ」


 それはチチが無駄にでかいからです、重いから仕方ないとです。


「ああそういえばお風呂の効果って言ってなかったっけ。他にも疲れが取れたり毛穴の老廃物が取れたり色々健康にいいんだよ?」

「おう、ますます綺麗になっちまって仲間内で呪い殺されるかと思ったよ」

「リア充のおっちゃんも苦労してるなぁ」

「そのりあじゅうってのが良くわからんが、良いのは良いなりの悪いのは悪いなりの苦労があるからな」


 まあ世の中そんなもんである。


「そこまでわかってて人とミノのハーフがあんなモテモテな理由も理解できないのか」

「そこらへんはさっぱりだ。俺らミノタウロスは外見じゃなくて中身で相手を選ぶからな、人間とは判断基準が違うだろうよ。まあ男にその権利がないのは少しさみしいが」


 つまり彼、ミノのおやっさんは勝ち組である。

 綺麗な嫁さんを惚れさせた勝ち組である。

 惚れたが負け、惚れた側は一方的に譲歩するしかないのである。

 なんで趣味人のおっちゃんが村一番綺麗と言われている人を嫁さんにできたかね?

 本当に不思議だ。

 まあいいや。


「それで肉はどれぐらい入荷したのさ?」

「いきなり話題変えたな。まあ七十ぐらいか? 干し肉は日持ちするし冷蔵すればさらに持つしな」

「そりゃあね。じゃあ五十ほどもらうよ。こもってるうちにかなり食べちゃってさ」

「なら冷凍野菜ももってくか? あれはあんまり人気ないんだが冬でも夏の野菜が食べられるところがいいな」

「じゃあそれも頼むー。全部でいくら?」

「大体七百八十四エクってところか? 八百エクでいいですぜゲヘヘ」

「いや誰だよしかも増えてんじゃん。どうせ九百前後っしょ? はい八百エク」

「お前さんもだいぶ商品の値段覚えてきたな」

「知らん奴に詐欺られたくないからね。ああさすがに量が量だから台車借りてくね」

「おうよ、明日の朝には返しに来いよ?」

「わかってるって」


 かなりの量の荷物が台車に積まれ町の外に運び出された。

 きっと噂になってるに違いない。

 認識阻害もとい白霧のヴェールという魔法(ただしその魔法を使えるアイテム)を使ったので誰かまではばれてないだろう。

 まあ必死に運び込んでたら夜になってました。

 まあ特に予定もないし問題ないだろうな。

 なんか監視されてるし出にくくなっちゃったなぁ、どうしようか?

 いっそ森の方に別宅ならぬ本宅作ってそっちに移住するか?

 なんか裏切ったから裏切ったんだ臭くするために色を反転させたような神官服作るか?

 俺が怒られてばっかだけどたまにはあっちにも反省してもらおう。

 何せ今まで何か作ってる最中怒られることはあっても褒められることはなかったし、完成してから感謝されても褒められた覚えないし。

 いくら子供っぽくないとはいえ一応子供なのになぁ、子育ての方法間違ってる臭いよ!

 よしそうしようそうしよう。




~そんなわけで移住中の日々~

 一日目、まず地下への穴を広げて必死こいて部屋の中の道具やらアイテムを退避する。


 二日目、穴を硬化剤で念入りに塞いで地下への通路を閉じる。


 三日目、森の方にまともな小屋を建てよう。

 嗚呼いっそ鉄筋コンクリートにするか! まあ実質鉄筋硬化剤なんだが、ってことは材料が足りないなぁ。


 四日目、こっそりダンジョンに侵入し材料を必死こいて集める。

 最早時間との闘いである。


 五日目、こっそりお爺ちゃんところに鉄筋の作成を依頼する。


 六日目、建設用に板材を用意し家の骨組み部分を作る。

 ミノさんたちが遊びに来るかもしれないので大きめに。


 七日目、鉄筋が届いたがまだ足りない、とりあえず硬化剤を量産するがどこから土をとるか。

 まあばれないように地下から取るしかなく、崩落しないように硬化剤を使わなければいけない悪循環。

 しかし少しずつ溜まってきた。


 八日目、一日硬化剤を作っていた。

 九日目、一日硬化剤を作っていた。


 十日目、気づくと地下に巨大な倉庫が出来ていた。

 硬化剤はこれぐらいで十分だろう。


 十一日目、鉄筋が必要量届いた、必死こいて網目状にして壁になる部分に設置していく。


 十二日目、よく考えたら天井の敷板を支える棒を用意していなかったので森の奥へ必死に切り出しに行く。


 十三日目、ようやく建物の形になってきた。

 ふと思ったが強度十分だから二階建てでもよくねぇ?


 十四日目、天井まで完成して硬化剤を流し込む。

 さすがに一気には固まらないだろうから一階部分の完成には一ヶ月ほどかかるとみている。


 十五日目、さらに鉄筋を注文する。

 食料を買い足したがそろそろ白霧が足りなくなってきた。

 後町にお化けのうわさが立ち始めたが気にしない気にしない。


 十六日目、一応家具を作り始めた。

 ベッドは組み立てるだけだったが結構かかるんだねぇ。


 十七日目、浴槽も硬化剤で作ったが想像以上に保温効果があるので一人用ならこれで十分だろう。

 とりあえず硬化剤で全部作る事にした。

 問題は今まで使っていた洗面器やらが全部むこうにあるので回収が不可能という事だろう。


 十八日目、硬化剤がさすがに足りなくなった、しかしこれ以上この地下からは取りたくない……。

 そうだ地下道を掘ろう!

 確かおやっさんが倉庫欲しい倉庫欲しいってぼやいてたな。

 掘って掘りまくる~♪

 えいさ、ほいさ、どっこいしょ。

 掘っては掘って掘りまくる~♪

 えいさ、ほいさ、どっこいしょ。

 掘っては掘って掘りまくる~♪

 えいさ、ほいさ、どっこいしょ。

 掘って……、そろそろ目的地か?


「コールヴィジョン」


――[成功]――


 使ったのは透視魔法。

 まあこんな地下からじゃうっすらとしか見えないが位置を確認する分にはこれで十分だ。

 よし、ちょうど商店の隣の空き地まで掘れた。

 ここなら崩落しても商店に被害は出ない。

 まあ崩落させる気なんてないが。


 十九日目、一日中硬化剤を作る。


 二十日目、さすがに硬化剤の材料が切れた。

 こっそりダンジョンに潜ったが危うく見つかるところだった。

 材料の確保成功、でもってやはり残りの時間硬化剤を作る。


 二十一日目、硬化剤を作る。

 二十二日目、硬化剤を作る。

 二十三日目、地下倉庫が完成したので硬化剤を作りつつ商店側へ階段を掘る。


 二十四日目、階段を掘る。

 二十五日目、階段を抜けて床板が見えた。

 後はミノさんたちの大きさに合わせて穴を大きくし固めるだけである。

 なお天井はすでに固めてあるので横長の穴になってしまっているが、まあ後は背の高さまで掘って階段の形にするだけなので問題ない。


 二十六日目、さすがに食料が尽きたので買い出しに。

 床下から戻ってまた商店に行くってなんか間抜けだな。


 二十七日目、階段が完成したのと同じくして硬化剤も必要量確保できた。

 そういえばこの硬化剤、作った当時は片腕が固まって酷い目に合ったんだよな、溶解剤は溶かす時に熱を出すから大火傷したし本当にあの時は痛かった。

 あれ、組み合わせたらホットカイロ作れるんじゃね?

 まあ今度作ってみよう。

 そして、夜中にこっそり分厚い床に穴をあける。

 翌日起きたら床がなくなって謎の階段が! その先には巨大な空間がアーラ不思議って一発で俺だってばれますね。

 まあ一月ぐらいはしらばっくれよう。

 ここまで掘った地下道の入口をしっかり塞ぐ。


 二十八日目、食べ物を買いに行きました。

 え? 資金は尽きないのかって? 自分回収速度が半端ないので昔こそ貧乏だったけど結構な貯金があるのですよ。

 そんなわけで商店です。


「お前さんだろ」

「……いや、何が?」

「絶対お前さんだろ」

「だから何がさ」

「お前さん以外にあんなことできる奴いねえから」

「だから本当に何がさ」


 暫くエンドレスのためキャッキャウフフなベリーゼリーダンスをご想像下さい。


 ループ中です。

 ループ中です。

 ループ中です。

 ループが終わりました。


「とりあえずいつものお肉とお野菜で」

「十五エクでいい。やっぱお前さんだろ」

「だから何がだよ、いい加減怒るよ?」

「もういい、どうせお前さんだからな」


 ……バレバレですねわかります。

 そんなこんなで食料を確保しました。

 さあ改築だやれ改築だそれ改築だ二階建設セットアーップ♪


 二十八日目、うん、昨日は徹夜明けのハイテンションだったんだ。

 決して普段の俺があんな壊れているわけじゃないんだ。

 お願いだから信じてほしい。

 まあとにかく二階の骨組みを作り届いた鉄筋の代金を払い硬化剤を流し込む。

 構造の関係上屋根は最後に作らなければならないのがメンドクサイ。

 ちなみに今回はドアから(かんぬき)にいたるまで全て鉄筋硬化剤製だ。

 それこそ元の世界の対戦車ミサイルでも打ち込まれない限り壊れる事は無いだろう。


 二十九日目、固まるのを待っている間ダンジョン攻略にいそしみます。

 足りなくなった材料を補充中。


 三十日目、足りなくなった材料をダンジョンで補充中。


 三十一日目、どうやら俺幽霊になっているらしい。

 無論噂の上でだが。

 そりゃあビビるよね、あまりに出てこないので突入したら部屋の中に何もないんだから。

 ついには泣いちゃう人まで出たらしい。

 そして、ふと思いついたんだ。

 地底湖って浪漫があるよね♪


 三十二日目、硬化剤で鍾乳石の作り方を研究中。

 三十三日目、硬化剤で鍾乳洞の作り方を研究中。

 三十四日目、硬化剤で地上へのルートを作成中です。

 三十五日目、硬化剤で地上へのルートを作成完了。

 荒野に地下への洞窟が出来上がりました。


 三十六日目、馬鹿でかい空間を作るべく掘削中です。

 三十七日目、馬鹿でかい空間を作るべく掘削中です。

 三十八日目、馬鹿でかい空間を作るべく掘削中です。

 三十九日目、馬鹿でかい空間を作るべく掘削中です。


 四十日目、大失策です、天井から水がしみ出してきています。

 どうやら鍾乳系の作り方は小さな隙間がいっぱいあくらしく雨が降るごとに中でも雨が降るようになってしまった。

 まあそんなの目じゃないくらい空間は広くなったんだが……、なんで俺こんなことしてるんだろう?


 四十一日目、大体東京ドーム? とやらと比較できるぐらいの地底湖が完成した。

 正直使い道がない。

四話終了時点での主人公ステータス。

スキルでない自力での物作りは生産スキルには含まれません。

なお、祝福は無条件に詳細閲覧可能。


名称:フィフィル・ファウ・フォリア 職名:フィー

職業:職業訓練生

転職可能職業:商人[15]、調合師[15]、鍛冶師[15]、術式使い[99]

Lv. 45/99 EXP.22.01% NEXT:85367

称号一覧

[@*者]$級#’:システム権限により詳細閲覧不可

[限界突破体現者]特級称号:システム権限により詳細閲覧不可

[先を歩む者]特級称号:システム権限により詳細閲覧不可

>>特殊技能一覧

>魔法:ステータス閲覧

・Lv.1 名前、職業、称号、本スキル詳細と技能一覧を閲覧可能

・Lv.2 状態、称号元、技能詳細、転職可能職業を閲覧可能

・Lv.3 レベル、現在経験値量、必要経験値量を閲覧可能

・Next-count 42350

>魔法:生命力回復補助

・Lv18 活力を回復可能、ただしカロリーを大幅に消費する。

 効果一、一定時間生命力の上昇により傷の治りが早くなる。

 効果二、一定時間気力などで動けなくなっても動けるようになる。

>魔法:肉体活性化

・Lv37 新陳代謝を向上させるがカロリーを大幅に消費する。

 効果一、身体能力の上昇、傷を治す速度の上昇。

 効果二、免疫力向上にともなう解毒速度の上昇。

>魔法:終わりの裁き

・Lv1 =身及び|手の罪・重+によってダメ_ジが変わる対’魔法。

 効果一、自身より相手の罪が重ければ二倍のダメージを与える。

 効果二、自身が相手の罪より重ければ自身もダメージを受ける。

 効果三、自身と相手の罪の重さが同じであれば三倍のダメージを与える。

>>祝福一覧

>長命種の宿命

>第一次限界突破者

>自分殺しの宿命

>呪い:シャドウハンド

・レベルアップ時ステータス追加上昇

・転職制限[基本職の転職不可]

・転職干渉[特殊職業解放]

・特殊干渉[レアドロップ率上昇]

・特殊干渉[固有モンスター遭遇率上昇]

・特殊干渉[固有スキル獲得]

・特殊干渉[肉体成長停止:十年]

・特殊干渉[再度ドッペルゲンガーを殺した時反射ダメージ二倍または二分の一]

・特殊干渉[次の転職までステータスの大部分を見れなくなる]

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