第三話 ダンジョン攻略準備中。
正直前回手に入れた神具は魔具解説のための布石です、特に効果は設定していません。
将来設定して使うかもしれません、設定上今はミィが隠してしまっています。
なお、余談ですが自分が書く場合一切の没話が発生しません、なぜか。
好きなんだけどなぁ、没話。
今回から話の後書きのステータスは部分的に省略します。
※重要なお知らせ※
作品内の矛盾が腐るほど溜まってきたので一章の書き上げと同時に書き直しを行います。
詳細は活動報告を参照。
目が覚めた。
目の前には星空、浮かぶ月は真ん丸で金色に輝いている。
――嗚呼、今日はこんなにも
月が綺麗、だ。
ネタを脳内で流している場合ではない。
何と言えばいいか、うん。
なんで外で寝てるのかな?
しかも真夜中に見えるんだけど。
まだ冬だから肌寒いのにあったかいとかいう矛盾した状況。
あったかいのはミィと寝てるからだろうけど、なぜ外なのさ?
さっぱり記憶がない。
とりあえず家の中に……、なんだこれ。
透明だけどガラスじゃない、水晶か? 削り屑?
うー、あ? そうか拾ってきた首輪入り水晶か。
あれ、あの首輪どこいった?
見当たらないが。
まあ野生動物並の警戒ができるミィが見張ってるから泥棒も入らないだろうしどこかにあるだろ。
問題は片付けだな……、めんどくさー。
ついでだから竹ぼうき作るか、なぜか材料揃えたのに作ってないし。
……ぉぃぉぃぉぃぉぃ、何してんのさ俺は。
削り出しちゃってますよ。
なにそのクリスタル製塵取り。
アホか。
もっとまともなもの作ろうよ。
透明なのを利用した暗器の類とかさ。
ほら、あるだろう?
なぜか昨日の夜? の記憶がない。
本当に記憶がない、昨日の夜何があった!?
とりあえず掃除用具もできたし片づけてから考えよう。
ああこれ掃除機欲しいな。
無いなら作れが合言葉。
確かモーターの術式基盤はあるから後は外殻か。
紙パック……、作れるかなぁ?
でも薄紙って強度の問題が……。
太い繊維質を編んで籠にするか? それだと埃が取れないよな。
ああ、スポンジフィルター付ければいいのか。
でもスポンジって生産してたっけ?
この世界で同じようなの見た覚えがないな。
ヘチマっぽいたわしは見たが。
魔具で無理やり魔力フィルターでも作るしかないのかな。
いやでも魔具製品がこれ以上増えても空間魔力が不足するぞ、いくら液体魔力突っ込んだ加湿器モドキで魔力を追加してるとはいえ。
そもそも液体魔力ってどうやって作るんだろう?
これって今のところダンジョンの中の液体魔力がわいてる湧水っぽいのからしかとれないんだよな。
その階層って妙に魔導師系多いから採取の時も気を使わなきゃいけないし水みたいなもんだから重いんだよな。
採取しに行くとそれしか持ってこれない事がざらだし、まあ何往復もして大樽分確保したりするからいいけど。
話が大幅にそれた。
考えながら掃除してたので片付いたが首輪が見つからない。
水晶に包まれたまま使わなければいけない魔具の類だったのだろうか?
でも首輪の形で設置型って悲しくない?
完成度から見て封印された神具の類だと思ったんだが……。
ちなみに封印されたのは失敗作か危険物の二つに一つと言われていて、大抵は前者だ。
ついでに魔具についてもちょっと説明しよう。
簡単に言えば、魔具とはこのファンタジーな世界特有のファンタジーなアイテムである。
だって製造工程がおかしい。
特定アイテムを特定の形に加工し液体魔力に付け込んでおけば基本的に魔具になる。
まあ術式基盤は別だが。
ゲームで良く言うアクセサリは能力付きのアイテム、つまり魔具に分類されるわけだ。
武器や防具、道具に能力がついてるやつだってあるんだよな。
理不尽だろう?
さすがファンタジーと言わざるを得ない。
正直なんでそんなんで能力がつくのさと小一時間この世界作ったやつを問い詰めたい。
まあかなりの数がわかっているし、魔具図鑑のようなものが時折ダンジョンから出土するので問題ないらしい。
たとえば俺が愛用する兎シリーズは根元を針金でぐるぐる巻きにし輪を付ける事で魔具加工が可能になる。
紐は応用範囲というやつである。
応用範囲というのは、魔具の効果範囲をより明確にし効果を高めるための処置である。
たとえば大抵は魔法銀を織り込んだ紐を使うのだが別に魔法銀の鎖とかでもいいわけだ。
某電車ごっこみたいに使えば範囲内の運が上がるがさすがにそんな状態で戦闘はできない。
まあそんな理不尽なアイテムが魔具である。
後、魔具には二種類あり製造魔具と出土魔具だ。
製造魔具はその名の通り普通に人が作る魔具の事である。
それに対し出土魔具とはダンジョンクリア時に稀に与えられる魔具で、内容的には製造魔具と大差ない。
両方とも特徴的なのはシンプルである事、その一点である。
たとえば俺の腕輪、足輪に装飾は一切ないし飾り気なんて兎の尻尾を首からかける紐程度である。
ただしまれに神具と呼ばれる装飾の凝ったまさに宝物っぽい魔具が出土する。
正直そういうものは国宝に指定されるし効果も不思議なほど高い。
また神具でしか確認されていない能力も存在する。
たとえば植物や動物と会話できる腕輪だ。
言語系は基本神具の類である。
一説には俺が修得している日本語が古代人類が使っていた言語だと言われているが詳しくわかっていない。
そもそも喋っているのは日本語だし術式文字は漢字のようなものが多い。
だからこそ俺でも使えるわけだ。
さて、問題の首輪はどこ行った? 本当に。
ふと誰にしてるかもわからない説明を頭の中でしながら探していたが一向に見つからない。
それに俺ってこんな説明好きだったかな、そんな事なかったはずなんだけどな。
(※開発者特有の病気です。みなさんは注意しましょう)
まあ水晶塊から取り出す前の解析では解析不能な謎の首輪だったから消えてしまっていてもそこまで惜しくないが。
やっぱ飾るだけでも高級感あるしもったいないのか? 効果がないならミィ用でもいい気がする。
(※隷属の首輪は使用後砕けて消えてしまいます)
まあいいか、そのうち出てくるさ。
とりあえず今日は町の探索でもするかな。
ミィはどうするか、一応情報収集だから目立つのはめんどくさいんだよな。
しかたない、返送するか。
また半獣に化けるか?
でも女の子の恰好するのは嫌なんだけどなぁ。
まあ仕方ない、あれから神殿の動きも気になるし、子供の演技って難しいんだよなぁ。
体に引っ張られて俺の行動が子供っぽいって意見は受け付けないったら受け付けない。
そんな事言われたら泣く。
何しててもこの頃楽しい気がするけど気にしてはいけない。
小動物捕まえるのが無駄に楽しい気がするけど気にしてはいけない。
昆虫採集とかたまにしてるけど大人でもやるったらやる。
とにかく出発しよう、このままここにいて考え続けてはいけない気がする。
さあ出発だやれ出発だそれ出発だ!
「ミィ、今回はお留守番な」
「ミィ?」
「ああ近場だからお土産は無いからね、家も閉めるし外で遊ぶか? 地底湖行くか? それともまだ寝とく?」
「ミィミィ、ミ!」
「んー、地底湖か。本当に泳ぐの好きだなぁ、生まれる種族間違えたんじゃないの?」
「ミィー。ミミ!」
……最後のはわからんかった。
こんな時言語変換の腕輪欲しいよね。
とりあえず家の中へ戻る。
ミィのごはんは高麗人参とブルーハーブ、赤色薬草のサラダでいいか。
おや、赤色薬草切れてる。
また採取しにいかないとなぁ、めんどくさい。
まあいいや、着替えてっと……、いってきまーす。
――スカートはスウスウするから嫌いだ。
まあいってきまーす。
さて、町についた。
こんな時間に外壁の門から中に入ると目を付けられそうなのでこっそり壁を超える。
重量軽減魔法というのがあって自分は魔具で使用している。
ただし重心が激しく狂うので普段は使用されない術式である。
基本的に失敗作とされたそれだが、ジャンプする瞬間から数秒だけ使うと物凄く飛べるのだ。
ただし着地が物凄く痛いが。
冒険者じゃなかったら骨が砕けてるよな絶対。
後言うまでもないが制御が難しい、とことん難しい。
慣れるまではジャンプしたつもりで水平に飛んでたしひっくり返っていた事もあった。
しっかり制御しないと姿勢崩すせいでバビュンと変なところに飛んでいくんだよなぁ。
人に見つからないのかって?
訓練は森の中だったし町は飛び込む先がファンベルシリーズ製造工場裏なのでばれても問題ないのだよ。
ふははは今の我は輝いておるぞ!
うん、某金ぴかの真似なんてするべきじゃないな、やっててキショかった。
あれはイケメンがやるから様になるんだな、うん。
さて、まずは神殿の情報掲示板で新しいニュースがないか探すか。
しかしまだ夜中だし行動が早かったか?
まあ提灯もってプニョ玉買いに行けばお使いって事で誤魔化せるか?
提灯が必要だな、工場で借りてこよう。
ん? ルイさんの人権? 弟子に拒否権はあっても人権は存在しないよ。
拒否が破門になるって厳しい世界だよね、ほんと。
まあ今は社長様になってるので拒否っても食っていけるだろうけどさ。
まあいいさ、勝手に借りるから。
提灯も備品扱いで共用になってるから勝手にもってってもばれないけどね、戻しとけば。
さてギルドだギルド、別名神殿とも言う。
まあ神殿内にギルドがあるってのが正しいんだけ兼任してるからあんまり関係ないね。
実はギルドカウンターでは素材を買う事が出来るのだ。
無論それとは逆に買い取りもしている。
「おねーさん、ぷにょだまひとつくださいな」
「あら、こんな夜遅くにお使い? えらいわねー」
「もー、こどもあつかいしないでよ! ひとつおいくらですか?」
「一つ六エクだよ、わかるかな?」
「だからこどもじゃないもん! はい、六エク」
「ふふふごめんなさい。はい、おまけで飴ちゃん上げるからね」
「わーい!」
ふぅ、本当に子供の演技はつかれるぜ。
ちなみにモデルはリアである。
さて、情報掲示板の方に何か面白い事張り出されてないかなぁ?
ちなみに生前の世界で言う新聞である。
全神殿共通で張り出すため神殿のある地域の事は結構わかるのだ。
この掲示板も魔具で、どこで貼っても同じ内容が貼り出されるのだ。
かつ一度貼ると年一度、特定の日にしか剥がせないようになっている。
つまり、重ね貼りとかして情報隠そうとしても、逆に隠そうとしている情報ですって宣伝するようなものなのだ。
更に言えば誰でも貼っていい事になっている。
大きさも巨大で神殿の一角を壁のみだが占拠している。
ファンタジーって理不尽だよね。
えーと、ふむ、ダンジョンの成長はニュースになってるみたいだな、一応到達最下層は十層までか。
まあドラゴンいたもんな、あんなものに勝てんよ。
うちみたいに毎日潜るわけじゃないだろうし、いなくなったから今頃は準備を始めている頃だろう。
他には、おや? 全ダンジョンに謎の現象、最下層の壁に文字が現れる、ね。
最下層っつったらボス部屋か。
戦い終わったら転送されるから内容までは分かってないみたいだ。
各神殿にシャドー現る。まあ誰か戦ったんだろ。
闘技場閉鎖、勇者拳闘奴隷を解放ね。頑張ってるじゃないか勇者、でもそいつらの半分は元犯罪者よ?
各地でゼリー大発生、畑が被害を受ける。お、今日の日付だ。また野菜が高くなるな、今のうちに買って冷凍しとこう。
成長していないダンジョンで怪奇現象、ダンジョン内に新種モンスター現る。成長したダンジョンのここでは関係ありませぬ。
おや、捜索願がかなりの数貼られてるな、そのくせ俺のは無いし。せめて貼りなおせよ捜索願として。
手配書の方は……、結構つかまってるのな。あ、うちの手配書に詫び状が重ね貼りされてる。隣に貼れよ隣に。
うーん、緊急クエストは無いみたいだな。
……うん? なんかの資料っぽいのが貼られてるな。
なんか隠語と造語ばかりで内容がさっぱり理解できないが、押してあるハンコは神殿の物だしなんだこれ。
悪戯か?
いや、悪戯で神殿のハンコ使ったら神殿の威信をかけて探し出されて殺されるよな、騒乱罪とかで。
ちょっと内容を読んでみるか。
良く出てくる単語が黒い狐に化け猫、商売兎? 仮にこれが暗号文だとして、狩りにたとえられてるけど裏を読めば捕まえろって事だよな。
商売兎って確か娼婦の隠語だよな。
なんかした娼婦でも追っかけてるんだろうか。
しかも世に混乱を招くってずいぶん物騒な兎だな。
神殿の機密文書でも持ち出したのか?
この後は謎の造語のオンパレード、流れから察するに作戦名と作戦内容みたいだがさっぱりだ。
剣持つ騎士が崖の上で待機している……、ここもさっぱりわからんな。
この先は罠に追い込め……、洞窟? このあたりの洞窟って俺が掘った地底湖行きのやつかダンジョンぐらいだよな。
それにその先で待つ誇り高き獣って何さ。
地底湖だろうがダンジョンだろうが誇りよりも汚さが目立つモンスターしかいないよ!
奥に行けば行くほど狡賢くなるし本当にやめてほしい。
番いを見つけた兎は猫の知恵比べに勝利せり?
犬を放つも巣穴は見つからず。
そして最後の文が、未だ捕まらず黒曜石に刻め、猟犬を送る。
……まさか兎ってうちの事か?
この黒曜石ってブラックリストの事だったら笑うぞ。
仮にそうだとしたら暗号強度低すぎるぞ、本人に読まれてばれる程度とか。
いや、俺の被害妄想に違いない。
そもそも自分自身に当てはめた時の翻訳は直感だしあたってるわけがないか。
と言うかこの世界の暗号概念って失われたんじゃないの?
まあいいけど普通に読んでも謎文書すぎて意味が分からん。
たまーに出回るらしいし怪文書自体は無視しても大丈夫だろう。
他に面白そうな文書は無し、ニュースは「新たな神殿層見つかる」程度か。
ちなみに神殿層というのはその階層が神殿と同じ外観を持つモンスターがわかないマップで、何か特別な条件を満たすと神殿の施設として利用可能になるマップだ。
まあクリアするとその層ごと近くの神殿に強制転移させられると書いてあったな、古い文献だから真偽のほどは定かじゃないが。
今見つかってるのは死食らいの神殿とかいう、なんだっけ、転生神殿だっけか?
そういえばダンジョンって各層ごとに名前があるらしいな、知らないけど。
ああ、唯一知ってるのは流転の神殿とかいう名前のえーと、解放されて転職神殿になったんだっけかあれ。
ここのダンジョンにも神殿層が発生してたら泣くぞ。
何せ条件を達成しないとそれ以上下の層へ降りる事が出来ないのだ。
ちょうど転生神殿が生まれたころに見つかったという事だったからかれこれ三十年攻略されていないわけだ。
そんなもの未だぽっと出の冒険者である俺が攻略できるわけがない。
ただし……、ダンジョンの元々が訓練用であったならばそれ関係の条件である可能性が限りなく高いわけだが。
まあダンジョンが古代人の訓練用施設であったという論文は御伽噺扱いされてるし、ファンタジーにファンタジー扱いされる論文の信用度がどれぐらいかと言えば微妙と言わざるを得ない。
まあ、ダンジョン内のモンスターがレベルが調整されていたりそうなんじゃないか? と思える前提条件は結構見たからそうなのかもと思っているわけだが。
まあ、一応死食らいの神殿は機能しているらしいし一回限りであれば利用できるみたいだけどね。
確か効果は若返りだったっけ、お爺さんに勧めるのもいいかもしれない。
でも生還率が三十パーセントだっけか。
理由がさっぱりわからん。
そもそも中であったことを忘れるとか条件厳しすぎません?
まあない事を祈ろう。
こんなものか、オッチャン所って今夜中だったな。
帰って寝よう。
自宅に戻ると寝室のベッドの上でミィが丸まっている。
可愛いんだけどそこ俺の寝床だからね?
まあいいや、隙間に入って寝るべ。
翌朝、翌朝?
とにかく朝になって窓ガラスが割られる音で目が覚めた。
たまに細い蛇のようなモンスターの攻撃が当たって割れるのだ。
念のために窓のある部屋は特別なものを何も置かない事にしている。
さらに窓は疑似的な鉄格子をつけているのでその細いモンスター以外は侵入できないようになっている。
しかしはめ込み式の窓だから変えるの楽だが、結構高いんだぞコラ。
鉄格子モドキも例の硬化剤で作っているのでモンスター相手ではまず破壊されないはずなので大きなモンスターは入れない。
寝室からは覗き窓でリビングの様子を見れるようになっている。
もう要塞化は徹底して行っているので襲撃されたとしても籠城戦できるし何より窓のある部屋は罠になっている。
入ったら最後死ななきゃ出さないぜ的な。
主に通気口を塞いで濃縮熱爆弾を放り込むのだ。
無駄に断熱素材で前後左右上下が固められているため蒸し焼きになる。
床も少し解けてしまうのが玉に傷と言うか欠点というか、まあいいだろう。
どうせ今回もモンスターだろう。
念のために双眼鏡モドキと小さな鏡を組み合わせた覗き窓からあちら側を覗く。
……誰?
真っ黒なフードに真っ白な目の部分に穴のある仮面をつけた人物が吹き矢っぽいのをドアに向けて待っている。
本当に誰?
マジで怖いんですけど。
まあ中には侵入できなかったみたいだしここにいれば安全か。
そもそもなんで俺命狙われてるの?
いやまて暗殺者と決まったわけじゃない、見た目が怪しすぎるけど。
外は霧が出ている。
抜け穴から出ても追跡は不可能だろう。
窓を割られないように新素材の開発は急務だな。
窓なくすと外の様子がわからんしなぁ。
せめて王族が使う氷冷鉱があれば安心なんだが。
ちなみにファンタジーな類の金属で、うっすら水色の透明な金属だ。
初めて聞いた時はねーよと笑ったが、実際れで作った窓の欠片を見るまでは信じられなかった。
王族は暗殺防止のために窓まで金属で作るらしい。
怖くてついつい現実逃避したがまだ構えてますよあの人。
あそこの落とし穴作動させるか?
いやでも地底湖バラす事になるしな、どうするべきか。
動かすなら殺す事を考えないといけないし今回はやめとこう。
それにしても今回はどのギルドだ?
さすがにあれから自重して新技術は流出させてないぞ俺は。
製造ギルドの暗殺者は鬼の面だったしな、製造ギルドからの襲撃はなぜか三回とも統一していて素性バラしてどうするのと突っ込みたかった。
調薬ギルドは狐だっけか?
なんか裏で取り決めがあるんだろうな。
ちなみに全部逃げ切っている。
逃げた後真正面から一般客がいる状態で抗議したら泣き付かれたが。
話し合いで調薬ギルド側は「技術公開をギルドを通してやる」事で納得してもらった。
製造ギルドの方は勝手に収まったので知らん。
ガラス関連だったしたぶんお爺さんが何かしてくれたんだろう。
ちなみに暗殺者とは戦ったって勝てません。
モンスターに勝てるのは核という弱点があるからです。
さてどうしたものか。
たぶんあれ毒矢だよな?
魔法薬の方の万能解毒剤は馬鹿みたいに作ったがわざわざ毒食らいたくないぞ、止めに何されるかわかったもんじゃないし。
もう放置して地下道からオッチャン所に出るか。
ぉう!? 足の小指ぶつけた……、泣きそう。
「ミィ起きろ、静かにな?」
「ミィ」
「こっそり逃げ出すからミィは……、一緒に来るか?」
「ミュ」
そういやミィの事全然考えてなかった。
まだ黒いのいるしなぁ、さっさと諦めろよ。
もう今のダンジョンで氷冷鉱が出るのを祈って一気に攻略するか?
そうだなそれがいい、安全度で言えばダンジョンの深部は天然の要塞だ。
地下に行けば行くほど通路は複雑になり広い空間はさらに馬鹿でかく変化する。
敵の大きさも、たぶんレベルによって大きくなるのだろう。
大きさとは強さだ。
大きければ敵の攻撃が小さくなり大きければ自分の攻撃が大きくなる。
不思議な事に大きいほど速度が速く力も強く耐久力も高い。
まあレベルが高いんだから当たり前と言えば当たり前か。
ミィはさっぱり大きくならんがペットは適応外なのだろうか?
いやそんな事は無いはずだ、調教師が連れている馬鹿でかい馬を見た事があるし。
きっとそういう種族なのだろう、聞いた事ないが。
まあいい、分からない事を気にし続けるのは時間の無駄だ。
とりあえずは未だ吹き矢を構えている可哀そうな人を放置してオッチャンの店から出てダンジョンだな、うんそうしようそれが一番いい。
あ、そうだ。
布もあるしミィ用のリュック作っていこう、さすがに台車取りに来るわけにはいかないし。
縫い縫い縫い縫いチクリ、縫いチクリ、チクリ、縫い縫い縫い縫いチクリ。
結構指刺したよ、糞いてぇ……。
やっぱ裁縫は苦手だ。
そもそも暗がりでやる事じゃないが見えるからいいんだが。
電球とか電灯は自作するの厳しいからなぁ、どれだけ設備揃えればできるんだか。
蛍光灯が恋しい。
まあそのうち光苔の鉢植えでも作るさ。
そして明るさに関係なく裁縫関係は、完成度は普通なんだけど必ず作成時に指を刺すのだ。
なぜだ。
まあ移動しよう。
ああ最後にちょっと覗くか。
んー、あの人まだいるな?
さらば可哀そうな人、縁があればまた会おう可哀そうな人、放置するけど許してね可哀そうな人。
あんな霧の中待機とか絶対全身ベトベトだよね、水滴で。
本当に可哀そうな人。
ターゲットに百パーセント逃げられている暗殺者ってもう可哀そうな人だと思うんだ。
まあ同一人物じゃないんだろうけどさ。
でもターゲットの姿を見る事もなくを逃がすとか確実に仕事ダメな人のレッテル貼られるよね。
嗚呼なんて可哀そうな人、きっといつかいい事あるよ。
ただ行いを恥じて死んでくれると少しだけ平和になるよ!
……ネタやってる場合じゃなかったな。
というかいつやってもこのネタ酷いな。
前の暗殺者にやった時は激怒して捕獲が抹殺に変わってたものな。
白霧使って声変えてなかったら絶対報復されてたよな、和解後でも。
まあいいや、倉庫の中におっちゃんも奥さんもいないみたいだな。
なんかこの頃投げやりな気がするのは気のせいか。
きっと理不尽な事が重なってるからだな、うん。
……グレてもいいのかな?
いやいやいやいや、何処の不良だ。
一応体に引きずられて精神的に子供っぽいとは言え元社会人だ、社会人とは妥協と我慢と忍耐と諦めである。
暗殺程度軽く流せなくて上司のいびりが流せるか!(※絶対違うと突っ込んではいけない)
よし、頑張ってダンジョン攻略しよう。
とりあえずはおやっさんに挨拶からだなーって地上への出口に扉がついてる、いつの間に。
さすがおやっさんだぜそこに痺れる憧れる!
マジで一晩でどうにかしちまう某ジェバンニだっけか? あれを彷彿とさせるよ。
物作りの才能本当にあるよな、発明は現代技術のせいで俺に負けてるみたいだが。
「おっちゃーん、あけてたもれー」
反応はない。
「おっちゃーん、あけてたもれー」
やはり反応がない、物音はするからいるみたいだが。
「お兄ちゃん死んじゃ嫌ー。目をあけて、返事をして、私の名前を呼んでよー」
女の子用の声で棒読みをしてみる。
「おっちゃんの浮気者ー、そんなに発明が大事かー、もう奥さんと別れて発明と結婚しろよー」
無論棒読みである、しかし反応がない。
「おっちゃんマジで大丈夫かー? 生きてるかー? 死んでたら返事してくれー!」
なぜだ、ここまでネタを投入しても無反応だと!?
まさか朝から小作りはしてないだろうし、もしかしてこの物音は泥棒か?
にしては声がしても逃げないな。
突入するか? いやしかし、ミノタウロス用のデカくて厚い扉をけ破るほどの力はないぞさすがに。
良く見たら鍵ついてねーよ。
全俺が泣いた。
とりあえず扉を開けて……?
「は、ハロー?」
いやいやいや、目の前に簀巻きにされたおっちゃんがいたら誰でもこうなるって!
ほんとだよ、ほんとにビビってないよ!
とにかく解かないとまずいよな。
「一体何があったのさ」
「それがな、真夜中に黒い服に白い仮面つけた変な奴らが来てお前がどこにいるか教えろって言うんだよもちろん俺は教えなかったが」
「それどこかのギルドの暗殺者だよたぶん、良く生きてたね」
「いやな、そもそも知らないから知らないって言ったんだがどうやら相手は神殿官クラスだったみたいで嘘かどうかわかったらしい」
「で、何も知らないから協力したり知らせないように縛って放置したと。まあ仲間判定食らわなかっただけよかったんじゃない?」
「まあ俺はレベル高いから簡単に死なねえからいいが、ミリィが里帰り中でよかったよ」
「あれ、奥さんレベル低いの?」
「いやその逆でな、下手しなくてもいたら死人が出てたな、確実に」
いや、なんというか、本当にすまんかった。
あれだね、もう二度とおっちゃんの奥さんに逆らったりしないよマジで。
とりあえずばれないようにこっそり出ていくよ。
「あ、そうだ。しばらくうちのミィ預かってくれない?」
「あん? どうしたんだ」
「ミュ?」
「一緒にいる時に襲われると逃げ切る自信がないわ」
「そうか、まあ仕方ないから預かってやるよ」
「ミィ!?」
「って事でお留守番な、外に出てさらわれたりするなよ?」
「まあ大丈夫じゃないか? ああ餌代はきっちり後で請求してやるから覚悟しとけよ」
「ミィ……」
しょんぼりしたミィ可愛い、これはまずいやつは俺を萌え殺そうとしている。
急げ、急いでこの場を離れるんだ、出血で動けなくなる前に!
のちにおっちゃんは語った、あの速さは脱兎と言うにふさわしかったと。
はぁ、そんなわけでダンジョン前です。
流石にダンジョン内で殺傷事件起こすような輩は全国規模で叩き出されるから暗殺者もここまでは来ないに違いない。
さあ、本格的に潜るぞー!
第一章の三話終了時点での主人公ステータス。
スキルでない自力での物作りは生産スキルには含まれません。
基本事項を除き前話からの変更点のみ記載
名称:フィフィル・ファウ・フォリア 職名:フィー
職業:職業訓練生
転職可能職業:商人[15]、調合師[15]、鍛冶師[15]、術式使い[99]
Lv. 73/99 EXP.0% NEXT:643000