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[練習作]ダンジョン物  作者: 夜霧 時矢
変革~激震する世界~
10/11

第二話 ダンジョン本格攻略

現在主人公の一人称が不評のため変更予定、詳細は活動報告の一人称問題浮上を参照の事。

とりあえず暫定的に俺に変更済み。

候補があればコメントで入れといてくれると助かります。

一部使い方的にワザと残してる場所もありますが、基本置換漏れですのでありましたらご報告をお願いします。

後、今回は初めての本格戦闘描写です。

難しいのでしばらく書きたくありません。

 いやね、いくらボスって言ってもさ、十階層なんて浅い階層にドラゴン配置する事は無いと思うんだ。




「どうした挑戦者よ。入ってこぬのか?」

「もうちょっと、もうちょっとだけ心の準備をする時間を下さい」


 さて、なんでこんなヤバい状態になっているのか理解するために朝まで時間を戻して回想しようと思う。

 目が覚めるとそこは真っ白だった。

 ……どう見てもミィの毛皮です本当に以下略。

 あれ、昨日ミィ抱えて寝たっけか?

 確か薬草食いに行かせてそのあと強制的に水遊びに誘われて疲れてばったり寝たはずなんだが。

 そして理解する。

 嗚呼、潜り込んできたんですね本当に可愛くて困る。

 とりあえず寝かせといてやろう。

 さて、今日は久しぶりのダンジョン探索である。

 あれから親の仇を狩るかの如くガルム共(犬型モンスターの蔑称)をぶち殺し続けてたわけですがそろそろ下層に降りようと思うのですよ。

 経験値もあんまり高くないし。

 そもそも影踏み狼は地雷というか罠というか、RPGやMMOで言う所の[美味しくない]と言われる敵なわけで、何か特殊なドロップがないかと検証したんだが一切そんな事は無かったんだぜ。

 そういえば昨日暇つぶし代わりに調べて分かった事だが、捕獲した魔獣ともパーティーを組めるようで経験値を共有できるみたいだった。

 捕獲された魔獣は俗に言う「人類側」の存在になるのでモンスターの攻撃対象になるんだとか。

 それでパーティーに入れてみてわかった事実。

 魔獣側もレベルによる恩恵を受けているようなのだ。

 つまりダンジョンの各階に出現するモンスターはレベル調整されたユーザーに優しいモブなのだった、ババン!

 口で効果音はやりすぎたか?

 ちょこちょこ図書館の入門書と同じ本を見つけて買ってたから家でも調べられるのだ。

 いやぁ、蔵書っていいね、蔵書最高。

 まあ苦学生が小遣い稼ぎのために必死こいて作った文字の汚いコピー本なんだけどね。

 たぶん教科書の元になったのがあの本で教科書を元にしたのがこの本なのだろう、よりわかりやすくなっている。

 とりあえず濃縮熱爆弾(固まる前の硬化剤と溶解剤の混合液)と戦闘用の薬各種、緊急用の原液麻酔薬ぐらいか?

 ちなみに濃縮熱爆弾は溶解剤が固まった状態の硬化剤にしか反応しない事を利用して作った火炎瓶モドキとも言えばいいか。

 まあ使用可能期間というか寿命が短いんだがそこらへんはしかたない。

 後は食料とアイテム回収用の袋か。

 まあ今回の探索からの試験導入だし小さいものにしておくか。

 んー、そうなると荷物として固定する紐も必要か。

 後はいつもの完全装備と、……念のために使い捨ての冷却爆弾持っていくべきか?

 ちなみに冷却爆弾は冷蔵庫の小型版で起動後五秒後に半径一メートルほどの熱を奪い去る兵器である。

 試しに使ってみたら絶対零度の空間ができたのか、使った瞬間何かが液化して爆発したような音の直後から周囲の熱が奪われて視界全部霧におおわれてパニックになったな。

 まあ実際には周囲が断熱材じゃないので絶対零度なんてなるわけないがとてつもなく低くなるのは事実である。

 そもそも絶対零度なんて観測できんがなと言う話。

 すくなくともここまで来ると武器や道具の範疇ではないので使いたくないし持っていきたくもないのだが死ぬよりましである。

 某小説の最後みたいに世界を守るために冷却爆弾と敵に突っ込んでとかシャレにならない事のフラグになりそうで少し怖いというのもあるが。

 大丈夫だよな? 大丈夫だと思いたい。

 さて、そろそろ起こすか。


「ミミルー起きろー」

「…………ミィ?」

「今日はダンジョンだぞー、高麗人参出るかもよー?」

「ミィ♪」


 寝起きは素晴らしいんだよなぁ、寝つきは興奮して(遊び足りなくて?)なかなか眠らないくせに。

 まあ寝起きのちょっと眠そうなのも可愛いんだけど。

 そういえば寝起きに欠伸しないな、あれ可愛いのに。

 モンスターだからいつでもすぐ動ける状態になってるのか?

 それだと疲れが取れないだろうしなんでなんだろ。

 まあそんなこんなでダンジョンに向かったのだった。




 さて、ダンジョン前についたんだがこれはどうした事だ?

 ダンジョン前に監視員さえいない。

 また何か起こったのだろうか?

 この頃色々と起こりすぎじゃない? 町に変なのも入り込み始めてるみたいだし。

 何よりも今まで見た事もないやつらが我が物顔で歩いているのをよく見るようになった。

 町が豊かになるのは良い事だが治安が悪くなるのはいただけないんだけどな。

 なぜか冒険者って偉そうだし大抵の冒険者が自分を一つ上に置くよね、下の扱いはそれぞれだけど。

 さて、ダンジョンに入ってみればわかる事か。


 ――第一層――


 んー、特に変化もなくゼリーばかりだな。

 ほぼ反射的に近寄ってくるのを倒してしまうのは狩りすぎたせいだろうか?

 にしても、やっぱり人がいないなぁ。

 普通は成長したてのダンジョンって人であふれかえってるものらしいのにヤバいモンスターでも湧いたのかな?

 とりあえずプニョ玉を回収しつつよってくるゼリーを瞬殺する。

 見て回ったが固有モンスターとしてスライムが発生しているわけでもなく異常は見つけられなかった。

 夜光草という洞窟系の奥に、ごくわずかに生えている薬草もなかった。

 まあ大抵使えるの状態の物は無いので落胆は無いが。

 特に問題もないので二層に進もう。

 ちなみに台車は自分が引っ張りミィは戦っている間台車を守ってもらっている。

 台車も人工物に分類されるのでほっとくと壊されてしまうのだ。

 商人のスキルにカートっていう狙われない荷車を作るスキルがあるらしいが、商人がパーティーにいる場合しか効果がないので手に入れていない。


 ――第二層――


 降りてすぐ見回した限りでは二層にも問題ないように見える。

 前回同様角兎とゼリーがちらほら彷徨ってたり草食ってたりなごませる光景が広がっている。

 とりあえず角兎の口を見てはいけない、どうなっているかはお察し下さい。

 まあ一層と同じように群がってくるゼリーは刺し殺し角兎は叩き殺す。

 ちなみに角兎を叩き殺す理由だが、刺し殺したり切り殺したりすると毛皮に穴が開くのだ、当たり前だが。

 角は高級食器の材料なので持って帰るが、やはり大した値段しないんだよなぁ。

 なんで同じ普通のドロップである兎の毛皮がそれなりの値段なのかがよくわからない。

 まあ需要の問題だろうけどさ。

 ちなみにレアドロップが出る場合兎の毛皮は出ないのですぐわかるのだが、今回は特にレアは出なかった。

 さて、三層の階段についたわけだがこの先は憂鬱だ。

 ガルムもとい影踏み狼を相手にするのはもう飽きた。


 ――第三層――


 第三層についてすぐ影踏み狼に襲われるが剣でぶった切り頭の核を一突きして殺す。

 ドロップアイテムは爪なのだが役に立たないアクセサリ用アイテムだ。

 レアドロップは毛皮、ただし外で倒せば問題なく普通に取得できるアイテムである。

 眼球というのもドロップするがあれは自分には関係ない。

 なにせ儀式魔法とやらの触媒で毒関係だったかな、魔法の種類は。

 まあ広範囲の敵に毒の異常を付加する魔法の触媒だが自分は儀式魔法使えないし。

 そもそも魔具は儀式魔法に対応していない、なぜか。

 そんなわけで無用の長物である。

 さて、第四層の階段についた。

 ここから先は未知の領域だ。


 ――第四層――


 第四層についた感想は暑い。

 周囲は溶岩のように明々と光る岩がある。

 どうやら初めて見る鉱石系のエリアで火山関係なのだろう。

 見る限り赤い岩でできた球体のようなモンスターが漂っている。

 確かあれは赤化爆弾(レッドマイン)とかいうモンスターだったはず。

 核の位置は体の中心でノンアクティブ、何もしなければ襲ってこないモンスターだが大きな衝撃を受けると自爆する要注意モンスターである。

 後は小型で赤い石の石ゴーレムぐらいか?

 ゴーレムはその名の通り岩でできた人型でこの階層のは自分と同じぐらいの子供(おこちゃま)サイズだ。

 動きが遅いので子供の練習用にとよく捕獲されるモンスターである。

 核は腹の中央にむき出しで存在するので鉱石系にしては結構簡単に倒せるモンスターだ。

 たまーに人魂っぽいモンスターもいたが確かあれはノンアクティブ()つ魔法でしか倒せないモンスターだったはずなので放置である。

 ここのレアドロップは赤化爆弾が緋金鉱石でゴーレムは命石とかいう寿命をほんの少し伸ばすアイテムだったような。

 粉にして飲むが糞不味い上に臭いがきつく、伸びるのも本当に雀の涙ほどなので権力者も放置するアイテムだ。

 鑑定によると大体一個十秒ぐらい伸びるらしい。

 さて、四層の探索は終わったが特に変わった事は無かった。

 しいて言うなら今までなかった新しいタイプのマップだという事ぐらいか。


 ――第五層――


 第五層は前者の火山の後に確実にあると言われている氷山エリア。

 そこいらじゅう氷と青い石でできている。

 確かこの青い石はアクセサリとしてそれなりの人気があったはずだが加工がメンドクサイく利益があまり出ないので業者からは嫌われている。

 とりあえず感想として、寒い。

 ミィがいなかったら探索やめたかもしれないな。

 ああミィあったかい可愛いもう大好き!

 さて、このエリアに生息する今回のモンスターだが蒼狸(あおだぬき)と呼ばれる冷気魔法を操る小動物と……、あれはなんだ?

 ノッペリとした青い球体が浮かんでいる。

 赤化爆弾の亜種だろうか?

 それなりに大きな石を投げてぶつけたが反応は無い。

 新種か?


「うお!? あっぶないなぁ」


 近寄ると目のようなものが中央に現れ中央から光線を出した。

 次を打てるまでにインターバルがあるのかすぐには撃ってこない。

 目の中央に核があったので破壊する。

 ドロップアイテムはなかった。

 これで攻撃力が高かったら割に合わないな。

 ちなみに蒼狸のレアは狸の葉と呼ばれる幻覚作用のある葉で煙玉に仕込むなどして逃げを打つときに使うアイテムになるらしい。

 残念ながらレシピは秘伝なので調合ギルドに売るしかない。

 火薬とこれと何かだというのはわかるのだが何かがさっぱりわからないのだ。

 まあ次の階層へ進もう。

 ここらへんでもあんまり強く感じないな、ステータスを見る限りそこまで経験値も高くないようだ。

 まああの青い球体に関しては今度ゆっくり調査しよう。

 もしかしたら珍しい金属か鉱石を出すかもしれない。

 まあ宝石系のドロップだったら笑うけどな、珍しいって意味で。

 さて階段だ。


 ――第六層――


 六階層についた。

 暗い。

 アンデットエリアか?

 どうやら正解のようだ。

 現れたのは這いずる者(ゾンビ)

 レアは骨系の素材。

 見た目は種族問わず腐り始めた歩く死体。

 鳥や蝙蝠等の飛ぶ動物の死骸は悲惨でもう羽根の中途半端に抜け落ちた姿は見ているだけで可哀そうになる。

 行動が糞遅いので倒すのはたやすいがグロいので極力相手にしたくない。

 核の位置はどんな死体にも関係なく脳があったであろう位置だ。

 この調子なら彷徨う者(スケルトン)もいるだろう。

 言わずもがな骨である。

 やはりレア素材を出す。

 核の位置は不定期だが見える位置に露出している。

 たまーに見えにくい位置だがそれでも骨なので内側にあっても見つけられる。

 たまに思うのはどうやって関節つなげているんだろうという事だが、白く細い菌糸のようなもので繋がっているらしい。

 ああ、後這いずる者は彷徨う者の前段階らしく、放置すると彷徨う者になるらしい。

 両方とも毒があるので気を付けなくてはならない。


 ――第七層――


 ここには見覚えがある。

 確か鉱石の採取エリアで基本普通の石ゴーレムがじっと冒険者を待ち構えている。

 まあついでだし鉄鉱石でも狙ってみるか?

 まあここにあるのはわかったしまた今度採取に来るか。

 後は特に語る事は無いと思う。

 ゴーレムのレアが鉄鉱石なぐらいか? 通常ドロップは屑石である。

 核は頭の中にあるので商品名釘バットな金属バットで叩き壊して一撃加えないといけない。

 石畳用の大理石でも出せばゴーレムもまだ人気が出るだろうに。

 そろそろ一撃じゃ殺せなくなってくるかもな。

 ここからは確実に核を狙っていかなければいけないかもしれない。

 核を外した時点で長期戦は確実だ。


 ――第八層――


 八層……、そうだ俺はここにいるスケーーーーイ○! って世界が違うがな。

 元の世界のゲームが懐かしいな、もう三十年近くしてないわけか。

 ゲームっぽい剣とかって総じて末端の強度が足りなかったりするし、作りたくても作れないんだよなぁ。

 というかあの世界の剣は半分以上鈍器だし。

 まあそれにしても三十歳になっても子供なんだから長命種って狂ってるよな、一体いつ成長するんだか。

 体に引っ張られてるのか俺の行動もなんか子供っぽいし

 もしかして村の住人全てがなんかゆっくりした感じなのはそのせいか?

 まあ帰れないんだからどうでもいいか。

 ゲームしたいなぁ。

 哀愁ってわけじゃないが、この世界娯楽が少なくて困る。

 冒険者の娯楽って言ったらカジノか娼館か食べ物関係だしなぁ。

 信じられるか? 本は普及してるくせに小説はないんだぜ? と、俺の友人なら言うだろう。

 後三十年ぐらいはしないと、この体もできるようにならないし縁がないんだよな、食べ物以外。

 何が、とはあえて言うまい。

 まあいいや、気を取り直して八層である。

 マップは真っ白な雪原エリア。

 一番好きなエリアだが、長いこといると目をやられる。

 そして出たよ雪達磨モドキ。

 スノーマンだっけか? より人型に近く気持ち悪い。

 武器は氷でできた剣や槍など刃物系。

 氷だけあって簡単に砕けるんだけどね。

 こいつらもスライムとかといっしょで核を潰さないといくらでも再生するんだよな。

 めんどくさい部類だ、弱いけど。

 そして雪語りと呼ばれる薬草がちらほら生えている。

 甘いのでおやつにいいんだが地上だと冬の雪が降る時期しか生えないんだよな、どうやって繁殖してるんだが。

 まあ氷狼(ブリザードウルフ)がいないだけましか。

 こんな浅い階層だと固有(ユニーク)扱いになるのか?

 下層ではあの馬鹿でかい巨体が普通に出現するしなぁ、下層に行けばいくほど厳しくなっていくのは変わらんな。

 さて、階段だ。

 次の階層はどんなかなっと。


 ――第九層――


 ……地底湖?

 水生生物系エリアか?

 中央の馬鹿でかい地底湖を中心に丸く広がった空間が出現した。

 一応端っこに三メートルぐらいの岸があるので問題なく攻略できそうだ。


「ミュー♪」

「ミィ! ……そうダメだ。帰ってからいくらでも泳いでいいから我慢しなさい」


 地底湖の中には馬鹿でかい影と無数の小さな影。

 どうやら取り巻きを持つタイプの固有(ユニーク)モンスターだろう。

 正直水中戦は専門外かつそんな装備も持ってないので挑もうとは思わない。

 この世界酸素飴っぽいアイテムないから息継ぎ自力なのよね、無理だよ。

 水中はそれ専用に仲間を集めた調教師(ビーストテイマー)の独壇場だよ本当。

 素直に外周の岸を伝って次の階層を目指そう。

 たまに半魚人(サハギン)が出てきたがあれは弱いのでどうってことない。

 ドロップは鱗で使い道は無い。レアドロップが胆、ようは心臓でニキビの治療薬になるんだったか。

 どっちにしろ重量と利益の割合がダメダメな素材なので依頼でもない限り誰も回収しない。

 かなり警戒して歩いていたがあの馬鹿でかい魚は陸に対する攻撃手段を持っていないのだろう、反応がないし。

 もしくはノンアクティブであるかだ。

 さすがに試そうとは思わない。

 水中の生物は総じて頭が悪く本能で動くやつらばっかりだし。

 魚人(フィッシュハーフ)ぐらいか? まともに人語を操れるのは。

 見た目人魚っぽいんだが不思議なほど好戦的なんだよな、なんでなんだろう?

 さて、気づけば階段だ。


 ――第十層――


「どうした挑戦者よ。入ってこぬのか?」

「もうちょっと、もうちょっとだけ心の準備をする時間を下さい」


 そして今に至る。

 長い長い回想が終わり現実に戻ってきわけで、そんな事があって今の現状だ。

 目の前の龍は大きさ的に自分の十倍程度か?

 いやまあ、わかってますよ? 時々戯れにやる龍族の悪戯なのだ。

 その階層のボスを倒しておき居座りいかにも自分がボスですって演出して挑戦者を待つのだ。

 まあ最強種だからこそできる暴虐もとい悪戯だよね!


 だよね! じゃねーよ糞ボケが!


 さて、どうしたものか。

 もしかしてダンジョンに人がいないのはこいつのせいか? こいつがいなくなるのを待ってたのか。

 きっとギルドでは公布を出してたんだろうけどよらなかったからな、ギルドあんまり好きじゃないし。

 この壁の青い石と広い部屋の間取りを見る限り元々この部屋は水晶像(クリスタルゴーレム)がボスだったのだろう。

 ちなみにドロップは水晶、レアドロップで各色の水晶を出す。

 深紅と薄い黄色の水晶が綺麗で好きです。

 まあ深い階層だと結構普通に出るからな、大きさはともかく。

 確か色つき水晶で作ったステンドグラスが国宝に指定されてるんだっけか?

 まあそんな事はどうでもいい、現実逃避もそろそろ限界だ。

 さて、現実に向き合って交渉しよう。

 交渉は機嫌がよくないと話しすら聞いてもらえないしどうしたものか。

 まあやるだけやってみるか。

 確か説明好きで質問もどうとでも広く解釈できる端的な物言いを好むんだったか?


「なんでこんな事を?」

「何、世界の変革が始ったのでその中心に偶然居合わせたものを見物しに来たのだ。やはり普通ではなかったがな」

「やっぱり分かりますか」

「汝は異質。勇者や魔王とも違う世界の歯車、されど本質にはかかわれない一つの因子、世界を外から改竄する力」

「……」

「なれば戦おう、我は汝を世界より排除する、世界の平定のために。質問は終わりかね?」

「どうしてもですか」

「どうしてもだ。弱小なれど龍である我に勝てば龍族代表の権限をもって汝の生存を認めよう」


 戦うしかないのか……。

 生存って、ここで逃げたら討伐フラグですか?

 逃げ切るとかムリゲー。

 でも龍族って体が大きいし糞強いから戦いたくないんだけどなぁ。

 台車とミィは入口でお留守番だ。

 正直ミィが強いって言っても龍族から台車を守るなんてムリゲーである。

 恐竜のような爬虫類系ならまだ希望はあるのが龍は無理!

 これ勝てないよなぁ。

 死にたくないんだけどなぁ。

 殺したら殺したで問題になるしなぁ。


「ためらっているようだな」

「そりゃあね」

「何、気にする事は無い。この体は人形(ゴーレム)の核に知識と意識を転写して作ったまさに人形よ」

「……何ですと?」

「問答は無用、かかってくるが良い」


 それならどうにか、なるかな?

 まあ戦術次第か。

 ゴーレム再利用をどうやってやってるか知らないがあの体はゴーレムの物なんだな、するとゴーレムの弱点も引き継いでってゴーレム弱点ねえじゃん!

 人型から龍型に変わったから弱点が出てるか?

 まあ考えている暇があるかどうか疑問が残るがぶっつけ本番しかできないしな、龍族は人型に変身できるせいかモンスターとしてわかないし。


「さて、では一曲円舞を踊りましょう」


 思いっきり全速で突っ込む。


「ふむ、人族にしては礼儀を弁えているようだな。だが甘いぞ」


 繰り出されるのは尻尾による薙ぎ払い。


「うおっと!? ゲフン」


 必死に飛び越えるが足が引っ掛かって三回転ほどして地面に激突してしまった。

 龍族だけあって余裕を()って最低限体勢を立て直す時間()ってくれるが胆が冷えるなんてもんじゃないぞ。

 ダメージこそ武装で軽減されてほとんどないが痛いものは痛い。

 正直攻撃の規模が人間とは違いすぎて近づくだけでも必死にならないと無理である。

 考えている暇はなさそうだ。

 続けてくる逆薙ぎもギリギリで飛び越える。

 最早どうしたものかなんて考えている時間もなく、立ち上がったらすぐさま右に飛び避ける。

 間一髪で今までいた位置に前足の爪で攻撃が加わる。

 その威力は地面を裂き亀裂を作る。

 引っかかって転ばないようにしないと、そんな無様なミスを見逃してくれるほど優しくもないだろうし。

 速度で攪乱なんて戦術が通用する相手じゃない、面攻撃とか卑怯すぎる。

 必死に接近と回避を続けながら確実な一撃を見舞うしかない。

 振り下ろされる自分の五倍はある爪の振り下ろしを避け尻尾による薙ぎ払いを必死に飛び越える。

 自分など先ほど言った戦い方の指定がなければとっくの昔にミンチになっていただろう。

 本当に本で「龍との決闘の作法」を読んでおいてよかったと思う。

 何度避けただろうか? 不意に尻尾の薙ぎ払いが振り下ろしに変わった。


「ちょ!」

「何、退屈そうにしていたから趣向を凝らしたまでよ」


 頼んでない! 頼んでないよ!?

 尻尾を戻すのに隙が? 今!

 本気で突っ込み懐に入り込む。

 ここで一気に剣を突き上げ鱗の隙間を狙ったが


 ガキンッ

「何で!?」

「愚か者!」


 吐かれる炎を必死に避け距離を取る。

 致命傷にならないまでも傷ぐらいはつけられると思ったのになぜ弾かれた?

 剣の攻撃力が足りないわけではない。

 一応かつ冒険初心者用の装備とはいえ最高級の装備なのだ。

 原因はなんだ? 魔力障壁か? それにしては鱗まではとどいていた。

 龍が大きく息を吸い込む。


「くそ、一体なぜだ」


 魔力による緊急回避。

 魔力を過剰に放出する事により発生する圧力で速度を得る反則技。

 魔力の消費量が半端ないので普通はこんな時でもないと誰もやらないが魔力と命はさすがに天秤には乗らない。

 どうにか間一髪で避けられたがブレス攻撃は反則なほど範囲がある。

 ブレス攻撃は魔法ではなく純粋な熱と可燃物のブレスなので軽減が効かない、食らったら即死である。

 これは……、詰んだかもしれない。

 ってそういえばあの体は龍じゃなくて(ゴーレム)だった。

 隙間なんて突いても傷ができるわけねーよ!


「策も尽きたか? では死ね」

「冗談!」


 切り札の一つ目投入!

 投げるのは濃縮熱爆弾、今朝作ったばかりの出来たてほやほやかつ最高威力品である。

 その程度はと避ける事もしない龍、かかったな!

 俺の作った爆弾をそこいらのやつと一緒にしないでもらおうか!


「ぐぅ、なんだ? この程度」


 龍の胸から前足までが固まり、同時に高熱を発し始める。

 関節部は砕けて落ちたが関係ない、なにせゴーレムの核は胸にあるからな!


「食らえ、最終兵器!」

「ふん、道具程度で我を倒せると」


 事前に準備していた冷却爆弾を投げる。

 瞬間、立ち込める霧。

 そして何かが砕け落ちる音。

 音を立てず走り込む、魔力を使ってさらに加速する。

 うっすらと龍の影が見えた。

 核は、そこか!


「いくら石だってな」


 核に全力の一突きを突き込む。


「対処のしようはあるんだよ!」

「ぐぁ、おのれ。人間のみで正面から倒しに来るとはなんと無謀な人間よ」


 霧は長く持たず、すぐに周囲に解けて消えていく。

 そして霧が晴れた先には末端から崩れ始めている……、水晶龍(クリスタルドラゴン)とでも言うべき成れの果てがいた。

 今回水晶像(クリスタルゴーレム)が石よりもガラスに近い性質を持っていて助かった。

 ガラスならどれだけ硬かろうと急激な熱量変化に耐えられず割れるからだ。


「勝った……、のか?」


 正直、後二三戦あると覚悟してたんだがどうやら本気でゴーレムを使った人形だったらしい。

 緊張が解けたせいか力が抜けて座り込んでしまう。

 まあ、ボス部屋は人がいないときしかモンスターがわかないから問題ないわけで、少し寝るか?

 周囲に拍手の音が響く。

 見回せば、妙に空いていた右の空間が揺らめいて一人の人間が現れた。

 いや、耳が尖り耳の裏から角らしきものが出ている。

 龍か?

 どちらにしろ隠遁(ステルス)の魔法で隠れてみていたのだろう、趣味の悪い事だ。


「まさか真正面から倒してしまうとは思わなかったよ人間」

「俺にはフィーという職名がある、そちらで呼んでもらおうか」

「それはそれは。ではフィー、お前は紅龍筆頭の代行権限により生存を保障しよう、今後龍がお前を狙う事は無い」

「それはどーも」

「今回の変革は面白い事になりそうだ。期待しているぞ、ではな」


 転移して消えてしまう。

 そこらへんも龍族って理不尽でどういう理屈か莫大な魔力を使って簡単に転移しやがるのだ。

 とりあえず一度帰ろう、さすがに疲れた。

 えーと、ドロップアイテ、ム、は?

 なんだあれ。

 大きな水晶の中に首輪のようなアイテムが封印されている。

 まさか神具の類か?

 とりあえず持って帰ろう、残して誰かに奪われるのは癪だし今回は台車があるのだ。


「ミィ、こっちにおいで」

「ミィ? ミィ、ミィ」

「大丈夫だから、怪我らしい怪我もしてないよ」


 まあ今回の戦闘はギリギリだった。

 一撃確殺型の俺としては核が胸になかったらまず間違いなく殺されていただろうな。

 まあ死ぬか無傷か二つに一つである。

 魔具のおかげで簡単には死なないが子供の体だと撃たれ弱さが半端ないんだぞ!

 とりあえず荷物を括り付けてっと、さあ帰ろう。


 ……階段上がる事考えてなかった。


 まあ車輪が大きいし押せばどうにかなるだろう。

 そして俺たちは必死こいて階段を超えつつ帰路についた。

 これは荷物袋増やすと二人もとい一人と一匹じゃ無理だな、仲間が必要だ。

 まあ後々という事で考えよう。

 まあ冒険者って自分の三倍の体積を簡単に運べるし、俺も例外なく運べるから個別に持った方がいいのかもしれない。

 台車が必要なほど狩る時って仕入れの時ぐらいか。

 という事はミィ用のリュック作ればいいな。

 まあ帰ってから考えよう。

 とりあえずドラゴンの事はギルドに報告しとくかな。


「ちわーす、みかわやでーす」

「こんにちは。皆大好き受付のお姉さんだよ♪」

「チェンジで」

「え、ちょ、ひど、いくらなんでもちょっと酷くない?」

「教えたネタに乗ってくれないお姉さんなんて嫌いです」

「もー。それで今日の用事は何かな?」

「ああ、ダンジョンに居座ってた龍族もといドラゴンだけどさ」


 ちなみに龍の時はドラゴン、人の時は龍族と呼ぶのがマナーである。


「交渉してどいてもらったから」

「あら本当? ちょうど困ってたのよ、ありがとう」

「報告は以上です、じゃあそういう事でさいなら」

「え、ちょ。神殿に戻ってくる相談とかお姉さんにしてくれるのを期待してたんだけどなー?」

「また今度で」

「フィーのいけずー。まあまた今度ね」

「じゃあねー」


 まあうその報告だがいなくなったのは本当なので問題ないだろう。

 さすがにグッタリなので自宅につくなり爆睡したわけで、ミィがちょっとさびしい思いをしたかもしれないがまた別の話である。

第一章の二話終了時点での主人公ステータス。

スキルでない自力での物作りは生産スキルには含まれません。

なお、祝福は無条件に詳細閲覧可能。


名称:フィフィル・ファウ・フォリア 職名:フィー

職業:職業訓練生

転職可能職業:商人[15]、調合師[15]、鍛冶師[15]、術式使い[99]

Lv. 72/99 EXP.99.99% NEXT:1


称号一覧

[@*者]$級#’:システム権限により詳細閲覧不可

[限界突破体現者]特級称号:システム権限により詳細閲覧不可

[先を歩む者]特級称号:民間称号による補正を受ける、先行実装システム。

[竜玉を抱く者]特級称号:龍族との契約により刻まれる称号。

[技術屋さん]民間称号:魔具工場より

[ラビッ党]民間称号:町の住人より


>>特殊技能一覧

>魔法:ステータス閲覧

・Lv.1 名前、職業、称号、本スキル詳細と技能一覧を閲覧可能

・Lv.2 状態、称号元、技能詳細、転職可能職業を閲覧可能

・Lv.3 レベル、現在経験値量、必要経験値量を閲覧可能

・Next-count 42247

>魔法:生命力回復補助

・Lv20 活力を回復可能、ただしカロリーを大幅に消費する。

 効果一、一定時間生命力の上昇により傷の治りが早くなる。

 効果二、一定時間気力などで動けなくなっても動けるようになる。

>魔法:肉体活性化

・Lv40 新陳代謝を向上させるがカロリーを大幅に消費する。

 効果一、身体能力の上昇、傷を治す速度の上昇。

 効果二、免疫力向上にともなう解毒速度の上昇。

>魔法:終わりの裁き

・Lv1 =身及び|手の罪・重+によってダメ_ジが変わる対’魔法。

 効果一、自身より相手の罪が重ければ二倍のダメージを与える。

 効果二、自身が相手の罪より重ければ自身もダメージを受ける。

 効果三、自身と相手の罪の重さが同じであれば三倍のダメージを与える。


>>祝福一覧

>長命種の宿命

>第一次限界突破者

>自分殺しの宿命

>呪い:シャドウハンド

>称号:技術屋さん

>称号:ラビッ党

・レベルアップ時ステータス追加上昇

・転職制限[基本職の転職不可]

・転職干渉[特殊職業解放]

・特殊干渉[レアドロップ率上昇]

・特殊干渉[固有モンスター遭遇率上昇]

・特殊干渉[固有スキル獲得]

・特殊干渉[肉体成長停止:十年]

・特殊干渉[再度ドッペルゲンガーを殺した時反射ダメージ二倍または二分の一]

・特殊干渉[次の転職までステータスの大部分を見れなくなる]

・特殊干渉[個人技能の向上時、器用さが追加上昇]

・特殊干渉[兎系がPTにいる時取得経験値上昇]

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