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ゲームがしたい! ぜったいあけたい、おとうさんのみまもりロック

作者: 明石竜
掲載日:2026/03/03

 よし、今日こそ絶対に解読してやる!

 小学四年生の陽太は、腕まくりをしてゲーム機を手に取った。

 おとうさんが設定した”みまもり機能”のせいでゲームは一日一時間しかできない。

 しかもパスワードがかかっていて勝手に時間を増やせないようになっている。

 四ケタの数字……おとうさんが絶対忘れないやつ。 

 誕生日? 違う、それはもう試した。結婚記念日? それも失敗。

 好きな野球選手の背番号? それも×だった。

 うーん……

 その時、陽太はひらめいた。

 おとうさんの一番大切なもの。

 おとうさんはいつも言っている。俺の宝は家族だって。だったら——家族の誕生日を組み合わせたやつじゃないか?

おとうさんが七月、おかあさんが十一月、ぼくが三月。

 陽太はニヤリと笑った。


 0715、1121、0303……全部試したけど、全部違った。

 もうやだ!

 陽太がゲーム機をソファに投げようとした時、玄関のドアが開いた。

「ただいまー」

  おとうさんだ。

 陽太はあわててゲーム機を背中に隠した。

「あれ、陽太。そんなとこで何してんの」

「べ、べつに!」

  おとうさんは冷蔵庫からジュースを取り出し、何気なく言った。

「あー疲れた。こういうときはゲームでもしたいなあ」

「……え?」

「おとうさんもゲームしたいんだけどさ、みまもり機能のパスワード、忘れちゃったんだよね」

 陽太は固まった。

「……え?」

「設定したのが半年前だろ? なんにしたか忘れちゃって。おとうさんもゲームしたいのに自分でロックかけて自分で困ってんの」

 おとうさんはへらへら笑った。

「陽太、何かヒントない?」

 部屋に沈黙が流れた。


「……つまり、おとうさんも、ゲームできてないってこと?」

「そうそう。情けないだろ〜」

 陽太は力が抜けて、その場にへなへなと座り込んだ。

 一時間以上、陽太は必死にパスワードを解こうとしていた。なのに敵のおとうさん本人も、忘れて困っていたのだ。

「……アホだ」

「え、何か言った?」

「なんでもない!」


 結局その日の夜、二人でゲーム会社のサポートセンターに電話して、みまもり機能を解除してもらった。

 新しいパスワードをおとうさんが設定しながら、こそっと陽太に見せてくれた。

「1234」

「……それ、一番ダメなやつじゃん」

「忘れないから仕方ないだろ!」


その夜、陽太とおとうさんは二時間、並んでゲームをした。

画面の中では、二人とも同じところで何度も失敗していた。

みまもり機能はもう、誰も気にしていなかった。

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