現場 ――欄の要望
端末が鳴る。
回付。第弐課。
件名:要望書(様式)
区分:現場記録
処理状況:受理のみ
判断欄:空白
差戻:なし
アレンは画面を開く。
要望書:相談体裁なし。
先頭に枠が並ぶ。見出しが先に立つ。
【要望種別】
記録欄の追加
【要望対象】
現場報告書/軽微逸脱報告/指揮記録添付
【要望理由】
順番の崩れ(誤差内)
質問発生:なし
問題:確認できない
【現場所見(短文)】
「問題ありません」
「通常です」
「軽微でお願いします」
語尾混在
【追加したい欄】
生活動線の順番(戻らない)
住民反応の定型化(質問なし)
説明通過
【入力方法】
チェック/短文のみ
【参照】
観測ログ(抜粋)/指標(基準内)/一次対応(済)
アレンはスクロールを止める。
止めても、見出しは残る。要望の形だ。
【要望理由】の欄は埋まっている。
争点化しない。
要望書の末尾に「留保」欄がある。
留保:指定
解除条件:未定
回付:継続
継続が仕様として入っている。
要望は結論を求めない。欄を求める。
アレンは返信欄を開かない。
返信は判断に寄る。
要望書は判断を避ける形だ。
画面の横に「様式改定の起票」ボタンがある。
小さい。
判断ボタンとは離れている。
アレンは一度、手を止める。
止めても、要望書は受理のままだ。
判断欄は空白のまま、進む。
【観測】の添付が自動で表示される。
観測ログ:基準内。
測定値:異常なし。
問題:確認できない。
アレンは見ないように、そこを飛ばす。
飛ばす。指定として残る。
画面の端に、追記欄(紙)のスキャンが添付されている。
発言者欄なし。参照範囲外。
二行だけ、文字が残っている。
「説明が通るほど、差異が見えにくい」
「観測は可能。測定は不可」
アレンは声に出さない。
声に出せば、分類が動く。
要望書の【追加したい欄】へ戻る。
「順番の崩れ」
「質問なし」
「説明通過」
どれも測れない。測れないが、欄にする。
入力できる。欠損にならない。無い扱いになる。
アレンは「様式改定の起票」を押す。
新しい起票画面が開く。
処理区分:暫定保留。
回付:継続。
解除条件:未定。
【改定対象】
現場報告書/軽微逸脱報告/指揮記録添付
【追加欄】
生活動線の順番
住民反応の定型化
説明通過
【入力方式】
チェック/短文のみ
【根拠】
要望書(受理)
観測ログ(基準内)
指標(基準内)
【留保】
観測は可能。測定は不可
測れないものが欄に入る。欠けていない扱いになる。
アレンは提出を押さない。保留のまま成立させる。
画面右に「保留成立」がある。
アレンは押す。
保留:成立。
回付:継続。
差戻:なし。
数分後、端末が鳴る。
回付。第壱課。
件名:様式改定(追加欄)
処理状況:受理のみ
判断欄:空白
差戻:なし
追加欄が回付に入る。
処理は終わっていない。だが、手続きは進んでいる。




