起票 ――保留区分の新設
端末が鳴る。
回付。第壱課から。
件名:起票様式改定(継続)
添付:処理区分追加/解除条件指定(別紙)
適用日:即日
差戻:なし
アレンは画面を開く。
起票画面の先頭に改定番号が出る。新設の印。淡い。
処理区分のプルダウンが一段増えている。
既存行の下に、見慣れない語が並ぶ。
暫定保留
継続観察
判断待機
どれも「判断」を先に置かない。
判断欄は隣に残っている。触れなくていい形になっている。
アレンは添付を開く。
処理区分追加(別紙)。表の形だ。
区分名。適用条件。解除条件。回付先。留保。
最後に、反対意見欄。
解除条件の欄が目に刺さる。
解除条件:未定
解除条件:別紙参照
解除条件:継続指定
解除条件:解除なし。
未定のまま区分だけが成立する。
回付先は固定。
第七課:受理
第参課:参照
第壱課:監査
継続:自動
継続:仕様。
留保欄が増えている。
留保:指定
指定:解除条件別紙
指定:反対意見末尾移動
末尾移動。
内容ではない。移した事実だけが残る。
反対意見欄は表の最下段。線が薄い。
記入:任意。
回付:対象外。
参照:限定。
末尾へ置かれた反対は争点にならない。
争点になるのは欄があることだ。
アレンは起票画面へ戻る。
プルダウンは開いたまま残っている。カーソルが待っている。
判断欄は空白のまま。
空白でも進行は止まらない。
アレンは新設区分を選ぶ。暫定保留。
選んだ瞬間、下段に欄が増える。
保留理由。留保指定。解除条件。継続。
解除条件の入力欄は灰色。入力不可。別紙。
リンクが付く。リンク先は空欄のまま未定として残る。
継続のチェックは最初から入っている。外せない。外す欄がない。
継続は仕様だ。
回付ルートが自動で埋まる。
第七課:受理のみ
第参課:参照
第壱課:監査
処理状況:保留(継続)
保留が状態として表示される。
判断は欄のまま残る。未入力。
画面の末尾に反対意見欄。薄い。
入力はできる。入力しても回付されない。
末尾へ移動済の印が先に付く。
アレンは入力しない。
入力しなくても、移動済は成立している。成立するのは内容じゃない。配置だ。
確認欄が点滅する。起票:未提出。
アレンは提出を押さない。
提出は回付を走らせる。いま必要なのは回付じゃない。
先に、保留を置く。
画面の右側に新しいボタンがある。
「保留成立」
小さい。
判断ボタンとは並ばない位置。指の動線が分けられている。
アレンは指を置く。
迷いは出ない。出る欄がない。
反対意見は末尾。
解除条件は未定。
継続は仕様。
回付ルートは埋まったまま。
アレンが押すのは“判断”じゃない。
保留を成立させる項目だ。




