王家の支援
「ところで、べラルド卿はドレスショップをご存知ないでしょうか?」
もはやこの際誰でもいいから教えて欲しい、そんな気持ちで投げかけた言葉にべラルド卿が驚いたような顔をした。
話題転換が唐突過ぎただろうか。
「ドレスショップ、ですか?」
「はい。聖女様に聞いたのですが、今度王家主催の舞踏会があるんですよね?」
「ああ、そのことですね」
私の質問にべラルド卿が得心がいったように答える。
「たしかに、今度開催されます。ちょうど今日その話をしようと思っていたところなのですが」
「そうなんですね。ですので、ドレスが必要だと思いまして」
リベルタ嬢が気を遣ってドレスを用意すると言ってくれたとはいえ、高額な物を理由もなく受け取るわけにはいかない。
だから自分で用意したいところなんだけど……。
「お恥ずかしながらあまり高価なドレスは購入できないのですが、王家主催であれば格式の問題もあると思いますので、その点を満たすショップをご存知であれば教えていただきたく……」
「まさかご自分で用意されるおつもりですか!?」
私の言葉にべラルド卿が驚く。
「もちろんです」
「聖女様に関するものは王家から支給されます」
「しかし私は聖女様ではありません」
「そうであっても、あなたは我が国の事情によってこちらの世界に呼び寄せられた。庇護されるのは当然です」
『庇護されるのは当然』
そう言ってもらえるのはありがたいけれど、であれば召喚された当日の扱いが腑に落ちない。
私がそう思っていることに気づいたのかべラルド卿が申し訳なさそうな顔をする。
「あなたが我々を信用できないことは理解しております。しかしどうか、今後は頼っていただきたい」
うーん……。
個人的にべラルド卿のことは信用している。
唯一私に手を差し伸べてくれた人だし、仕事に関しても希望を聞いてくれた。
だから彼を困らせるのは本意ではないのだけど。
王家や神殿のことは、信用できないんだよねぇ。
そして信用できない相手に借りを作りたくないと思っている。
「お考えはわかりました。しかし私は王家に頼る気はありません。分不相応な扱いも望んでおりません。ですので、舞踏会で着るドレスに関しても自分で用意するつもりです」
私の意思は固いのだと、しっかり伝わるように私はべラルド卿の目を見てはっきりと伝えた。
「……わかりました」
良かった!
これで変に王家に恩を感じる必要もないし、何よりも口出しされない立場でいられることが私としては大きかった。
「王家に頼りたくないというあなたの気持ちを尊重します。その代わり……」
……ん?
その代わり?
「ドレスは私に贈らせてください」
……はい!?
べラルド卿の突然の申し出に、私は目を見開いて彼を見つめたのだった。
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