お茶会の終わり
結局その後は主に花音ちゃんの愚痴大会と化した。
彼女は相当ストレスを溜めていたのか、話しても話しても話し足りないとばかりに喋り倒す。
「ナツメさん、私まだ話したいんですけど」
かなり真剣な面持ちで花音ちゃんが言うものの、残念ながら時間切れである。
「私も話したいところだけど、時間がきたみたいよ」
視界の端で侍女と近衛騎士の二人がこちらへ近づいてくるのが見えた。
おそらく次の予定があるとか、そういった理由でお茶会を終了させるのだろう。
「ええー……」
とても不満げな花音ちゃんはそれでも可愛いけど、いずれにしても今日はお開きにするしかなさそうだった。
「私も今は王宮図書館で働かせてもらっているし、花音ちゃんが望んでくれるならまた話す機会も持てると思うわ」
基本的に私からお誘いすることは難しいと思う。
相手はこの国待望の聖女。
かたや私はその聖女召喚になぜかくっついてきてしまったおまけ。
聖女に対して気軽にお茶の誘いをしようものなら処罰されそうな勢いだ。
「いっそのこと私が王宮図書館へ見学に行くというのはどうでしょう?」
「周りの人たちが許せばそれもありかも」
何にしても彼女の行動範囲はかなり制限されているから。
身の安全の心配もあるし、学ばなければならないことも多いし、といったところだろうか。
「私は基本的に毎日図書館に出勤しているけれど、表に出ることはできないのよ。裏で仕事をしているから、声をかけてもらうかあらかじめ教えておいてもらえば会うこともできると思うわ」
「わかりました。またこうやってお茶にお誘いできればいいですけど……。難しそうだったら図書館へ行きますね」
真剣な顔で頷く彼女はやはり素直だ。
私としても右も左もわからないようなこの国で、日本のことを話せたり同じような考えを共有できる相手はとても大切だった。
「次に会える時までにこの国のことにもっと詳しくなっておくわね。何か悩んだら溜め込んじゃダメよ」
私の言葉に花音ちゃんが瞳をウルウルとさせる。
「あと、意に沿わない婚約とか結婚の話に頷くのもダメ。この国において花音ちゃんは大事な存在なんだから、嫌なことは嫌って言っていいんだからね」
うんうんと頷く彼女はぎゅっと拳を握りしめた。
「はい! とにかく今はここに慣れることに精一杯ですけど頑張ります!」
何というか、爽やかな子だなぁ。
思わずそんな風に思ってしまいながら、花音ちゃんと私の初めてのお茶会は終わりを告げたのだった。
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