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異世界に行った、そのあとで。  作者: 神宮寺 あおい@受賞&書籍化


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館内散策

 グノシー伯に渡された館内案内図を見る限り、ここは日本の図書館のように分類や著者名で本が並べられているわけではないようだった。


 とはいえ、それぞれの本が置かれている場所は大まかな括りで分けられている。

 例えば、小説はここ、図鑑はここ、というようにだ。


 私としてはこの国の文字や文章が読めるのかを確認するのが一番の目的だから、まずは子ども向けの絵本が置かれている場所を探した。


 それにしても立派な図書館だわ……。

 トルス国における本の価値はどれくらいなのかしら?


 そんなことを思いつつ目的の場所にたどり着く。

 思った以上に館内案内図は正確に描かれており迷い子になることはない。


 これで分類をもう少し細かくして著者名別で並べれば完璧なのにね。


 そう考えると日本の図書館は利用者にとってはとても便利な作りになっていたように思う。

 そうやって過去の叡智に思いを馳せつつ、私は目についた本を手に取った。


『姫とテディベア』


 絵本のタイトルにはそう書かれていた。

 表紙にはドレスを着た女の子と彼女に抱っこされるクマのぬいぐるみ。

 いかにも小さな女の子が好みそうな絵柄だった。


 おお……読める!


 中を開いて見てみても文章がすらすらと頭の中に入ってくる。

 自然と意味を理解することもでき、話す言葉と同様、読むことも問題ないことがわかった。


 言語チート、凄すぎるでしょ……。


 ある種の感動を覚えながら、私はその近くに置かれていた絵本を端から次々に引き出しては開いてみる。


 どの絵本も小さな子を対象としていて文章としては易しいものばかりだ。

 それでも、知りたかったことを確認するには十分だった。


 これならもう少し難しい本も読むことができるかも?


 そう思うと居ても立っても居られなくなり、私は次なる目的場所へと向かう。

 

 まずはトルス国についてわかる書籍。

 そして次に娯楽小説。


 読める! 読めるよー!!


 結論としては、どの本も問題なく理解できた。

 おそらくお堅い文章で書いてあるだろうトルス国歴史書も、砕けた文章で書いてあるであろう小説も、読む上での難易度は変わらない。


 となると、だ。


 え?

 この膨大な本がすべて私にとって未知なる本ということだよね。


 本好きのオタクの血が騒ぐ。

 しかも今の私には時間もたっぷり。


 以前は読みたい本と読める時間が釣り合わなくて大量の積読を抱えていたけれど。


 今ならどっぷりと本に浸ることもできるし、誰にも邪魔されないのでは?


 そのことに気づいてしまった私は我慢できなくなった。


 これとこれとこれと……。


 気になる本を本棚から抜き出しては近くの机に積んでいく。

 

 たしか貸し出しも可能なのよね?

 さすがに十冊以上は多い?


 悩みに悩んで、結局私はトルス国に関する本を三冊、聖女に関する本を二冊、そして小説を五冊に絞ったのだった。

数多の作品の中から読んでいただきありがとうございます。


少しでも続きが気になりましたら、ブックマーク登録、評価などしていただけるととても励みになります。


よろしくお願いします。

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