第一話 侵攻と魔法陣
グルグナイト期 26066年 14月 66日
この日歴史を揺るがす大事件が起きた。
「逃げろ!! 第二結界が破れる!!」
「第二砲撃発射!!」
人竜族とオーガ族とドワーフが共存するグラニツィア連邦王国が
エルフの王国 エルガルト王国に侵攻をして来たのだ。
「第二結界崩壊!! 第一部隊•第二部隊突撃!!」
「うぉぉぉぉ!!!」
前々から両国にはある因縁があった。 その因縁とは領土問題と階級問題だ。
人竜族は他の種族と比べ使用できる力や能力に差があり
多種多様の魔法と知識と知能があるエルフは人竜族より階級が上なのだ。
この階級制度については度々各国によって議論される話題ではあったが
己の階級と権利を守る為に、この階級制度を失くそうとする者は現れなかった。
『紺碧の氷壁』
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
「ッチ、、、 エルフ風情が、、、、 第六•第七部隊!! 空襲攻撃開始!!」
階級第二位のエルフ族は領土を他国から貰うこともあったが、全部それぞれの国に返却する契約を
結んでいた。 エルフは生殖器を持たない者も多く種の繁栄が難しい種族なのだ。
大きな領土を持ったとしてもエルフには無駄に等しかったのだ。
なのでその契約をそれぞれの国と結ぶ事にしたのだ。
だが、その契約を気に入らなかったのが階級三位の人竜族達だった。
国民が一万も超えないエルガルト王国が人竜族より上の階級に居るのが屈辱だったのだ。
「第三結界破壊完了!! 地上部隊突撃出来ます!!」
「突撃開始!!」
「うぉぉぉぉぉ!!!」
「待て、、、 待ってくれ!! 俺は、、 俺たちは何もしてな!」
「うるせぇよエルフ。 気持ち悪い耳と顔しやがってよ!! 死ね死ね死ね!!」
「辞めて!! 私のお腹には娘が!」
「一緒に勇者様の元に行けよエルフ!!」
人竜族は日に日に貯めていた怒り恨みをエルフの民にぶつけていった。
『燃え盛る炎壁』
「今のうちだぞ、人竜族!! 今、 撤退するのであればこの愚行を一時的に見逃してやる!!」
「おいおい、エルフ。 お前らの魔法はもう俺ら人竜族には効かねぇよ?
抵抗なんかせずに無様に死んでけ!!」
「な、、、 なに!?」
エルフの戦闘部隊が出した炎壁を切り刻みエルフの首元と心臓を刃物と尾を突き刺した。
エルフは人竜族と違い血液を持たない種族である。エルフにとっての血液は魔力なのだ。
その魔力貯蔵庫の首と心臓を貫けばエルフは即死する。
ただ、この魔力貯蔵庫の話はエルフしか知らないはずだった。
何処かから、この情報が漏れてしまったのだ。
『魔法陣起動』
「な、、、なんだ!! 急に目の前に結界が!!」
『風の精霊よ悪き種族を喰い殺せ』
結界の中に鋭い竜巻が現れ、人竜族の身体を細切れにしていった。
「お前ら臆するな!! 地上に潜む魔力を感じながら戦え!!」
「うぉぉぉぉ!!!」
「だ、、、 駄目だ、、 多すぎる、、」
「エルフの民達よ!! 転移を使いこの国から逃げろ!! 急げ!!!」
「逃すかよ!! エルフ共めが!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
エルガルト王国 戦闘部隊潰滅
「残るは普通のエルフだけだ!!! このまま殺せ!!!」
「女!女!おんなぁ!! ぶち殺すぶち殺すぶち殺す!!」
「死ねぇ!! エルフ!!」
「や、、 辞め、、 やめてぇぇ!!」
「知るかぁ!! 死ねぇ!!」
エルフ達は最後まで抵抗をしていたが数に押され一人、 また一人と殺されていった。
「あなただけでも逃げて!! フェリス!!」
「お母さん!!!」
あるエルフは自分の娘を転移魔法陣がある神殿に閉じ込め最後の抵抗をした。
ただエルフの戦闘部隊と違い、 戦闘向きの魔法は持っていなかったのだ。
そのエルフは他のエルフと同じように殺されてしまった。
「コイツから転移魔法陣の匂いがするぞ、、 コイツが歩いて来た方向に行くぞ!!」
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トルニティア神殿にて
「なんで、、、 なんで、、、 なんでなの、、 お母さん」
フェリスは神殿の入り口を叩きながら泣いていた。
「逃げ、、 逃げないと、、、」
フェリスは泣きながらも転移魔法陣がある方へ歩んでいった。
フェリスは母親の遺言に従い転移して他国に逃げる事になった。
本当は母親もフェリスと一緒に転移し逃げる予定だったが
最前線で戦う夫の事が心配になり娘を先に逃す事にしたのだ。
「酷い、、、酷いよ、、 お母さん、、」
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地上にて
「エルフの制圧完了!! 俺たち人竜族の勝ちだぁぁ!!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
「階級第二位は俺達のもんだぁぁぁ!!」
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
「いや待て。 まだエルフは残ってる」
「あ? なんだ? テメェの事か?」
「違う、 俺じゃない。 まだ一人、知ってるやつの顔を見てない」
「な、、、 なんだと? もしかして、、、 ソイツは、、」
「あぁ、、 『神の子フェリス』 の死体をまだ見てない」
「そいつを殺さないと俺たち人竜族は、、、」
「あぁ、、 間違いなく皆殺しにされる。
多分、 フェリスはトルニティア神殿に居るはずだ。 俺の頭がそう言ってる」
「トルニティア神殿!? それって、、転移魔法陣がある神殿じゃ、、」
「あぁ、そうだ。 場所は毎年変わっていくが、俺はその場所を知っている。 だから着いてこい」
「、、、従うのは気に入らねぇが、 今はそんな事どうでもいい!! 教えろその場所を!!」
「あぁ、 場所は」
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『転移魔法陣起動』
フェリスは転移魔法陣を起動させる事に成功した。
起動はエルフであれば誰でもすぐ出来るが、発動まではエルフであっても時間がかかってしまう。
『転移先は何処にしますか?』
「安全な、、、 国で、、、」
『御意』
この転移魔法陣は声で色々決めれる事が出来る。
この魔法陣を作ったとあるエルフがそうしたのだ。
『準備完了まで10分』
「え? そんな長くは待てないよ!! もっと、、 もっと早く!!」
『魔力が減って最大限の力が出せません』
「魔力あげるからなるべく早く!!」
『御意』
フェリスは転移魔法陣に触れ、手の先から魔法陣に魔力を渡した。
『魔力供給完了。 残り3分で完了します』
「ありがと、 魔法陣」
『当然の務めです』
フェリスは魔法陣の上で声を殺しながら泣いていた。
『何故、泣いているのですか? 神の子よ』
「私たちの国が、、 人竜族に襲われて、、、」
『私には何が起きたのかは分かりませんがとても災難でしたね』
「だからさ? 人竜族が居ない国に転移出来る?」
『可能です』
「じゃあ頼んだよ。 魔法陣」
『お任せください。 神の子よ』
魔法陣が薄ら光り始めて来た。
『残り1分で発動します』
「魔法陣はさ、寂しくなかったの?」
『私達には感情を感じる器官が備わっておりません。
ただ、またあの方には会いたいと思っております』
「あの方って博士の事?」
『はい、あの方にはまた会いたいです』
「転移先に居たら、君の事話してまた会わせてあげるよ」
『お気遣いありがとうございます。 発動まで残り10秒』
「もうそろそろだね」
転移魔法陣が強く光り輝いてきたその時神殿の入り口が人竜族によって破壊された。
「見つけたぞ!! 神の子だ!!」
「なんだ!? くそ眩しいぞ!?」
「まずい、、 まずいぞ!! 後もうすぐで転移してしまう!!」
「破壊、、、 破壊だ!! 転移魔法陣に向けて発射!!」
『発動準備完了。 指示を』
『転移魔法陣 発動』
転移魔法陣が勢いよく光り輝き、 光の円柱が現れた。
『転移先はユニーティア王国です』
「本当にありがとうね。 魔法陣」
『感謝される程の事を私はしていません』
「だとしても、だよ」
『では、転移を開 シシシシシします、、」
「え!? どうしたの? 魔法陣!!」
『座標盤が破壊され座標がガガガガガガガ 決めれなクククククな リリリリ』
「転移、、、 転移は出来るの?」
『出来出来、、、 出来ますすすすす。 あの方が、、 よく言ってたににににに
日本に緊急テテテテ 転移します』
「ニホン? 何? 何処!? 」
『日本の情報を頭に転移しまススススス。
あの方ににににに、 ありがとうと伝えてテテテテください』
「魔法陣!!」
『転移発動』
光の円柱の光が勢いよく祠に広がり暗い祠を光で埋め尽くした。
その光は徐々に明るさを失っていき、元の暗さに戻っていった。
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(ニホンの情報が、、 頭の中に流れてくる!!
何この食べ物、、、 何この言語、、、、 なんだか楽しそう、、、、
あ、、 でも情報が多くて頭が疲れてきた、、、 駄目だ、、 ねむ、、、)
私は転移中に眠ってしまった。
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