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  作者: 口羽龍
第5章 一緒に
91/108

3

 その間、俊介と安奈は池辺うどんで働きながら、不思議に思っていた。俊作はどうして、休日になると出かけているんだろうか? 気分転換で行っているとは思えない。何か秘密があるんじゃないだろうか? とても怪しく思える。


「どうしたの?」


 2人は振り向いた。そこには望がいる。望は心配していた。ここ最近、俊作の様子がおかしい。栄作も気にしていた。


「ここ最近、俊作が高松に出かける事が多くなったんだが」


 ここ最近、出かけるのか。何か理由があって出かけているのかな? でも、どうしてだろう。


「気になるの?」

「うん」


 ふと、俊介は思った。ひょっとして、俊作は恋をしているんじゃないかと。恋人がいて、高松でデートをしているのでは? 思えば自分たちの恋もそうだった。最初は家族に秘密で会っていたな。だけど、ある日両親に知られて、真実を話した。その時は、どういわれるだろうと不安になったが、きつい事を言われなかった。


「父さんも気になるよ。一体何があるのかなって。ただ、思ってるんだ。恋をしてるんじゃないかなって」

「そっか・・・」


 それを聞いて、望は下を向いた。自分は高校時代にフラれた事があるからだ。自分が栄作の本当の息子ではないという理由でフラれた。それ以来、自分に恋は無理だろうと思っている。


「どうしたの?」

「フラれた事があるんでね」


 それは初耳だ。だけど、高校生のある日、落ち込んで帰って来た時がある。その日が、フラれた日なのかな?こんなに落ち込んだ望、高校時代では唯一だったな。


「そうだったな。でもなぁ、絶対に望も最高の相手に出会えて、結婚できると思ってるよ」


 だが、俊介は望を励ました。きっと望にもいい相手が現れるはずだ。そして、結婚できるはずだと。


「本当かな?」


 だが、望はやっぱり不安だ。一度フラれると、もう結婚できないだろうと思ってしまう。栄作の養子だと知ると、みんな引いて、別れるだろうな。


「うん。でも、どうして不安になってるの?」

「高校の頃、自分が大将の息子じゃないって事でフラれたから」


 小学校1年生の頃、それが原因でいじめられたことがある。それだけではなく、高校の時はそれが原因でフラれた事があるのか。


「そんな事があったのか・・・」

「うん」


 突然、俊介は望の肩を叩いた。どうしたんだろう。


「でもなぁ、拾う神が現れるように、きっといい人が現れるって」

「本当かなぁ」


 だが、望は疑問に思っている。こんな自分でも、結婚できるんだろうか?


「本当本当。信じようよ」

「・・・、わかった・・・」


 と、そこに安奈がやって来た。その話に入ろうと思っているようだ。


「どうしたの?」

「望がね、本当に結婚できるのかなって言ってるの」

「そう・・・」


 望が結婚か。そろそろそれも考えないといけないのかな? どんな女性と結婚するんだろうか?


「高校生の頃、自分が大将の息子じゃないからと知られて、フラれたんだって」

「そんな事あったんだ・・・」


 安奈は驚いた。こんな事でフラれたのか。養子であっても、人間は人間。望は栄作に育てられただけで、普通の子なのに。それが原因で別れるなんて、ひどいな。早くいい人と巡り合えたらいいのに。


「ああ。でも、いつかはできるだろうって信じてるよ」

「私も思ってるわ」


 安奈は想像した。俊作や望はどんな人と結婚するのかな? どんな子供を設けるんだろうか? どんな幸せな日々を送るんだろうか?


「どんな子と結婚するのかな?」

「わからないけど、優しい子がいいわね」

「うん」


 と、そこに栄作がやって来た。さぼっているように見えたようで、厳しい表情だ。


「何言ってる。仕事をしろ!」

「す、すいません・・・」


 3人は謝った。仕事に集中しないと。今日も多くの人が来ている。その人のために一生懸命仕事をしないと。長い時間待たせたらダメだ。


 望は入ったばかりだが、とても頑張っている。なにしろ、次の大将になるのだから、それぐらい頑張らなければ。


「ほら、望があんなに頑張ってるだろ!」

「そ、そうだね・・・」


 俊介と安奈は黙々と仕事をしていた。自分たちも頑張らないとな。


「いらっしゃい、何にしますか?」


 注文を受けているのは、安奈だ。目の前には若い男がいる。この辺りで働いているのか、作業服を着ている。


「ひやあつのかけ並!」

「ひやあつかけ並一丁!」


 俊介は麺を一玉取り、一度湯に通し、冷水でしめた。そして、温かいだしをかけた。男はその様子をじっと見ている。


「どうぞ!」


 注文を取った男は、その先のカウンターに向かった。安奈はその様子をじっと見ている。


 その次にやって来たのは、若い女性だ。この辺りに住む主婦のようだ。


「いらっしゃい、ご注文は何にしますか?」

「ひやひやのぶっかけ並!」

「ひやひやぶっかけ並一丁!」


 俊介は再びうどんを湯がき、冷水でしめた。そして、ぶっかけつゆをかけた。


「どうぞ!」


 安奈は注文の品を渡した。俊介はその様子を見ている。この2人は夫婦だろうか? いつかこのように、俊作と恋人が一緒に注文する日は来るんだろうか?

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