カラスの季節がやってきましたね
こんにちは、ひだまりのねこですにゃあ。
先日の朝、職場へ向かう途中ちょっと変わった気配を感じたんです。
気配がした方向を見ると、一羽のハシボソガラスが木の枝を物色していたのですよ。
そうか……そういえばもう3月だし巣作りの時期。
カラスは3月ごろから巣を作って子育てを始めます。ねぐらには戻らず、巣を中心とした生活の始まりですね。人間にとっては一番カラスが身近に感じられる季節とも言えます。
私の家には、以前もエッセイに書きましたが、朱雀と名付けたカラスが常に常駐しています。こちらはハシブトガラスですね。中型犬くらいのサイズ感があるので迫力があります。
それ以外にもカラスとは子どもの頃から付き合いが長いこともあって、生き物の中では断トツに意志の疎通が出来るんですよね。大体何を考えているのかわかります。逆にこちらの話が一番通じるのもカラスなんですけど。
それで木の枝を物色していたカラスなんですけれど、すぐにわかったんです。あ、この子頭が良いって。全然違うんですよ、行動もそうなんですけど、考えていることが明確というか、ストレートにすっと伝わってくるから。おバカなカラスも可愛いんですけどね、何も考えていない感じが(笑)
素材感も太さ、曲がり具合も良さそうな枝を咥えたカラスさんですが、一つだけ問題がありました。
そう、長すぎたんです。
「あはは、それはいくらなんでも長すぎるよね」
私がそう話しかけると、
『そうなんだよ。でも大丈夫見てな』
カラスは私の目の前で木の枝を塀の穴に差し込んで固定した後、パキッと枝を折って満足そうにこちらを見つめてきました。
『な? 簡単だろ』
「さすが!! やるじゃん」
得意げに胸を張り飛び去ってゆくカラスを見送りながら、
「私も頑張らないと」
となんだか元気をもらった気分。
カラスは小学生低学年くらいの知能を持っていると一般的には言われていますが、人間と同じように天才のカラスもいるので、そいう個体は本当にすごいです。
木の実を車に踏ませて殻を割るカラスは有名かと思いますが、近年では確実性を高めるために、赤信号で停まった車のタイヤの前に置くそうです。
他にも水道の蛇口を捻って水を飲んだり、さらには水量を調節して水浴びをしたり。
電車に乗って移動するカラスなんていうのもいましたね。
カラスは貯食といって、あちこちに食べ物を隠しておくのですが、隠した場所を忘れないようにちゃんと目印を置いておくのです。一時期問題になった線路への置石は、カラスの目印だったんですよね。
カラスの眼は二段ズーム機能が搭載されていてある意味人間よりも高性能です。そして記憶力も抜群。一度見たものは忘れないと言われます。
つまり、カラスは恩を受けたことも酷いことをされたことも決して忘れないということ。人間の顔も当然覚えていますから、付き合う時は注意が必要です。
カラスの寿命はよく分かっていませんが、少なくとも野生下で20年継続観察された個体がいますので、鳥の中では長生きです。もっとも厳しい冬を乗り越えられず半数は餓死すると言われていますので、平均寿命はもっと短いとは思いますが。
世界的に見て、日本のカラスだけが人間顔負けの賢い行動をとるのだとか。
一説によると、朝の生ごみによって一日の早い時間帯で十分な食料を確保出来るようになり、日中がいわゆる余暇の時間となった結果、人間と同じように遊びや試行錯誤することに繋がったのではないか?
私も同じように考えています。もうひとつ、日本人はカラスを食べないからというのもありそうですよね。身近で人間の行動をじっくりと観察することが出来た結果なのかもしれないと思っています。
ゴミを荒らしたり、迷惑な部分もあるカラスですが、木の実を運ぶ役割、生き物の死体を食べることで循環を促進する等、自然界で重要な役割を持った存在です。
コロナ禍で飲食店が営業できなくなり、繁華街で暮らしていたカラスのほとんどは死んだと言われています。
人間との共存を選んだがゆえに、人間社会の影響をダイレクトに受けてしまうカラスたち。願わくばこれからもずっと共に生きてゆきたいものですよね。
これから数か月の間、カラスの親たちは必死でヒナたちの餌集めに奔走することになります。巣の近くでは自分たちの家や家族を守るため、気性が荒く威嚇するようになる時期でもあります。
ちょっと怖いかもしれませんが、そんなときも慌てず騒がず、
「ごめんね、ちょっと通らせてね」
言葉に出した方が効果的ですが、思っているだけでも伝わるものです。
ちなみにカラスは一夫一妻。生涯連れ添います。カラスの雌雄は外見上の違いがほとんど無いので、人間には見分けがつきませんが、三原色しか見えない人間とは違い紫外線を含む四原色を見ることが出来るカラス同士では、まったく違う色に見えているのですよ。雄は赤、雌は紫というように。
カラスにとっては、この世界はよりずっとカラフルに見えているんだと思うと不思議ですよね。
生物としての種は違えど、互いに相手を理解して尊重し合うことは出来ます。
せっかくの隣人(鳥)なのですから、機会があればぜひ話しかけてみてください。
もしかしたら応えてくれるかもしれませんよ?