misshon4 捻くれ者と曲者
「キャー―――」
「どけぇっ!」
「俺の掛金…」
「んなもんどーでもいーんだよ!」
「逃げろーッ!」
俺は、一人事態が掴めずにトランプを持ったまま椅子に座っていた。
「ちょっと君、何ぼーっとしてんの!? 早く逃げろっつの!」
ボーっとしていたら、目の前にド派手な女の人が立っていた。
どう派手かって言うと、スパンコールのワンピースと、レースのレギンスを履いていて、足元の黒いレッグウォーマーでさらに奇抜。
「…何アンタ」
「何って。マジで言ってんの? 連行されちゃうよ!」
俺は店内を見渡した。薄暗くてよく分からないが、人の気配は無くなっている。
「別に逃げなくても良いでしょ。誰も来ないんだし」
「だからっ、警察が来るんだってば!」
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何コイツ!?
何なのこのスケコマシ!
あんたがいなくならなけりゃ、金、を! 取れないだろーがっ!
ふざけんじゃねーよ!
「いーから出てけっ! マジで警察呼んでやろーかっ!?」
高校生は、あたしを見上げると、ふーっと溜息を吐いた。
「やっぱり来ないんじゃん、警察。何が目的な訳? 強盗? 略奪?」
…ヤベ。
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―勝った。俺はそう判断した。女は、少し黙るとエヘっと笑った。
「取り合えず、店出よ? お店の人戻ってきたらヤバイしね? 話はそれからで良いかな…」
そう言うと、女は有り得ない程の早業で俺と対戦してた男の掛金を毒々しい紫のポーチにすり込んだ。
「何見てんのよッ」
おっそろし…
店の外に出ると、辺りは漆黒の闇に包まれていた。
女は俺の隣にくっついて歩いている。
「感謝しなさいよ。あたしのお陰で、アンタは自分の金を全部摩らなくて済んだんだからさッ」
「…」
「感謝するべきでしょ!? 感謝するべきでない!?」
「…ドーモ」
俺はそれで終わったと思っていたのだが、女はしつこくついて来る。
「まだ何か用?」
俺はうんざりして立ち止まり、女の顔を覗き込んだ。