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SIENNA  作者: ユリネ
5/6

misshon3 ギャンブル

「うわ〜…」

ギャンブルやセックスしか娯楽のないこの街で、あたしは度々ここに入り浸る事がある。

新宿の裏通りにある、非合法の賭博所―対戦ゲームで金を賭けたりするところだ。違法だけど。

あたしは、煙草を吸いながら店の壁にもたれ掛かった。今日は13勝1敗。上々だ。イカサマもばれなかったし。そろそろ帰ろうかな。マークされたら大変。

…んん? 前方でキョロキョロしてるアレは、どう見ても学生服姿の子供だよね。高校生でも、ここはまだちょっと早いかもよ。

こんなトコでうろうろするなんて…あぁ〜あ、絡まれてる。

あいつらの事は知っている。無茶苦茶なハメ技するし、よくリーマンをカモってる。あんな何も知らないウブな子、幾ら分捕られても知らねーぞ。

あ、駄目。のせられちゃ駄目。そいつら全員八百長だよ…。

でも、ちょっと面白そう。あ、トランプでやるんだ。


「バカラでイイ?」

「…はい」


店内が騒々しいせいで、よく聞こえない。

にしてもあの子、ルール分かるのかな。あたしは少し前方に移動し、ギャラリーの中に加わった。

一応様にはなってるけど、慣れて無さそうだし上手い具合に誘導されちゃってる。


「あたし、黒。あんたは赤ね」

「…はい」

「じゃ、ディーラーさん、お願い」


あの子幾ら賭けてんの? おお、万札。金持ちの坊ちゃんって訳ね、成程。

あれを全部、あたしが盗るにはどうしたら良いか。もう立ち入り禁止になるの必須だけど、もう充分目付けられてるし、一緒だろ。あたしは心を決めた。


「サツが来るーっみんな逃げやがれー!」

下腹に空気を目一杯溜めて、思いっきり叫んだ。


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