misshon2 接触
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「じゃ、行って来る」
カントリー風の部屋の中に、美しい朝の光が充満している。今は朝の六時。初めての学校も、少し余裕を持っていけば迷っても大丈夫だろう。
あのあと、脅威のスピードで都内の高校に転入手続を済まし、制服、教材を用意してくれたヴァネッサには、本当に感謝する。っていうか、しなきゃ。
彼女は、私とは三つぐらいしか変わらないのに、凄く大人びてる気がする。
「うん。絶対に、バレちゃ駄目だからね。…シエナなら大丈夫だろうけど、くれぐれも組織の人間には気をつけなさいよ。あなたはいつも自分の力を過信し過ぎてるから…」
「はいはい、分かってる。じゃあ!」
朝からお説教は、幾らヴァネッサでも勘弁して欲しい。私は、他に何か言われる前に慌てて家を飛び出した。
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「静かにして下さい。急ですが、転入生が居ます。町田歌子さんです。町田さん、入ってきてくれる?」
ガヤガヤとしていた一年四組の教室は、一瞬静まり、そして更に大きく騒ぎ始めた。
「何の騒ぎ…?」
机に顔を伏せて居眠りしていた俺は、隣の席の奴―タナカだったけな―に聞いた。
「あ、カーヤ。おはよ。なんか、転校生だって。なんて名前だっけ、ねぇ、美ッちゃん…あ、それそれ。町田歌子だって」
町田に、歌子って。昭和っぽい、なんか。
「町田さんー、入ってきていいですよ」
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友達、出来るかなぁ。いや、多分無理。だって、この黒縁眼鏡と黒髪のカツラ、有り得ない位だっさいもん! 眼鏡は瓶底で、カツラは私の顔が隠れるように前髪が特別長い。
アメリカにいても、これじゃ笑いものにされるわ、確実。
ここまで完璧に変装しといて、アメリカ人だってバレたらシャレにならない。私は、少し下を向きながら教壇の前まで歩いていった。
「町田歌子で…」
「ギエ――ッ根暗かよ!」
「…す」