アルストと第二子
私のお腹は大きく膨らんでいる。第二子がお腹の中にいる為だ。
談話室で寛いでいると、4歳になったアルストが私のお腹に顔を近付ける。
「ふふっ。」
可愛い。
「おかぁさま。チビちゃんは、動いていますか?」
「ええ。とても元気よ。触ってみる?」
「はい!チビちゃーん。おにぃさまですよぉ。…わぁー!ポコポコしています。」
「チビちゃんは、お兄様が大好きなのね。」
チビちゃんは赤ちゃんの愛称だ。話しかける為にアルストが考えた。
「そうなら嬉しいです。」
アルストが頬を赤くする。
「はっ!」
私は口元を手で覆った。
うちの子が尊い…。
「おかぁさま、だいじょうぶですか?休みますか?」
「大丈夫よ。体調も良いわ。そうだ!一緒に散歩に行きましょう。」
「良いのですか?」
「もちろんよ。」
私はアルストを連れて庭に出た。
そこへジェイクが帰ってきた。
「リア、何をしているんだ?」
「アルと散歩に行くのよ。」
「何!?大丈夫なのか?休んでいた方がいいのではないか?」
「お腹の張りもないし、体調も良いから問題ないわよ。」
「しかし、転んだりしたら…。」
「それは気を付ける。」
「…俺も行く。少し待て。」
ジェイクは家の中へ走って行った。
「アル。少し待たなくてはならないみたい。ごめんなさいね。」
「はい。チビちゃん、すこし休憩ですよぉ。」
アルストは私のお腹に話しかける。
ドン!
お腹の中の子が強く蹴った。
「早くしてと言っているわね…。」
「おとうさまを呼んできます!」
「もうすぐ来るわよ。待っていましょう。」
「でも…。」
「チビちゃんも待ちましょうね。」
お腹を擦っていると、ジェイクが戻ってくるのが見えた。
「はぁ、はぁ、またせたな。」
急いでくれたのだろう。珍しく、息を切らしている。
「では行きましょう。」
散歩を再開すると、ジェイクは落ち着きなく、私達の周りを歩き回る。
「ジェイク。どうしたのですか?」
「躓くものがないか見て回っている。」
「逆に危ないのでやめてください。」
私は、ジェイクへ手を差し出す。
「これでよろしくお願いします。」
一瞬、目を丸くしたが、微笑みに変わり、私の手をとってくれた。
「これなら、転びそうになっても大丈夫です。」
「僕も!」
アルストとも手を繋ぐ。
敷地をぐるっと周る。途中、リカーナお母様と会い、お茶を頂いた。
「男の子かしら?女の子かしら?楽しみねぇ。」
「女の子ですよ。」
リカーナお母様の話にアルストが答えた。
「そう。アルは妹が欲しいのね。」
リカーナお母様に言われ、アルストはキョトンとしている。
「アル。どうしたの?」
「何でもないです。」
散歩を再開した後、私はこのことを聞いてみた。
「僕が『妹が欲しい』じゃなくて、妹なんです。」
「どういうことだ?リアは分かるか?」
「子供は時に、不思議な力を持っていることがあると…。物心つくようになる時には、なくなるそうですが、お腹の中の事を覚えている子もいるそうですよ。」
「そうなのか。アルは、覚えているか?」
「?」
アルストは首を傾ける。
「分からないならいい。」
ジェイクはアルストの頭を撫でる。
その数週間後…
私は無事、第二子となる女の子を産んだ。
アルストは、ベッドの端に座ったジェイクが抱く赤ちゃんを覗き込んでいる。
「かわいい…。」
「名はプリムローズだ。」
「愛称はリム?ローズ?どうしましょうか?」
「ローズ!」
アルストが手を挙げて答える。
私とジェイクは顔を見合わせ微笑んだ。
「「では、ローズで。」」
「ローズ。よろしくね!」
アルストは満面の笑みを浮かべた。




